后とは、王侯貴族の妻のことである。とくに天皇や皇帝の正妻である皇后のこと。
漢字として
- 意味
- 君主、天子、諸侯、長官、君主の妻、祖先、のち、後ろ、という意味がある。うしろの意味で後と通用する。
- 后稷や夏后など古代の天子の名に使われる。また後ろの意味も古くからあり、たとえば祖乙に対して小乙を后祖乙という(どちらも殷朝の帝で、小乙の方が後代の帝)。
- 〔説文解字〕には「繼體の君なり」とある。
- 字形
- 人+口の会意。育と同源の字で、母が子を産む字(毓)から籀文で分化した。
- 〔説文〕には「人の形に象る。令を施して以って四方に告ぐ。故に之れを厂(た)る。一口に從ふ。號を發する者は、君后なり」とあり、人+一+口の会意で号令を発するものの意としている。また〔説文〕は司を后の反文としている。ほかに尸+口の会意で尻の穴とする説もある。
- 音訓
- 音読みは、コウ、ゴ、訓読みは、きみ、きさき、あと。
- 規格・区分
- 常用漢字であり、小学校6年で習う教育漢字である。JIS X 0213第一水準。
- 部首
- 后は、〔説文〕では部首である。ほかに㖃が属する。
- 声符
- 各を声符とする漢字には、垢、㖃、姤、茩、郈、逅、缿、詬、などがある。
- 語彙
- 后王・后宮・后稷・后土・后妃・后輔
異体字