厶とは、耜の形をした漢字である。カタカナのムにそっくりだがム関係。
漢字として
- 意味
- 私の初文であり、わたくし、私有という意味がある。また日本ではござると読む。〔説文解字〕には「姦衺なり」とある。共有の田に対して私有の田を姦邪としている。
- 某と同じ音であり、意味も同じとする説もある。
- 字形
- 諸説ある。〔説文〕は「韓非曰く『蒼頡字を作るや、自ら營むを厶と爲す』」と〔韓非子・五蠹〕を引用し、自ら営むことを表す記号であるとする。〔韓非子〕にはこの後に「私に背く。之れを公と謂ふ」と公について述べる。これは八+厶から、厶に背く(八=背く)ということで公であるという解釈である。しかし公の下の字形は甲骨文では厶と異なる。
- ほかに、鋤の象形で㠯、已、以と同じ起源とし、鋤によって耕作する人から私有田の意があるとする説(白川静)、隠すという意味の字形で私心は隠れるものとする説(〔疑疑〕)、マンコの象形とする説(〔六書略〕)がある。
- 音訓
- 音読みはシ、ボウ、ム、訓読みは、わたくし、ござる。
- 規格・区分
- 常用漢字ではない。JIS X 0213第2水準。
- 部首
- 厶部を作る。厶に従う字のほかに、筆画として厶を含む漢字が属する。
- 声符
- 厶を声符として持つ漢字には、弘、㺨、私などがある。
- 仏などはもと佛であって厶とは関係ない。
- 異体字
- 〔説文〕の厷の字の解説に、厶は厷の古文とある。
- 互換文字
- ⼛はUnicodeにおいて厶と互換とされる字で、部首としての厶を表す。
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