「ヿ」とは、漢字「事」の略字とも、日本語のカタカナ(片仮名)の一種とも解釈できる文字である。「コト」と読む。
漢字とカタカナが混じった文章で、漢字で「事」と書いて「コト」と読むべきときの代替として用いられていた文字。2023年現在の日本ではほとんど用いられることはない。
例えば、明治12年(西暦1879年)6月に日本の文部省が出版した『法国教育説略』内では以下のように用いられており、
現代ならば「誤認せん事を恐れ」あるいは「誤認せんことを恐れ」と表記されるだろう箇所が「誤認センヿヲ恐レ」と表記されている。
そのため、漢字の「事」の略字とも解せるし、あるいは、「コト」のカタカナ二文字を一文字にまとめた「合字」であるとも解せる。後者であるとすれば、ひらがなの「こと」にも元々合字が存在しており(2023年現在、Unicodeなどで文字コードが割り振られていないのでここでは表示できない)、そのカタカナバージョンであると解せるわけだ。こういった仮名文字の合字を「合略仮名」という。
だが、単純な「事」の略字であれば「コト」ではなく「ジ」と読むような際にも使用されるだろうし、「事」と関係なく純粋にカタカナの「コト」の代替であれば「事」を意味しない「コト」でも使用されるだろう。しかし「ヿ」は、「「事」を意味して「コト」と読む」場合に専ら使用されるようである。
2002年にリリースされたUnicodeのバージョン3.2.0にて「30FF」(U+30FF)のコードが割り振られた文字として採用された。
この時のリリースノートには「KATAKANA DIGRAPH KOTO」(カタカナの合字、コト)と記されており、Unicodeでは「漢字の略字」というよりは「カタカナの一種」と解釈されていることがわかる。
また「≈ <vertical> 30B3 コ 30C8 ト」とも記されており、「カタカナの「コ」と「ト」を(縦書きで)並べたものとほぼ等しい」と見なされていることになる。
ちなみに、このUnicodeの解釈の故か、ニコニコ大百科では自動リンク付加や記事作成時のシステム上でカタカナの「コト」とこの「ヿ」の文字を同じものと判断するらしい(いわゆる「正規化」関連)。
ニコニコ大百科には「…ってコト!?」や「鳴花ミコト」の記事が存在するが、これを「…ってヿ!?」や「鳴花ミヿ」と表記しても、それぞれの記事への自動リンクがつながってしまうのだ。
また、「ヿ」の記事は通常作成できない。「ヿ」の記事を作成しようとしても、「コト」の記事作成画面に飛ぶためである。
ではこの記事はどうやって作成しているのかというと、「コト」の記事の「表示用記事名」を「ヿ」にすることで強引に作成している(「コト」と「ヿ」が等しいとみなされているため、この表示用記事名が通る)。
このため、今後「コト」の記事を作成しようとしたらこの記事が邪魔になってしまうかもしれない。ごめんね?そのときはこの記事を書き換えていいよ。
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最終更新:2024/12/01(日) 15:00
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