アルフレッド・ローザス(Alfred Losas)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
CV.瑳川哲朗 / 井上倫宏(青年期)(いずれも石黒監督版OVA)。
概要
自由惑星同盟軍人。外伝「螺旋迷宮」に登場する”七三〇年マフィア”のひとり。その最後の生き残りとして、ヤン・ウェンリー少佐と対面することとなる。
指揮官としては「平均よりややまし」程度の凡才であったが、指揮官を補佐する幕僚としての調整能力に長けており、ブルース・アッシュビーの参謀長として天才集団である「730年マフィア」の「生きた接着剤」、つまりまとめ役として艦隊全体の強化に手腕を発揮した。組織力、課題処理能力も非常に高く、アッシュビー司令長官とローザス総参謀長が指導した宇宙艦隊総司令部の作戦能力は飛躍的に向上したという。
経歴
宇宙暦730年、自由惑星同盟軍士官学校を卒業。”七三〇年マフィア”の一員としてリーダーであるブルース・アッシュビーの幕僚を務め、中将まで昇進する。745年6月、同年3月に宇宙艦隊司令長官に就任したアッシュビーにより宇宙艦隊総参謀長に任じられた。
しかし同年半ばに妻と死別、1ヶ月の休職ののち、9月に総参謀長に復帰する。12月の第二次ティアマト会戦ではアッシュビーの旗艦<ハードラック>で参謀チームを指揮し、司令長官を補佐。最終盤、<ハードラック>が被弾しアッシュビーが致命傷を負った際には頭部に軽傷を負っている。
こうしてブルース・アッシュビーを失い”七三〇年マフィア”が離散した後の軍歴はほとんど不明ながら、大将まで昇進して退役。ハイネセンポリス、メープルヒル17番地の私邸に隠棲した。
宇宙暦778年、「同盟軍史上、もっとも貴重な記録のひとつ」と評される回想録を発表し、ノンフィクションの賞(石黒監督版OVAでは”クリアウォーター賞”とされる)を獲得する。10年後の788年秋、「ブルース・アッシュビー謀殺疑惑」を調査するヤン・ウェンリーの訪問を受け、アッシュビーと”七三〇年マフィア”の僚友たちの思い出を語った。
その数日後、古い睡眠薬の大量摂取により死去。半ば自殺を覚悟した行為であり、同居する孫娘ミリアム・ローザスに迷惑をかけないため遺書も用意されていた。10月9日、自宅において軍部葬。12月1日付で元帥号を追贈され、”七三〇年マフィア”は全員が元帥号を得ることとなった。
人物関係
ローザスは沈着で公正な良識人であったため、一癖も二癖もある”七三〇年マフィア”の面々に頼まれて幾度もさまざまなトラブルの処理を手助けしていたという。後年に至って”七三〇年マフィア”の私的なつながりが崩壊した後も、ローザスのみはそれぞれと個人的な友誼をある程度保っていたようである。
中でもブルース・アッシュビーからの信頼はきわめて厚く、10年間・6回に渡ってアッシュビーの参謀長を務めた。妻の死で休職した際にも、「お前さんが司令部を運営してくれなければ、おれとしても同盟軍としても大いにこまる」とアッシュビーが慰留するほどであった。むろん私人としても頼られており、アッシュビーが最初の妻アデレードと離婚した際など、不承不承ながらも両者の面談に臨席している。ちなみにそのアデレードとローザスほか”七三〇年マフィア”の他の面々とは旧知の友人どうしでもあった。
自身の妻のことも並々ならず愛していたようで、死別時にはローザスは戦場に出ていたために妻の死に目に立ち会えず、本人でも意外なほどのショックをうけて心神喪失状態に陥った。自宅で酒びたりになり、ジャスパーとウォーリックの勧めで、アッシュビーの慰留も固辞して休養を取ることになった。しかしそれでも心の傷は癒えず、逆に総参謀長としての激務に復帰することで喪失感を埋め合わせることを余儀なくされている。
妻の死後は一人暮らしだったようだが、妻との間には子がおり、孫娘がミリアム・ローザスである。ローザスの晩年、ミリアムはローザス邸で祖父とともに暮らしていた。ミリアムは祖父とアッシュビーについて、「アッシュビーがローザスの功績を偸んだのだ」という認識を抱いており、ヤン・ウェンリーの思索のきっかけを作っている。また、軍部葬がメープルヒルの自宅でとり行われたのは、彼女の強い希望によるものであった。
補遺
宇宙暦801年の4月ごろにユリアン・ミンツがダスティ・アッテンボローとの初対面を回想した際の記憶では、彼がヤンの養子となってはじめての初夏の休暇に宿泊したハイネセンの高原地帯へ一日遅れでアッテンボローがやってきた際、ヤンが丘の大樹の陰で読んでいた本として「ローザス提督の回顧録」の名前が挙がっている。
関連動画
関連項目
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