吉井友実とは (ヨシイトモザネとは) [単語記事]

吉井友実とは幕末の薩摩藩士、明治時代の官吏である。

概要

文政11年(1828年)2月26日、薩摩藩士吉井友昌の長男に生まれる。通称幸輔、仁左衛門など。

若い頃から西郷隆盛、大久保利通と親交があり、彼らの主宰したグループ(精忠組)に属す。

安政3年(1856年)、大阪の薩摩藩邸留守居役に就任。

安政6年(1859年)、尊王攘夷運動に加わるため脱藩を企てたが、藩主・島津茂久(忠義)に慰留され思い留まった。その後大目付に抜擢される。

文久2年(1862年)、国父・島津久光に随行し、京都、江戸に赴く。翌年頃に坂本龍馬と知り合い、非常に親しく接していることが残された史料から確認されている。

元治元年(1864年)、西郷信吾(従道)と共に沖永良部島に向かい、島流しにされていた西郷隆盛を本土に連れ戻した。同年7月に発生した禁門の変に参戦。

慶応2年(1866年)1月の西郷・木戸の京都での会談に同席。寺田屋での坂本龍馬遭難時には、小屋に隠れていた坂本を救出するため自ら手勢を引き連れて駆けつけた。また鹿児島での坂本とお龍の旅行時には実子の幸蔵を付き添わせている。

慶応3年(1867年)、大政奉還が実施された直後に西郷・大久保・小松帯刀の三人が鹿児島に戻ると留守居役として在京の薩摩藩を取り仕切った。この時期坂本の身を案じて薩摩藩邸に隠れるようすすめたが拒否され、結果的に友人を暗殺される憂き目にあった。

慶応4年(1868年)、鳥羽伏見の戦いに参戦。戊辰戦争では越後方面に転戦した。

明治2年(1869年)、新政府から戦績を認められ永世1000石を下賜された。

明治以後は参与、工部大輔、元老院議官、日本鉄道社長などを歴任した。

明治17年(1884年)、宮内大輔に就任し、同時に伯爵に叙せられた。

明治24年(1891年)死去。享年64。