オリエンタル・リフ 単語

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オリエンタルリフ

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オリエンタル・リフ(Oriental riff)とは、リフ(短い印的な旋)のひとつ。

東洋的な雰囲気を持ち、さまざまな音楽で使用される。アジアン・リフ(Asian riff)やチャイニーズ・リフ(Chinese riff)などと呼ばれることもあるようだ。

概要

あなたもたぶん聴いたことがある。テレビ番組中華料理店などの中国っぽいものが紹介されるときに流れる、「ちゃららら らんらん らんらんらーん♪」という、あのフレーズ。あれです、あれ。

「わかんねーよ」という人は、下の「関連動画」にもあるが「イー・アル・カンフーで、ラップ 【ヒャダイン】exit_nicovideo」を聴いてもらえれば、イントロでいきなりそれっぽいものが使われているので思い出してもらえるかもしれない。

他にも、挙げればきりがないくらいさまざまな楽曲で使用されている。ニコニコ大百科に作品の項があるもので例を挙げると、

など。

色々とアレンジして使われるので楽曲ごとにちょっとずつ違うが、「ちゃららら らんらん~」という感じの旋を持つことは共通している。

すべきは、日本国内では「中国の曲」というイメージが強いが、海外では中国に限らず広くアジア的なものに使われているという点。例えばThe Vaporsというイギリスバンドの「Turning Japanese」という曲は日本テーマとした曲だがこのリフが使われている。

そもそも中国由来のフレーズなのかどうかも怪しいようで、歴史を遡っても現在知られている最古の例はアメリカ合衆国作曲されているようだ(「歴史」の項で後述)。

歴史

このフレーズの正確な起を辿ることは難しい。「学術的に注されて正式に研究される」ということが乏しかったようで、定説がいらしい。

「オリエンタル・リフ(Oriental riff)」という名称すら「なんとなく広くそう呼ばれるようになった」という程度のようだ。

2004年には、ミシガン大学音楽学部の准教授であるCharles Hiroshi Garrett博士が学術論文[1]でこのフレーズについて少しだけ言及した。

それに興味をひかれたネットユーザーがこのGarrett博士電子メールでこのフレーズの起について知らないか質問してみたところ、博士は以下のように解答してくれたとのこと。

「詳しくはわかりません。私が知っているのはその論文で触れたことですべてです。ただ、1940年代のコミックソング映画音楽広告音楽にはすでに登場しているようですし、もっと昔に遡る歴史を持っているかもしれません。まだ調べていませんが、オリエンタリズムオペラ、「マダムバタフライ」とか「ミカド」などに起があるのかもしれません。

あなたに質問を頂いてから音楽分野でのオリエンタリズムの専門にも問い合わせてみました。彼の感想によると、このフレーズはとてもシンプルピアノを打つだけで演奏できます。そういう単純な手法で五音音階(言い換えれば、「アジア的な」)音楽を模すことができるわけです。作曲がこの方法を使って五音音音楽真似したのかもしれませんね。」

見知らぬネットユーザーからの質問に、知人に意見を聞いてまで丁寧に答えてくれているが、やはり起は判明しなかった。

2006年には、スウェーデンウェブデザイナーのMartin Nilsson氏が、個人的に研究した内容をウェブサイト[2]という形で発表した。

その内容をいくつか紹介すると、

結局起については全に判明することはなかったようだが、割と古い歴史を持つフレーズであることは確かであるようだ。

テレビ番組さまぁ~ずギ問」の2017年4月9日の放送回では、「テレビ番組とかで中国っぽいときに流れるあの曲ってなんて曲?」という疑問に対して調を行った。そして上記のMartin Nilsson氏によるウェブサイトに辿りつき、掲載されていたオリエンタルリフの起補曲約100曲を一曲ずつ聴いた。その結果、1933年の楽曲「The wedding Of Mr. Wu」という曲が現在のオリエンタルリフに一番近かったと結論している。[4]

上記の「Alladin Quick Step」は、メロディーの解析結果はともかく聴いた時の印では現在のオリエンタルリフとはかなり異なるため、その点を補した調結果と言えるだろう。

ただし、上記でも少し触れたようにカートゥーンのBGMの分野を探ると、例えば1930年の作品「Chop Suey」[5]で既にほぼ現在のものに近いオリエンタル・リフが使用されている。そのため、この「The wedding Of Mr. Wu」はあくまで「Martin Nilsson氏のサイトに挙げられていた楽曲の中で、聴いた時の印現在のオリエンタルリフに一番近いもの」でしかなく、「現在のオリエンタル・リフに近いものの中で最古」というわけではない。

その「The wedding Of Mr. Wu」はイギリス俳優でありシンガーソングライターだったGeorge Formbyによる楽曲であり、Youtubeで聴くことができるが[6]、確かに楽曲の最後でほぼ現在の形のオリエンタルリフが使用されている。

ちなみにこの「The wedding Of Mr. Wu」は「続編」的な楽曲であり、「Mr. Wu」は1932年George Formbyが発表した前作「Chinese Laundry Blues[7]歌詞で既に登場している。またこの「Chinese Laundry Blues」の中でも、オリエンタルリフに似たメロディーが使用されている。

(この「歴史」の項の初稿の記載はウェブページHow The 'Kung Fu Fighting' Melody Came To Represent Asia : Code Switch : NPRexit」を大きく参考としている。)

関連動画

関連項目

脚注

  1. *Chinatown, Whose Chinatown? Defining America’s Borders with Musical Orientalism. Journal of the American Musicological Society 57:1 (2004):119–73.
  2. *The Musical Cliché Figure Signifying The Far East: Whence, Wherefore, Whither?exit2014年12月現在、閲覧不能のためInternet Archiveへのリンク
  3. *What is Folk Music? 2 of 6 - YouTubeexit(7:03時点から)
  4. *価格.com - 「さまぁ~ずの神ギ問」2017年4月9日(日)放送内容 | テレビ紹介情報exit
  5. *Chop Suey - YouTubeexit
  6. *The Wedding Of Mr. Wu - George Formby - YouTubeexit(楽曲全体のアップロードであるようだが、George Formbyの後50年以上が経過した現在では著作権が切れている)
  7. *Chinese Laundry Blues - George Formby - YouTubeexit
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