潜り込み(コメントアート)とは (モグリコミとは) [単語記事]

潜り込みとは、ニコニコ動画のFLASH版プレーヤーで利用可能なコメントアートのテクニックである。

概要

コメントを重ね合わせることによりZオーダー(重なり順、excel のオートシェイプとかで『最前面へ移動』とかやるアレ)を操作し、時間的に後のコメントをZオーダー的に奥に配置するテクニック。

例えば ue, shita で固定を行なって、全く同じ場所に同じ文字を色だけ変えて僅かに時間をずらして潜り込ませれば、手前にある先に投稿したコメントが消えて奥が見えることになり『色が変化しながら消える』みたいな表現が可能になったりする。

HTML5のプレーヤーでは基本的な仕組みが異なるためこのテクニックを利用することはできない。効果的に利用すれば非常に強力なテクニックであったが、過去のものになりつつある。
（意図的に利用すれば強力だが、意図せず潜り込んでしまうことも多く邪魔にもなっていたハズ。それはなくなったわけで、悪いことなのかどうかはわからない）

仕組み

スロット

潜り込みがなぜ成立するかを理解するには、FLASH版のニコニコプレーヤーがコメントの Z オーダーをどのように決定するか、スロットの概念を理解しなければならない。

「お前らの愛が表示されない」という現象がある。

FLASH版のプレーヤーでは、コメントが表示されるテキストフィールドはコメントごとに生成されるのではなく、表示可能なテキストフィールドは最初からすべて生成されており、それにコメントを割り当てることによって表示が行われる。そのために、すべてのテキストフィールドが埋まった状態で続けてコメントをすると、すでに表示されているテキストフィールドを奪って表示されることになる。これが「お前らの愛が表示されない」現象である。

コメントが表示されるところはあらかじめ決まっているのだ。

この「コメントが表示されるところ」をコメントアート界隈では「スロット」と呼称する。

スロットはプレーヤーに最初から存在しており、Z オーダー（重なり順）は予め確定されている。このためコメントの Z オーダーはそのコメントがどのスロットに割り当てられるかによって決定する。

そして、その割り当ては

そのコメントが画面上に現れる瞬間に空いているスロットの中で一番奥のスロット

に対して行われる。

潜り込みの手順

潜り込みは、スロットのこの性質を利用して、コメントが現れるときにダミーのコメントでスロットを埋めておくことによって、特定のコメントを手前のスロットに割り当て、次にスロットが空いてからコメントをすることで奥のスロットにコメントを割り当てる、という手順で行う。

仮にスロットが３つしかないとしたら以下のようになる

１．ダミーのコメントで奥のスロットを専有しておく

奥
１	ダミーコメント
２	ダミーコメント
３
手前

２．手前に配置するコメントを投稿する

奥
１	ダミーコメント
２	ダミーコメント
３	表に出したいコメント
手前

３．ダミーコメントが消えるのを（３秒）待つ

奥
１
２
３	表に出したいコメント
手前

４．潜り込ませるコメントを投稿する

奥
１	潜り込むコメント
２
３	表に出したいコメント
手前

つまり、『潜り込み』と言いながら、潜り込むコメントを奥に割り当てることよりも、表に出したい（潜り込まれる）コメントを手前に割り当てる仕込みのほうが重要だったりする。

実際には naka と ue, shita コメントでスロットを専有する時間が異なっていたり、予期しないタイミングで他の視聴者のコメントが入り、そのなかで表現したいコメントアートを構築しながらスロットを操作しなければいけないわけで、まさに職人芸といえる。

余談

余談だが、上記のスロットの説明は 4:3 基準の話である。16:9 基準では 4:3 基準とはコメントが画面上に現れるタイミングが異なる。

だが、ニコニコプレーヤーはその違いを吸収し『4:3 基準でスロット確保したとしたらこのスロットを確保するだろう』というスロットを確保することで、16:9 のプレーヤーができる前に作られたコメントアートの Z オーダーが大きく変わることがないように配慮してくれている。原宿の実装はすごいのだ。

HTML5では、スロットの概念はなくなり、コメントの表示は必要になったときに上にかぶさる形で新たに都度生成されている。なので、HTML5ではお前らの愛が表示されない現象は起こさない実装も可能なはずである、が、画面埋まっちゃうのはちょっとね。

潜り込み(コメントアート) 単語

概要

仕組み

スロット

潜り込みの手順

余談

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