アルタイ(戦車) 単語


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アルタイセンシャ

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アルタイ(戦車)とは、トルコが開発した戦車である。

概要

韓国のK-2を元に開発されている。120ミリ滑腔砲を装備し、乗員は4名。

試作車は作られたが、パワーパック(エンジン+トランスミッション)の調達に目処が立っていないため、量産には至っていない。

開発

トルコという国は世界でも屈指の陸軍兵力を持つ大国で、M48を1300両強[1]、1,000両近いM60と300両強のレオパルド1を持っている。しかしM48は論外、M60もレオパルド1も戦後第2世代戦車、いい加減陳腐化が目立ちだした。M60についてはイスラエルの協力で第3世代戦車相当に強化されたM60T(マガフの項目参照)へ魔改造を行なうこととしたが、問題は御年40オーバーのM48とレオパルド1。レオパルドは開発元のドイツ本国では第3世代化への改造が研究されたがボツになり、これらの更新が問題となったのである。

トルコは更新用車両としてM1やレオパルド2(最新型の2A6を希望したらしい)、ウクライナ製T-80改“ヤタハーン”を検討したがどいつもこいつも「トルコに言わせれば」[2]価格を吹っかけられたらしい。[3]そこで自主開発を選択したのである。ちなみにトルコは自前の自動車メーカーも持つイスラム圏屈指の工業大国でもある。

だけど戦車開発なんて初めて。そこで外国の企業と組んでの開発をすることになった。手を上げたのはドイツと韓国現代ロテム社。で、各国の言い分はと言うと。

  • ドイツ:「技術移転? NO! 部品はうちで全部買えや」
  • 韓国:「技術移転? OKOK!」

トルコは今後のことを考えて技術移転を希望してたのでパートナーとして韓国を選択。こうして2007年、アルタイは開発を開始した。韓国への技術料含め5年間で実に日本円換算で1000億(!)という破格の予算が与えられた。初めての開発とはいえ日本の10式の2倍以上の予算なんですがorz

で、XK-2が国産パワーパック(要はエンジン)にこだわりすぎていつまでたっても配備できないのを尻目にアルタイのほうは粛々と開発は進行。まー先述の韓国製パワーパックのせいでちょっと開発が遅れたが2012年には試作車が完成。2013年開発完了を宣言した。なんか韓国では兄よりすぐれた弟なぞ存在しねぇ!! とか喚いてるらしいがさっさとドイツに焼き土下座とかして誠意示してXナンバー取りましょうよ。

解説

  • 車体:基本はXK-2だけどほぼ新規設計。転輪の数とか位置とか
  • サスペンション:韓国より技術移転された油気圧式サスペンション。姿勢制御できるかどうかは不明。
  • 主砲:120mm55口径、NATO仕様準処の国産滑空砲。韓国より技術移転を受けている。
  • 装甲:韓国から技術移転された複合装甲・・・のはずだったのだが、そういった重要部品の海外供給を嫌ってか結局トルコ国内のRoketsan社が開発した炭化ホウ素[4]を使用した国産複合装甲を装備している。
  • エンジン:
    • 試作車:ドイツ直輸入、ユーロパワーパック(1500馬力)[5]
    • 量産車:日本の三菱重工と共同開発のパワーパック(やっぱり1500馬力)国産パワーパックの予定。後述。
  • FCS[6]:自国製。実はレオパルド1を買ったときにFCSは新規開発して積んだ実績があった。恐らくC4Iとか積んでいない(対応できるようにしてるかもしれないけど)。
  • オプションとして深さ4.1mの川をもぐれる渡河キットあります(性能から多分韓国の技術移転)。
  • 乗員は4名。自動装填装置はなし。

最大の特徴として全く冒険をせずに手堅くまとめたということがあげられる。高価な環境センサとかC4Iとか自動装填装置とかいう凝った装備は全部省いて安く買えるようにしている。これだけ開発予算をぶっこんだらどこの国でも大抵冒険をするものだが、トルコは全く無茶をしなかった。できるところだけ国産と技術移転、できないところは輸入と収拾選択をきちんとしている。というか、兵器開発ってそもそもこうあるべきなんですけどね。兵器は確実に動くのが仕事なんですから。

値段は第3世代戦車としては破格の日本円換算で5億5千万(米ドルで550万ドル)。性能的にはM1より少々劣ると考えられるが相場の半値というのは大きく、まだ開発が終わってないのに2013年5月にサウジアラビアがAMX-30の更新用としてお買い上げを決定。台数は不明だが総額20億ドルとのことなので250~350両程度の配備になるだろう。

先述の通り2013年に開発は完了。現在量産の準備中で、トルコは今後10年かけてレオパルドやM48をすべてこれで更新するつもりらしい。

現在の計画として電動戦車(ハイブリッド?)化も計画してるんだとか。エンジンはどうしても熱を発生して熱源で場所ばれしたり熱源追尾式ミサイルの的になったりするので電気で動く戦車を作りたいんだそうな。また、今後の計画としてエンジンの出力を1800馬力まで上げ最高出力を94km/h(!)にした後期型を開発・製造したいとのこと。

炎上

アルタイは2016年から量産車がお目見えする予定だったが、エンジンの調達でつまずいている。

  • ドイツや韓国のエンジンを検討したが条件面や技術面で折り合わなかったため、2013年5月に日本に対して協議を打診していたが、周辺国へ輸出する意向を示しているトルコと第三国への輸出に事前同意を求める日本との間で溝が埋まらず、2014年に協議は停止した。[7]
  • 2015年3月22日、トラクターを作っているトルコ国内企業Tumosan社が日本円換算で260億円をかけ国産エンジンを開発することを発表した。だけど、変速機はどうするんだろ? MTUから買うんだろうか?[8]
  • Tumosan社は2015年にオーストリアの「AVL List GmbH」と技術支援契約を締結していたが、この契約も解除されたことが2017年にジェーン・ディフェンス・ウィークリーによって報道された。[9]
  • 2017年3月30日のニュースで、アルタイ戦車用としてT-80D戦車とかで使われてる水平対向6気筒ディーゼルエンジン『6TD』を供給することでウクライナとトルコが合意するという奇跡を実現。エンジンとトランスミッション込みのパワーパックという形で前述Tumosan社がライセンス生産するそうである。こんなことをしたらプーチン激オコ[10]だと思うのだが、同年7月のニュースでロシアと対空ミサイル『S-400』を30億ドルで購入する契約を実現。別にロシアは怒ってないようである。
  • 2021年10月には、トルコと韓国の間で、韓国企業がパワーパックを供給する基本合意書に調印したと報道されている。[11]

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量産車が出来たら、誰かプラモ出してくれるはず…!

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関連項目

  • 軍事 / 軍事関連項目一覧
  • 軍用車両の一覧
  • AFV / 戦車
  • マガフ:M60Tの項目を参照。
  • K-2(戦車)
  • トルコ
  • ジャギ

脚注

  1. *さすがにM60相当への改造は行なっている。
  2. *第3世代戦車というのは基本的にお値段日本円換算で大体10億というのが相場である。が、兵器市場は殿様商売な側面もあり、国内調達価格に1.5や2くらい掛けた値を販売価格にすることは珍しくない。たとえば、アメリカのM1A2エイブラムスの国内調達価格は日本円で6億円/両(量産効果で相場より安い)程度だが、サウジアラビア向けには15億円/両で販売された。
  3. *一応中古のレオパルド2A4を150両ほど購入した模様。価格は不明(レオパルド1、180両との抱き合わせで約400億円)。
  4. *ホウ素と炭素からなる超硬素材でダイヤモンドに次ぐ硬さを持つ反面、単体では密度や破壊靱性にてセラミックに劣る。複合装甲の素材としては研究されているほうの素材・・・らしい。ちなみにトルコはホウ素の原料の主要産出国である。
  5. *本当はXK-2用の韓国製エンジンを積む予定だったが、いつまでたっても開発が終わらないので2011年に三行半を突きつけた。このままいくと韓国はトルコにパワーパック分の返金をしなくてはならない。これについては韓国は2017年までに債権か現物支給という形で返したらしい。
  6. *火器管制装置。要は敵を狙ったり距離を測ったりする機械。
  7. *トルコ、日本との戦車エンジン共同開発で協議停止 2014.2.28
  8. *M60の魔改造戦車であるM60TはMTU製パワーパックを積んでいる。マガフの記事を参照。
  9. *韓国の技術導入したトルコの戦車が量産できない理由に、韓国ネットはため息と自虐 2017.2.2
  10. *一応2016年12月にISISに石油売った罰でトルコの戦闘機叩き落した際、「う、うちの戦車のエンジン買ってくれたらこれで許してあげてもいいんだからね!」と言ってた気がするのだが。
  11. *Turkey, South Korea sign deal for Turkish Altay tank 2021.10.26
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