カツオノエボシとは、刺胞動物門ヒドロ虫綱クダクラゲ目嚢泳亜目カツオノエボシ科に含まれる生物。
「鰹の烏帽子」と書く。鰹が到来する時期にあらわれ、かつ烏帽子に似ていることからこの名前がついた。体長は10cmほど。ヒドロ虫の群体である。
見かけだけなら普段イメージするカップ状のクラゲとは一味も二味も違う。海中を漂うクラゲと違って、烏帽子状の浮き袋で海面に浮かび、風に吹かれて帆走するため、まるでビニール袋や青い風船のようにも見える。
クダクラゲ類の中では一番聞く機会の多いクラゲだが、実はこの姿はクダクラゲ類の中でも特に異質なほうである。
嚢泳亜目のクダクラゲは泳鐘と呼ばれる泳ぐ専門家の個虫を持たないため自力で泳ぐことができない。そのためカツオノエボシはやたらとデカい気泡体で海面スレスレに浮かんだまま、風に吹かれて砂浜まで流されてしまうのである。もっとも目につく機会が多いのは、このカツオノエボシの異質性によるものである。
なお、他のクダクラゲはクラゲの形をした泳鐘と呼ばれる泳ぐ専門家の個虫が群体を率いて泳いだり(群体の長さで有名なマヨイアイオイクラゲもこの形質)、海中に深い位置でただようだけだったりと、決して危険な海面に浮かび上がってきたりはしない。
触手に強力な毒を持ち、刺されると電気ショックを受けたかのような激痛が走るため、電気クラゲと呼ばれることもある(実際に電気を発するわけではない)。ごくごく稀にではあるが、アナフィラキシーショックを起こし、死亡する危険性もあるため、海や海岸で青いビニール袋のようなものを見つけても触らないように注意が必要である。
しばしば「カツオノエボシはヒドロ虫の群体であってクラゲではない」と言われるが、一般的に良く知られているクラゲとは異なっているというだけで、クラゲは刺胞動物門の複数の綱に渡って存在している。
また、クラゲという言葉は刺胞動物の体制を指す言葉でもある。ポリプとクラゲの両体制をとる刺胞動物もいれば一方だけのものもおり、同じ生き物なのにポリプとクラゲで別々の名前がついてしまっているものもいる。
ちなみに群体という形をとったクラゲ(グループ)であるカツオノエボシの中にはポリプとクラゲ(体制)が存在するといった非常にややこしいことになっている。
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最終更新:2023/03/29(水) 19:00
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