同様に確からしい(Equally possible)とは、確率論の用語である。
中学校の授業で習ったとき、聞き慣れない言葉遣いに戸惑った人も多いと思われるが、上記の通りequally possibleまたはequally probableの訳語、つまり「平等に起こりうる」ということである。
確率論は、何らかの事象を同様に確からしいと見なすことで数値的に扱うことができる。裏を返せば、同様に確からしいと見なしたものが実はそうではなかった場合、間違った結論になる。
上記、同様に確からしいと公理的に仮定したものを組み合わせた際、同じく同様に確からしいと導出できる例。
2個の10面ダイスを振り、それぞれ十の位、一の位として振れば100面ダイスの代わりになる。
十の位ダイスと一の位ダイスの、それぞれの出目の組み合わせが、全て同様に確からしいので代用できるのである。一方、10面ダイス2個を使って20面ダイスの代わりにすることはできない。理由は下記。
→くじ引きの原理
引いたくじを戻す場合、前に引く場合と後に引く場合が互いに独立事象なので確率は変わらない。しかし、戻さない場合であっても、引く順番で確率が変動することはない。
これは、「前に引いた人が当たる」かつ「前に引いた人が当たったとき後に引いた人が当たる」確率と、「前に引いた人がはずれる」かつ「前に引いた人が外れたときに後に引いた人が当たる」確率が同じになることによるものである。
上記「くじ引きの原理」と類似の議論。
単純化すると、「トランプ1デッキから1枚引いてハートが出る確率」と、「トランプ1デッキの上から10枚を取り除いて1枚引き、ハートが出る確率」は同じであるかという議論である。
結論から言えば、後者は「上から11番目のカードを引いた」と数学的には同一の事象なので、引く確率は変わらない。ランダムな非公開情報は何処にあろうが等価である。
これは、ランダムな、全員にとって非公開の情報があるすべてのゲームにおいてそうである。例えば、麻雀の王牌と山は等価と考えてよい。また、「ポケモンカードゲーム」におけるサイドカードも、山札にあるカードと等価である。
除外した10枚のカードを見た場合であっても、「その中にn枚のハートがある」かつ「n枚のハートを含む10枚のカードが除外されたとき、ハートを引く」確率は変化しない。上記「くじ引きの原理」と同じである。
類似の議論が、TCGにおける「デモコン理論」である。大雑把に言えば、「ライブラリーのカードを追放するデメリットがあったとしても、そのカードはライブラリーの底に眠っていたカードと等価である」ということで、ライブラリーが削れるのはたいしたデメリットではないという認識がある。
出目の合計は、同様に確からしくない。例えば、上記の「10面ダイス2個で100面ダイスの代わりにする」の応用をしたつもりで「10面ダイス2個で20面ダイスの代わりにする」ことはできない。
例えば、2d6の場合、出目の合計が2になる場合の数は(1,1)の1通りしかないが、7になる場合の数は(1,6)(2,5)(3,4)(4,3)(5,2)(6,1)の6通りある。
麻雀の親は局ごとに順番に決まるが、初めの親(起家)はサイコロを振って決める。また、局ごとに、牌のどの山から取り始めるかもサイコロで決める。
しかし、サイコロの出目は2d6であり、各出目の確率は同様に確からしくない。また、1の目は出ないのだから、出目は2から12までの11種類と4の倍数ではなく、自家が当たる確率は少なくなる。つまり、この決め方は不公平に見えるのである。
このような決め方が許されるのは、このルールはあくまでイカサマ防止のためであり、誰が起家になろうが、山のどこから牌を取ろうが確率論上は全く同じであることによる。出目が同様に確からしくなくとも、ランダムであるという保証さえあればよいということである。
そのためあまり議論の俎上に登らないが、4の倍数面ダイスを使うことで解決される。東西南北が3つずつ、および1-12の面が書かれた12面ダイス「パッコロ」が存在する。
計算してみると、親から見たとき、各面子の山から取ることになる確率は以下の通り。
面子 | 確率(/6²) | 確率(%) | |
---|---|---|---|
1 | 自家 | 8 | 22.22 |
2 | 下家 | 9 | 25.00 |
3 | 対面 | 10 | 27.78 |
0 | 上家 | 9 | 25.00 |
計 | 36 | 100.00 |
割り当ての少ない自家が最も低く、最も確率の高い7の目が振り分けられる対面が最も高い。とはいえ、それぞれ2-3%ぐらいしか違わない。
計算法は以下の通り。Excelをつかうと楽。
前述の通り、2d6の出目が同様に確からしくないことから、各面子に対して起家になる確率も同様に確からしくない。
しかし、2人が1回ずつ振って決めることから、実は偏りはそれほど大きくない。
面子 | 確率(/6⁴) | 確率(%) | |
---|---|---|---|
1 | 自家 | 326 | 25.15 |
2 | 下家 | 324 | 25.00 |
3 | 対面 | 322 | 24.85 |
0 | 上家 | 324 | 25.00 |
計 | 1296 | 100.00 |
計算法は以下の通り。
今度は自家の確率が最も高くなるが、「対面の対面」なので納得のいくところである。
すり替えなどの手技ではなく、確率の錯覚を用いたバーベット(バーの賭け、暗にイカサマ)マジックが存在する。その中でも、『遊☆戯☆王』で取り上げられた下記のマジックを紹介する。
4枚の中に2枚あるものを2枚同時にめくるのだから、勝率は1/2に見える。しかし、4枚のカードから2枚を取り出す組み合わせは₄C₂=6通り、うち挑戦者が勝つパターンは♥♦、♣♠の2通りしかないのだから勝率は1/3しかなく、実は挑戦者に不利な賭けだったというわけである。
『遊☆戯☆王』では、闇遊戯が「1枚ずつめくったと考えろ。残り3枚のカードの中から同じ色が出る確率は1/3だ」とより簡潔に説明している。
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最終更新:2024/05/04(土) 18:00
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