10式戦車 単語

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10式戦車とは、日本国陸上自衛隊の最新戦車(MBT)である。

概要

読み方は「ひとまるしきせんしゃ」であり、「じゅうしきせんしゃ」ではないので注意。

  • 74式戦車の後継として平成22年度より配備される新戦車です。ゲリコマ対策も考えられています。
  • 世界を見渡しても屈の性を有していると思われます。また日本情にあわせたサイズと重量です。
  • 調達価格は9.7億円。ただし導入当初価格ですので今後安くなる(7億程度)と考えられています。

2010年6月、制式採用が決定。報道機関開された。

2012年には富士総合火力演習でもお見えし、走りながら射撃し命中させる「エクストリーム流鏑」の術を披露して見事「変態戦車」の異名を頂戴することになった。ニコニコ超会議2では開発者によるトークショーが行われ、トークの内容からその射撃の高さがえる。(三菱重工中の人は、「変態戦車」、彼共に移動状態でも100%命中等と発言)

より詳しい説明をお望みの方は以下の文章をお読みください。

より詳しい説明

数量では90式戦車よりも多い74式戦車の後継として90年代よりTK-X(次世代戦車)開発が行われることになった。

現状で漏れ伝わる内容から、現行の90式戦車と同等レベル以上の戦闘力を持ちつつ、東西冷戦、および湾岸戦争以後の新しい役割をもとめられている戦車として開発されていると考えられる。

2008年3月に初めて開された10式戦車(TK-X)の特徴は以下の通りである。

国産120mm滑腔砲を装備しつつ重量を現行の74式戦車と同じ40t台。サイズも90式戦車より若干小さい

10式戦車は本州以南に配備されている74式を更新する的で開発されており、74式用のインフラで運用できるように考慮されている。体のサイズ(全長9.42m・全幅3.24m・全高2.3m)は74式とほぼ同様であり、重量も標準は44tだが、モジュラー装甲を外すことで、73式特大セミトレーラーに搭載可な40tにすることが可[1]

90式戦車を73式特大セミトレーラーで輸送する場合は体とを分離しなければならないので、これは大きな利点である。

ちなみに下記の防衛省の資料によると、全国道にある(17,920箇所)のうち10式戦車(TK-X)が通過できる箇所は84%ときわめて高く、90式戦車の65%アメリカ戦車M1など60t級では40%程度という数値にべるとどれだけ全での運用に注意を払ったかがうかがい知れる。
参考資料:防衛生産・技術基盤 平成22年4月 防衛庁exitPDF)(P9を参照)

戦車は、90式戦車ラインメタル社の120ミリL44滑腔ライセンス生産したものを採用しているのとは異なり、日本製鋼所製の120ミリL44滑腔を搭載している。NATO基準の全ての120ミリ弾と全互換で、弾は自動装填される。[2]予算執行事前審査等調書 (平成22年度第3四半期)exit P9798に専用弾の記載あり)

装甲の一部を外装式モジュラー装甲としている

90式戦車が複合素材による装甲を内装式モジュラー装甲としていたのと異なり、TK-Xでは外装式モジュラー装甲を選択しているのが特徴である。モジュラー装甲とは入替えが出来る装甲のことで、装甲の入替えにより防御力の強化を図ることが出来る形である。外装式モジュラー装甲を導入することで装甲の取り外し、損時のすばやい交換が出来るだけでなく、装甲の改良も較的容易になっている。

ちなみに開されたTK-Xの装甲状態で44t。重装甲化することも出来るといわれ、その場合は48tになるといわれているが定かではない。但し装備年鑑、一般開などでは一貫して10式戦車の重量は44tと称されており、防衛省陸上自衛隊から「48t」と明言したことはない。

当初からC4I機能や各種センサを組み込んだ形として設計した

第3.5世代以降の戦車められるデータリンクを当初から踏まえた形として作られているとされる(C4I及びデータリンクについては後述)。特徴的なのは四隅に設置されたセンサ。これはいままでの戦車に見られない取り付け方法で360度全周に対応している。おそらく戦車ミサイルが照準をつける際に発するレーザーを察知するための対レーザーセンサ、対戦車ミサイルロケット弾を感知するセンサ、熱などを感知する複数のセンサが あると思われるが定かではない。また内にいながらにして全周情報が取得できるという話もある。

パワーパック(エンジン)のトランスミッションに無段階変速機能を取り入れた。
またアクティブ・サスペンションもあわせて搭載

パワーパックが2サイクルV10エンジン+多段式自動変速機から4サイクルV8エンジン+油圧機械式無段変速機にわざわざ変えたのはパワーパックの高効率化によって1力あたりの排気量を減らし、排気ガス中の赤外線を減らすことで相手に探知されにくくするため、と推測されている。

また防衛省技術研究本部(TRDI)の発表では、スプロケット出力では現有戦車べて格段に向上という文言がある。これは、エンジン出力を効率的に起動輪(スプロケット)に伝達できるという意味で、90式戦車べると格段の進歩を遂げたと解釈していいだろう。

同時に120mm滑腔を運用するためには、ては50t以上の体でなければ発射時の反動を抑えられないといわれていたが、TK-Xは油圧制御アクティブ・サスペンションによって反動動的に抑えており、すでに開された映像ではモジュラー装甲しの状態(40t?)で、90式戦車による発射時よりも素反動を抑えている。

さらに衝撃を和らげる役割を果たす転輪が90式戦車より一つ少ない5輪にもかかわらず不整地走行では90式戦車と同様あるいはそれ以上に体の上下動が少ないなど、アクティブ・サスペンションの効果は大きいと思われる。実際、これらの高性変態駆動系等により、10式戦車は後進機動でも70km/hを発揮可であり、運動性も前進時同様に高いレベルを維持しながら後退することさえ出来る。

まとめ

以上の点を踏まえると10式戦車(TK-X)は「性は既存MBTと同等、あるいはそれ以上の性を達成。かつ最大20t近く軽量化する」という従来にない野心的なコンセプトで作られつつある戦車といえるだろう。

しかしTK-Xが世界初の「第四世代(G4)」戦車になるかは、諸外戦車開発スローペースであることなどを踏まえるとまだ確かではない。

国産主力戦車の比較

74式戦車 90式戦車 10式戦車
重量 約38 t 約50 t 約44 t(装甲付)
51口径105mmライフル 44口径120mm滑腔 44口径120mm滑腔
(90式戦車より高威力)
装甲 流線装甲 複合装甲(内装式モジュラー装甲)

複合装甲(外装式モジュラー装甲)

エンジン エンジン エンジン エンジン
最高速度 53 km/h 70 km/h 70 km/h
720 ps / 2200 rpm 1500 ps / 2400 rpm 1200 ps / 2300 rpm
懸架方式 気圧式 ハイブリッド 気圧式(
乗員 4名 3名 3名
C4I ×
(T-ReCSの装着可)
コスト 3.54億円 89億円 910億円(H25年度単価)

新規国産MBT開発理由

現在日本を除く自で独力で戦車開発できる9カ(アメリカロシアイギリスフランスドイツイタリアイスラエル中国韓国インドは除く)においてはMBTの改良、あるいは新規開発が進められている。

アメリカドイツなどでは新規開発ではな、く既存車輌の改良という方法が選択されている。これにより湾岸戦争イラク戦争などの戦訓を踏まえてC4I機の強化、戦闘の対応、RPGなど携帯対戦車兵器対策のための側面への増加装甲など各種の改良計画を行い、第3.5世代ともいえる形へ対応している(また統一ドイツ誕生により余剰化したレオパルド2を配備した周辺各も同様に増加装甲などの強化を行っている)。改良を選択した理由の一つに更新車輌数が多いことがあり、これを全面的に乗り換えるには予算や規模の面で問題があるためでもある。

これは90式戦車がそうだったように、戦車だけではなくそれに 付随するさまざまな装備を置き換える必要で、それらの費用を考えると(新規開発ではなく改良で済ませるデメリットを考えても)既存戦車の改良でとどめておくという理由もある。また欧州では喫緊の脅威が減少しつつあり、社会情勢の変化もあることを頭にいれる必要もあるだろう。反対にアジアでは諸外の軍拡スピードが上がっているという側面も、忘れてはいけない。

ただし現用戦車の改良となると、C4I機を追加するにしても既存の操作+αでは搭乗員の負担が重くなる。あるいは全ての操作系や装甲を更新するには改良費がかさむ原因となるのはいうまでもない。M1戦車M1A2SEP改造する際に、部品単位、シャーシまで分解してから再度組み立てるということを行っている映像もあるので、あそこまでやると改造とかそういうレベルではないような気もしないでもない。

また、対戦車ミサイルロケット弾に対応するための増加装甲をつけた場合、重が重くなるためエンジントランスミッション・サスペンションに負担がかかって速力が落ちる、燃費が悪くなるケースはたまた整備に負担がかかり稼働率が落ちるケースもある。当然、操縦性にも悪を与える。

90式戦車の50tのサイズ事実内で運用する限界である以上、何かを付け加えるような改良は基本的に難しく、また予算的にも新規開発より経費がかかる。また数の上では一世代前の74式戦車が最も多い日本では、74式戦車を改良したところで105mmでは現有戦車えることは難しく、寿命(耐用年数)も短い。あまり知られていないが74式戦車もわずか数両、74式戦車Gとして改造を受けたものの、費用対効果に見合わないとされて、試作4台に終わった事例も存在する(機甲教育隊にのみ配備)。

一方の欧と対照的に、イスラエル韓国中国ロシアでは新戦車の導入・開発が行われている(ロシアはつい先頃、開発を中止したが)。この点は情(内、周辺各との問題などなど)があるためでもある。特に中国は精力的に従来までのロシア車両技術から旧西側諸国の技術を取り入れ、98式、99(G)式、そして現在0910工程と呼ばれる車両開発中でもある。

防衛省の判断は、日本国内の地理的条件に踏まえ、なおかつ当初からC4I機や各種センサを必要十分に組み込んだ新戦車開発したほうが、耐用年数も長く運用できるという算があったためであろう。
また、ほぼ20年おきでも新規車両開発していかないと、内の戦車開発力の人材が維持できないという面もある。これは戦車に限らず兵器開発全てに通じることである。技術散逸防止、蓄積継続には相応の意義も存在する。

ついでに書くと、全省庁にとって最大の敵対勢力かもしれない財務省などによって日本戦車数はただでさえ少ない950両からさらに600両に数を減らされた。その上、更なる防衛大綱の変更により400両に削減される。数の少なさを性によって補わざるをえないという現実も書いておかねばならない。また、“動的防衛”を重視する新防衛大綱の継続した場合、今後さらに削減されていくと思われる。

確かに兵器というのは一世代以上も異なれば、一定以上の数量を優越しうることもある。しかし必要最低限度の数量というものは存在している。仮に戦車400台を維持した場合、90式更新を当面行わないとしたら、製造台数は70台未満と、89式装甲戦闘車と同じ憂きに合う可性もある。

量産予定単価は7億。つい先頃の資料では導入時初期調達価格でおよそ9億となっており、このまま行けば順調に導入価格は落ちていくと思われる。90式戦車の場合は、11億円から現在の9億円に下がっていった。さりながら当初、5年で58台調達を一括契約で行う予定が、「政権交代」で単年度契約とされコストは上昇気味である。AH-64D導入の二の舞にならなければいいが…

公式較としてあげられている較として、M1A2C4I導入改修):1012億程度(非開のため予想価格)、ルクレール:10億と言われている。

但し安倍政権において平成23年度中期防衛力整備計画は凍結。防衛力の拡充を前面に押し出しており、一概に悲観するばかりではなく、今後の動向を冷静に観察することが必要かとも思われた…が、空自海自の拡充、陸自の展開力強化の代償に戦車定数300台へ更に減らされた。三菱重工の特事業からの撤退も近いかもしれない。

C4I

揮(Command)、統制(Control)、通信(Communications)、コンピュータ(Computers)、情報(Intelligence)の頭文字を取ったもので、部隊間の連携をより高め揮をより高次元で行うためのシステムの総称である。最近ではInteroperability(相互運用性)がついてC4I2、あるいは監視(Surveillance)と偵察(Reconnaissance)が追加されてC4ISRとも呼ばれることがある。

C4Iのネットワークを組み込んだ戦車の筆頭に、米軍M1A2SEPがあげられる。従来のM1A2に拡パッケージを追加する形でC4Iを実現している。とはいえ従来の操縦+電子機器の操作は搭乗員や兵装に負担をかける場合がある。望ましいのは設計当初からC4Iネットワークに組み込むことだが、これを行っているのはフランスルクレールしかない。これに続くのが10式戦車(TK-X)で、これによるメリットははかりしれない。従来までの戦車の意思伝達方法としては基本的には音通信、あるいは簡単な敵味方識別情報等の信号等であったものが、相互にネットワーク化され様々な情報が自動的にやり取りされることになる。

例えば山の稜線をえた先にいる敵勢力の情報を上を飛ぶスカウトヘリUAVが察知するとその情報が自動的に手元のモニタに表示(データリンク)されることで戦場把握を簡単にしたり、複数戦車情報を連携することで戦闘機動をたくみに行ったり射撃を容易にする。といったことも可になる。

それまで一両単位で戦ってきた戦車が、いきなりチームプレイが可になるのだ。この恩恵は計り知れないものになるだろう。事実、この機フル活用した10式の試作は。戦車教導隊の各中隊を相手とした模擬戦闘試験で、圧倒的な結果を残したとも言われている。

ただ、こういったシステム戦車間だけで成立するわけではなく、部隊レベル、連隊レベル、師団レベル、と規模を大きくさせたC4Iネットワークの構築が必要となる。

陸上自衛隊においては、基幹連隊揮統制システム(ReCs)が前線部隊ネットワーク揮統制を行い、その上位システムとして師団等システム(FiCs)、方面隊規模として方面隊システムが存在する。特科部隊向けのC4Iシステムとは、野外通信システムを介して連接される形となる。現在陸上自衛隊北部方面隊第2師団(旭川)がこのReCsを導入しC4Iネットワークテスト中とのこと。

10式戦車はC4Iシステムを組み込むことで、戦闘の自動化とネットワーク戦闘が可になった90式戦車は西側で初めて自動装填装置を搭載し、自動追尾機世界で初めて戦車に搭載するなど、当時としては戦闘の自動化にこだわった戦車であった10式戦車では更に進化し、戦闘行動のほとんどが自動化され、さらにネットワーク化で小隊単位の戦闘の自動化をも向している。

具体的には、

配備状況及び今後の展望

10式戦車は平成25年度までに53台が調達され、機甲教育隊や武器学校戦車教導隊第1中隊などの教育部隊へまず配備。その後に実戦部隊である第1戦車大隊第1中隊へ配備された。陸自最新の戦車北海道ではなく、内地の戦車部隊から配備を開始したのはここ数十年久方ぶりである。

加えて平成25年の中央観閲式についに第1戦車大隊第1中隊の10式が参加し、安倍晋三首相と多くの来訪者の前で晴れ姿を見せている。総火演や駐屯地一般展示でも非常に人気の高い戦車である。

但し今後、どの程度の数量を製造できるかは、上述の防衛大綱改定により厳しい展望と言わざるを得ない。

少なくとも第1戦車大隊の2個中隊は10式定数充足されると思われる。しかし戦車装備の定数300台では、仮に90式の初期ロット更新するとしても多数の製造が望めない。あるいは未だに用途棄には程遠い90式更新となると、長期間少量製造を強いられコスト高騰も考えられる(AH-64Dの事例が近い)。

内地の74式を装備する戦車大隊、戦車隊に十分に行き渡る装備定数ともいえず、教育部隊首都圏防衛の第1師団以外の実戦部隊へ、どの程度の配備が可なのかは未知数の状況へ陥った。定数300台ということは、つまり現状の10式90式、74式混成の700台強を半数未満へ削減。しかも90式だけで341台が配備されているのだ。

戦車という装備に限れば民主党政権時代よりも厳しい状況と言わざるを得ない。

あるいは近年の試作開において戦車に近い高性を披露した機動戦闘車、これは「戦闘職種」の装備とされ、機甲科と明記されていないものの、新防衛大綱では戦車の配備は基本的に北海道九州に限定と明記。本州からは教育部隊を除外して戦車部隊は全されることになった。

平成26年から5年間の製造台数も44台と更に減少傾向にあり、当面、九州を防備する西部方面隊の第4師団、第8師団の74式戦車代替分の製造は確実でも、総生産数は非常に少ないものになると推察される。

「重量が軽くなったってことは、装甲とか薄くなったから防御力は落ちてるんじゃないの?」

90式戦車に使用されている複合装甲で使われる複合素材(鋼・セラミックなどの異なる素材を組み合わせたもの)に関する技術は長足の進歩を遂げており、同一の防御力を満たす装甲を作るのに、当時と同じ材質を使っても70%。新理論素材を使えば30%(!)までの軽量化を果たせるという説もあります。

昔と違って、重い=装甲が厚いという図式は成り立たちません軍事評論家でさえも、これを理解できていないのが多いです。近年は民生技術を中心として、製造業関係の技術進歩も非常にくなっています。

またエンジン・燃料タンクなどの小化により、車両サイズそのものの縮小も進んでいます。すなわち、車輌面積が少なくなるということなので、守らなくてはならない箇所が減り、少ない装甲でも効率的に防御が可になっているということです。

さらに、防衛省公式見解では「上面の軽量装甲ですら自己鍛造弾に耐えうる」といいます。最近流行の携行トップアタック兵器にも、ある程度以上耐えられるということを示唆しているといえるでしょう。

ちなみに、開された10式戦車の上面のハッチの厚みが薄いことから「装甲が薄い」と書いた軍事評論家もいますが、車輌はあくまで試作車輌ですので、長短所に関わらず、映像だけで判断するのは妥当ではありません。二重ハッチの「間装甲」という可性もあります。

この点については今後。防衛省陸上自衛隊からの説明。あるいは駐屯地祭などで、量産仕様がどのようになっているのか。注視して考えてみるのもいいでしょう。

「韓国で新しく開発されたK-2(XK-2)はERA(爆発反応装甲)とか、対戦車ロケット弾防衛システムがあるけど、TK-Xはどうしてないの?」

ERAも対戦車ロケット弾防衛システムも、破片を周囲に撒き散らす物騒なシロモノなので、戦車の近くに非装甲車輌や暴露人員を置く事ができません。高性な複合装甲、センサーシステム開発出来れば。そういったリスクを犯してまで、理に搭載する必要性は薄いといえます。

また、ERAが有効なのは、に成を用いる対戦車ロケット弾などが被弾した場合で、APFSDSのような運動エネルギー系の徹甲弾には、あまり有効ではありません(二層式にするなどの方法はある)。
加えて最近の対戦車ロケット弾はこういうケースに対応するため、タンデム弾頭(炸を二重化してERA効化する)などの方法が取られているので、防御する上でERAは確実的な方法ではなくなっています。

防衛システムアクティブセンサは電波を放射してロケット弾の接近を察知しますが、言い換えれば電波を垂れ流すということであり、これを陸軍関係者はあまり好まないケースもあるようです。

今後の技術発展でピンポイントで防衛できるシステム開発できればベストではありますが、一長一短の様相が強すぎて、現時点では10式戦車には必要ないと判断されたということでしょう。時期尚と考えている旧西側諸国の判断も、ここに立脚しています。

*但しアクティブ防御システム研究自体は、現在TRDIを中心に行われています。

「K-2(XK-2)もレオパルド2A6も55口径120mmなのに10式戦車はどうして従来通り44口径120mmなの?」

大砲の威力を増加させる方法は、口径(弾の直径)を大きくする >> 身を伸ばし装も変える >> 身と装のどちらかを変えるの順に効果的です。ここでは「口径を大きくする」、「身を伸ばす」「弾や装を変える」の三要素に分けて解説します。

最初の『口径(弾の直径)を大きくする』という方法については、現行の120mmというサイズ人力で装填するぎりぎりのサイズとも言われ、これ以上の口径増加は自動装填装置を組み込まないかぎり分割とか発射速度の低下など色々と面倒を引き起こします。ロシアの試作に終わった新戦車、あるいはレオパルド2改造試作などは、140ミリクラスを搭載したものも存在しましたが、実用性の面から断念されました。

次の『身を伸ばす』という方法は、たとえば120ミリで55口径(L55)の場合、120mm×55=6600mmとなり、44口径の5280mmよりも1m30cm長くなります。弾がより身を長く通過するため弾の速度、つまり弾の運動エネルギーが増加、射程距離の延長、装甲貫力の増加などのメリットが生じます。ただし、その分装も変えないと十分な威力強化になりません。装を変えず身だけ伸ばすのはよほどの事情があるか、もともと装にその分の余裕があった場合に限られます。

しかし身が長くなると弾そのものが身内部で振動する、「バロッティング」と呼ばれる現象が発生しがちで、これが発生すると命中率の低下などを起こすだけではなく、APFSDSだと着弾時に弾芯破壊が起きて装甲貫力の低下を及ぼすなどのケースもあるようです。

ちなみにアメリカの実射実験ではあまり射程距離も伸びず、中距離では一般に命中精度も落ちるという報告もあるとか。また身が長くなると車両部分より身が長くなるため移動時など色々と運用が取り回ししずらくなることや、身そのものが熱などでんだり(90式戦車などはその歪みを検知するセンサもあります)、寿命が短い、長い分重量もかさむといったデメリットもあります。ルクレール(ルクレルク)が52口径という間をとったような口径長なのも色々理由がありそうです。

最後の『弾そのものを重くする、装を改良する』という方法はデメリットが少なくメリットが多い方法と言えます。弾を重くするのは劣化ウラン弾が使われる理由の一つなので、ここではもう一つの装を改良することについて簡単に。

とは莢内にある火で、これが燃焼して発生するガスの圧力が、弾が飛びだすためのエネルギーとなります。当然発生したガスの圧力が強ければ強いほどいいし、装が燃焼する場所だけではなくエネルギーを効果的に弾に伝える室と呼ばれる場所の設計を見直したりする必要があるほど。 

10式戦車で自衛隊が選択したのはこの方法で、90式戦車ラインメタル社製ライセンス生産だったのが、今回一部ライセンス部品を使いながらも内生産に踏み切ったのはこのせいなのでしょう。

話によると10式戦車用に開発された120mm弾は、90式戦車では使えないそうです。恐らくは装燃焼速度の向上、装充填量の増大など、既存のラインメタル120mm滑腔室や身では、耐え切れない可性があるのでしょう。なお、試作徹甲弾を原とした「10式120ミリ装弾筒付翼安定徹甲弾」は、一説によれば90式が用いてきたドイツライセンス品。JM33を基準として3割以上の貫通力増大が見込めるとか。

そもそもサイズと重さを74式戦車程度に抑えたいのに、不具合頻発の長身を理して搭載するメリットは希薄です。ただし10式戦車は発展余力を残し、長身化を含む火力向上の余地は見込まれているとのことです。

「なんで今更戦車の新規開発? 戦車が必要になる状況なんてオシマイじゃないか? それなら装輪装甲車でも作っていたほうがいいんじゃない?」

戦車の必要意義(抑止効果)は90式戦車の項でも触れています、ここでは違う観点から説明します。

戦車が必要な状況とは何も対戦車戦闘というだけではありません。イラク戦争でもあったように、従来不適とされていた戦闘でもその装甲とセンサー類、強力な火器で歩兵の壁になったり、支援を行ったりと様々な場面で使用することが出来ることが知られています。アメリカM1TUSKを準備しているのは実績と必要性のあってのこと。

このような場合でも、論対戦車ロケットなどの歩兵携行火器による攻撃にされる可性はありますが、10式戦車は最初からその状況に対応するべく外装式モジュラー装甲、全周警用のセンサーを備えているので撃破は容易ではありません。つまりは戦車+随伴歩兵の組み合わせなど兵器兵器は組み合わせることでより強力な存在となります。要するに何事もバランスと組み合わせが肝心ということです。

昨今はやりの装輪装甲車も使えないわけではありません。しかし対戦車ロケットに耐えうる装甲ではないのも事実です。イラク戦争に参加したストライカー装甲車RPG-7対策などで周囲を金網で囲うという、まるでベトナム河川舟艇で行われたかごとくのぐましい努力対策をしている実例。そして地でも、道路が破壊された場合の踏破力の不安などから、本来は正面切った戦闘には使いづらい車両です。

現にカナダ軍は戦車・装輪装甲車配備という方針を撤回。アフガニスタンでの戦闘のためにレオパルド2を持ち込んだのを考えると、今でも戦車の有用性は維持されています。「歩兵支援、敵勢力排除と地域制圧」という本質・必要性は変わっていません。各戦車を数を減らしつつ維持しているのは、そういった理由に基づいています。

その上でにおける、陸上自衛隊戦車の存在意義を定義しましょう。

有事の際に厳しい戦いを多く強いられるのが航空自衛隊海上自衛隊というのは、たしかに間違いではありません。しかし、が「専守防衛」を維持し続けている限り、空自海自が対抗勢力をいきなり攻撃することは出来ません。そうなってしまった場合、ある程度の敵対武装勢力の上陸は非常に高い可性で成功します。

専守防衛である限り、問答用で怪しい船舶は撃沈、航空機を撃墜という勇ましい意見は論外です。そして海保巡視船も常に最適位置で臨検できるわけでなく、自衛隊の中では陸が初陣を切る可性が高いのです。後は洋上で標を捜索、漸減できる確率は今より技術に劣る冷戦時代でさえ三割が最善数値だったこと。

何よりも日本海側の長い海岸線には、5000トン級の「民間」であれば楽に入港できる優良港湾が多数整備されており、上述の時の常識内法を合わせ、着上陸の全な阻止不可能といえるでしょう。

加えて周辺諸較して優越している空自海自の戦力。これを有効に活用するには、空自基地や海自地区。何よりも都市民間人、土の安全が確保されていなければ、十分にその実力は発揮出来ません。「航空及び海上自衛隊だけで、洋上と領で全てを阻止できる」というのは、いろいろな意味で現実味のない想定です。

因みに空自海自も自前の基地警備隊は有していますが、その実力は未だに頼りないもので、有事に際しては陸自依存せざるをえないのが実情とのことです。海自地区などは歩兵3個中隊で制圧可と自嘲されています。

こういった特性と、上述の戦車本来が保つ特性を鑑みるに。陸上自衛隊戦車を含む一定以上の重装備と、それを運用しうる組織であること。これは抑止力と防衛力の維持において、欠かせない要素です。論、が方に正正銘の戦車が存在するということは、対抗勢力の着上陸のハードルを大きく上げることになります。

 以下、仮に陸上防衛力の不足のデメリットを、簡単に説明しますと…

 日本戦車がない(あるいは極端な軽装備向)
  ↓
 国内に展開した敵性ゲリラコマンド・軽歩兵掃討に甚大な害。また、安直な着上陸を誘発しかねない
  ↓
 相対的に航空自衛、海上自衛。海上保安庁などの有する抑止力も低下してしまう
  ↓
 結果として日本、日本国民の有事における害が、バランスの欠けた防衛力では拡大してしまう

このような流れになってしまいます。航空及び海上自衛隊だけで全ての脅威を阻止陸自を極端な軽装備とすることは、大きなリスクを内包しています。バランスの崩壊した組織が脆いのは、民間企業自衛隊も一緒です。

日本政府防衛省自衛隊もこの点を認識していなかったわけではありません。しかし長引く不況による税収減少による防衛予算の長期削減、その中でやりくりしてのBMD事案推進、民主党政権時代の混乱。そして離事案対処という状況の浮上により、否応なしに10式を含めた重装備の大削減が生じたのみです。

引き換えに陸上自衛隊は緊急展開力を高め、海上自衛隊は組織再編と装備更新め、航空自衛隊も防網の刷新を急いでいますが、今後の新しい抑止力として機しうるかは現段階では様子見といったところでしょう。

「FAQ読んでると10式戦車がまるでチート戦車みたい。大体記述が日本より過ぎじゃないの?」

 ですよねー。ま、日本で使う兵器日本開発するんですから日本に都合が良くないとおかしいのですが。
いや、冗談はさておき現時点ではチート級な力だと考えてもいいでしょう。

 理由はいろいろあるのですが、ここ20年来、戦車開発していた列強各(アメリカロシア(ソ連)、ドイツイギリスフランス)の々の新規戦車開発が中断されたり停止していたり、既存戦車の改良でを濁しているんですよ。何しろ冷戦時代に製造した台数も多いですしね。

一から新規設計された装備に、既存装備の魔改造で追いつくのは事実不可能。その端的な事例でしょう。

10式戦車は90年代から2000年代戦車戦訓を取り入れた上に、日本国内での運用を考え最適化をおこない、それまでの戦車が装甲強化、攻撃力強化で重厚長大化する中、新素材・新技術を持ち込み逆に軽量化へのを選択しました。これが成功するのか否か、非常に興味深いといえましょう。
(一方で、この判断を受けたせいかはわかりませんが、中国現在開発中という最新式車両0910工程は従来の重厚長大な路線を転換、軽量化へを向けた…という話もあるぐらいです)

また、アメリカ軍M1A2の当初重量から現行の60tオーバーではイラクアフガニスタンでの運用面に支障をきたしつつある状況を危惧しており、2017年あたりをメドに軽量化対策を行ったM1A3を導入することを検討しつつあるニュースexitも流れています(とはいえフレームの見直しなどをしないことには抜本的な解決には程遠いと思われるが…)。
その理由が内事情から端を発してるとはいうものの、10式戦車は興味深い事例となりつつあるようです。

なお、ては高機動性で鳴らしたレオパルド2最新改良の一つは、重量70トンへ達しました。

実用化して色々と問題点は出るかもしれませんが、今のところは期待していいと思いますよ。導入については、2010年から2012年にかけて、毎年13台の導入が行われています。今後、部隊運用が進むうちに評価も定まり、他職種部隊との運用の幅の拡も行われていくでしょう。

10式戦車の一般への公開

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MMDモデル

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関連コミュニティ

関連項目

脚注

  1. *「最新10式戦車のメカニズム」奈良原裕也 刊丸別冊 陸上自衛隊戦車 2011
  2. *【ジェーンズ・ディフェンス・ウオッチ】65年目の陸上自衛隊(2)exit 2019.3.21
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