アーマード・コア、新生!
その意思が、すべてを変える
『アーマード・コア ネクサス(ARMORED CORE NEXUS)』とは、フロム・ソフトウェアから発売されたPS2用ロボットアクションゲームである。
ACシリーズ通算8作目であり、ACシリーズ2度目の大転換点となった「N系」の第1作。
略称はNX(NeXus)、ACNXなど。検索タグは[ACNX]でほぼ固定されている。
基本動作自体は従来作と同様だが、既存のものを深堀りする形でシステムが大きく変更され、プレイ感覚が大きく変化し、アセンブルの深みも増した。ストーリーテリングは世界情勢ニュースを介し、より多角的・俯瞰的に描かれるようになった。全体的に「リアル路線」を突き詰めたテイストになっている。
パーツのグラフィックデザインや、登場組織(三大企業)の名称・性質は前作のAC3SLから継承しており、ぱっと見では続編のように見える。しかしシナリオの連続性についてはあいまいになっており、実際にAC3SLから数十年が経過した後の世界なのか、よく似たパラレルワールドなのかはユーザーのフロム脳に委ねられていた。
……だが、この新/改良システムの調整がはっきり言って雑で、システム的な面で難易度が激増した。特に新熱量システムはアセンの幅がそんなに広がらない割に従来作の爽快感を奪っている散々な形態になっており、「熱管理シミュレータ」と揶揄されることになった。他にも勝ち上がり式アリーナが廃止されたり、強化人間がCPU専用機能となったりと、プレイヤーに不利な調整が目立ってしまったのも良くなかった(もちろん有利な調整もあるのだが、インパクトが弱かった……)。
パーツバランス並びに対戦バランスは非常に悪い。AC3SLの無駄に多すぎるヴァリアントパーツは整理されたが、クレストホバータンクの異常な性能、数々のぶっ壊れ武装、存在意義が喪失寸前の軽量二脚、ブレードホーミング消滅、シリーズ最弱のKARASAWA……などなど「どうしてこうなった」と言いたくなる要素が満載。ゲームスピード低下によって前作の「過剰な高機動戦」は抑制されたものの、格闘武装の価値低下も相まって「下手に回避するより、被弾上等で殺られる前に殺る」火力圧殺スタイルが主体となり、非常に大味な環境になった。
メインシナリオも「企業間紛争と旧時代兵器の暴走」といういつもの展開に終始しており、目新しさが無い。にもかかわらず、これまでの恒例だった名声優陣による依頼音声やアリーナプロフィールが削除され、文字ニュースでの淡々とした進行によって、余計に薄味な印象が付いた。おまけにオチはバッドエンドで固定。何が「その意思が全てを変える」だよ。ミッション分岐が複雑なのに、周回プレイのモチベーションを保つのがちょっとめんどくさいことになっている。
単体の一人用ゲームとしては安定した品質を保っており、クソゲーの誹りを受けるような作品ではない。しかし前作までと雰囲気が似ており、キャッチコピーの「新生」感が薄かったために、既存プレイヤー間での「コレジャナイ感」の高まりは半端ではなく、過剰な批判にさらされるタイトルとなってしまった。改善点の目の付け所は良かっただけに、とにもかくにも調整不足が惜しまれる。
ディスク2は「レボリューションディスク」。こちらは言うなれば「ネクサスエンジンでリメイクしたPS三部作」といった感じで、選りすぐられた名ミッションが収録されている。
かなり多いので代表的なところだけ。
「政府」という存在は既に無く、「企業」が世界の覇権を争う世界。
新興企業ナービス社が、本拠地たる辺境地帯で「新資源」と呼ばれるモノを発見した。
世界最大勢力を誇るミラージュ社は、新資源の「共同開発」を迫るが、ナービスは頑として首を縦に振らず、自社勢力圏での籠城を開始する。
強欲さをむき出しにして本格的武力侵攻に踏み切るミラージュ。
未知なる新資源を過信し、無謀なる抵抗を続けるナービス。
「敵の敵」ナービスに協力する姿勢を見せつつ、裏では己が覇権のため牙を研ぐクレスト・インダストリアル社。
世界情勢には興味を見せず、ナービスと提携して独自研究に邁進するキサラギ社。
企業たちは過ちの轍を掘り起こし、今日も荒野には爆炎が巻き起こる。
──世界は滅びへの道を辿りつつあった。
アーマード・コアを駆る傭兵(レイヴン)を統括する組織。従来作に比べ所属レイヴンへの干渉が多く、それを嫌って抜けるレイヴンも多いらしい。
ゲーム途中で体制変革が起こり、プレイヤー専属のオペレータも変更される。どちらが好みかで貴方の性癖が特定されるかも知れない。
頂点に君臨しつつ尚も勢力拡大を目論む巨大企業。製品は先端主義を貫き、形式番号に製品ペットネームを盛り込んでいる。
他企業に対しては素晴らしいジャイアニズムを発揮する為、粗暴という言葉がよく似合う。やる事じたいは意外と単純明快で、オーソドックスな力押しばかりだが、それだけに業界一位の底力には恐るべきものがある。
シェア2位で、ミラージュに嫌悪感を示しつつも力を蓄えている企業。製品は安価かつ堅実な性能で纏められている。形式番号からペットネームが廃され、全て英数字のみの表記となりわかりづらくなった。
唯我独尊で物事を強引に推し進めるミラージュとは違って理性的……と、思いきや、ナービス幹部を暗殺する為にベイロードシティから脱出する難民を襲撃してみたりと、意外とエグい事を平然とやってのける。業界二位は伊達じゃない。
通称「技術のキサラギ」。製品型番は全て仏教用語由来のペットネームのみで表されるようになった。初めてコアパーツの開発にも成功している。没データでは残りのフレームも用意されていたようだが……。
上層部はまだまともだが、現場研究者のマッドサイエンティストぶりが加速し、新資源に固執したり生物兵器AMIDAを生みだしたり上層部に造反したりと奇行が目立つようになった。おかげでユーザーからは「変態」と称される事が多い。毎度の事だが生物兵器を作った企業はいつも制御不良などを起こして後始末をレイヴンに依頼する。いい加減自社でなんとかしてください。
シェルター都市・ベイロードシティに本拠地を置く新興企業。新資源とそれの開発力により、他企業から目を付けられている。
ミラージュにいじめられた挙句クレストにも裏切られ、最後にはキサラギの過激派に新資源を暴走させられる踏んだり蹴ったりな企業。
企業群管理機構。企業の過剰な競争を抑止する目的で設置された組織だが、ミラージュの前にはまるで形無し。ナービス領侵攻の片棒を担がされた挙句、レイヴンに自作自演のサボタージュテロを依頼してくる。
アークランキングのトップに君臨するレイヴン。実質的にクレスト専属だが、アークは特定企業への専属契約を禁止しているため、たまにキサラギの依頼も受けている。
乗機デュアルフェイスは全身がクレスト製で統一され、パーツに黒一色という渋い機体である。瞬間火力の乏しいライフルと大グレ、当てにくいブレードというシステムに嫌われた武装を満載しているため、防御力を高めて高熱量武器を正面から叩き込めば楽勝である。
言動はカッコいいが、そのよくわからないポジションも相まって「シリーズ最弱のトップランカー」の汚名を背負ってしまっている。詳細は「ジノーヴィー」を参照のこと。
クレスト専属の女パイロット。ジノーヴィーとは何らかの関係があるらしい。
あらゆる企業からの依頼を高い遂行率でこなすエースレイヴン。武闘派揃いのレイヴンの中では珍しく知略にも長けており、自由人というレイヴンとしての有り様に高潔である人物。
……のはずなのだが、実際のゲーム中ではあまりの弱さから「弱王」などと呼ばれ、これを皮切りに強烈なネタレイヴン化した。詳細は「ジャック・O」を参照のこと。
全身ロケットという生粋のネタ機体を駆り、途中で機体を乗り換え強化人間にもなりながら、尚もロケット装備で固めてプレイヤーに挑んでくる生粋のロケット狂。追い討ちをかけるように「そんな機体で勝負する気か?なめられたものだ」という名台詞を残し、一躍人気者となった。
物語の中盤、志半ばにして非業の死を遂げる。そのあまりの唐突な出来事に、数多のレイヴンが悲しみ、涙したという…。後に彼の功績を称えてか、ロケオン機体を駆る者は名誉称号「アモー」を名乗る事を許されている。
弾幕四脚「バレットライフ」を駆る渋いオッサンレイヴン。ナービスの依頼を受けている。
彼を撃破すると、息子から果たし状が届く。その名はリム・ファイヤー。
本作のプロデューサーは佃健一郎だったが、開発途中で鍋島俊文に引き継がれた。この際に大幅な仕様変更があったことが、古参ファンの間では知られている。
2003年東京ゲームショーでは「自機以外の時間を遅くすることができるコア」「目標を強制ロックオンするコア」「被弾時に自動反撃するミサイル発射装置」などの新型パーツや、「マップ中建造物の大半を破壊できる」、後のACfAの「大破壊エンジン」が発表されていた。残念ながらハード性能の都合でオミットされたようだ。
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掲示板
186 ななしのよっしん
2024/05/30(木) 23:58:46 ID: B765unj/fy
辛辣メールとか「対戦相手不在のため中止」とか「虚空-天地人」とか、今日今更知って驚愕してる自分
たぶん何百時間とやってたんだけどなあ…こんなのあったんだあ…
V-MAXとかいう謎パーツあったよね。ディスクすり替えるとなぜか出てくるキサラギのバグパーツ
使いたかったなぁ。ついぞキサラギはフルフレーム揃えられずに終わってしまった
187 ななしのよっしん
2024/05/30(木) 23:59:48 ID: B765unj/fy
188 ななしのよっしん
2025/03/29(土) 20:05:12 ID: B765unj/fy
編集おつ
なんだかんだ言ってもしょうもない小競り合いやニュースとか、オファーでアリーナやるとか、メカビルドや収支のシビアさみたいなところで「アーマードコア的生活」を一番堪能したのはこの作品だったなあと思う。演出はちょっと淡泊だったけど。
熱も当時はムカついたし意味が分からなかったが、今はスタッガーゲージの翻案的なものと理解できる
ほんとに要素は良かった、煮え切ってなかっただけなんだなあって。当時のフロムにもっと企業体力があれば…
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最終更新:2025/04/18(金) 22:00
最終更新:2025/04/18(金) 22:00
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