イェニー・マルクス(Jenny Marx)とは、かの革命家カール・マルクスを生涯に渡って支えた伴侶である。1814年生、1881年没。
元々はマルクスの姉ゾフィーの級友であり、旧姓はイェニー・フォン・ウェストファーレン。実家はプロイセン政府の役人をしているトリーアの名家であり、彼女の父親は1756年にヨーロッパを巻き込んで起こった七年戦争の際の功績で貴族に列せられていた。彼女の家柄と美貌をもってすれば良い夫をもつ事が出来たはずなのに、なんの因果かイェニーはマルクスと恋に落ちてしまった。
カールはイェニーに何通も愛の詩を書いて送り、その中のいくつかはイェニーの一生の宝物になった。付き合った当初はゾフィーによって交際は隠されていたが、やがて二人の関係はマルクス家に知られるようになった。しかし問題はイェニーの方の家である。当時の感覚ではプロイセンの名門官吏のお嬢様と訳の分からんユダヤ人の男が恋に落ちることは良くないこととされていたからだ。しかしカールは最終的に勇気を出してイェニーの実家ウェストファーレン家に告白の手紙を送ったのだ。残念ながらその手紙も、その手紙がどう受け取られたのかも記録は残っていないが、紆余曲折を経ながらも二人は結婚をすることになる。
しかしイェニーとカールの結婚生活はけして幸せなことばかりではなかった。マルクスは一切の経済観念と生活能力を持たずマルクス一家は常に極貧と共にあったからだ。マルクスは子どもに貧困の苦しみを与えることを嫌がったため、しわ寄せがいったのは妻であるイェニーであった。食べるのも着るものもなく、夫は政治活動や抽象的思考に耽ってばかりであり、彼女は精神を病みつつも必死で夫をサポートした。
想像してみてほしい。貴女の夫は有名大学の哲学科を卒業したは良いものの働くことを卑しいと考えていて仕事にも就かず毎日図書館にこもって本ばかり読んでいる。彼は異常にプライドが高く口が悪いので友達はほぼゼロ。口癖は「まぁ見てなって、いつか革命起こして世界を変えてやるからよ」。正直こんな夫は嫌だと思う。
それでもマルクス一家が破綻を来さずにいられたのは、外に対しては雪崩のように批判をするマルクスが家族に対してだけ(あとエンゲルス)は人間味を見せていたからである。マルクスにとって家族(あとエンゲルス)は世界で唯一信じられる他人であった。世紀の革命家の妻として生きた彼女が幸せだったかどうかは本人にしか分からない。
掲示板
掲示板に書き込みがありません。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/18(木) 04:00
最終更新:2025/12/18(木) 03:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。