不思議のダンジョンとは、チュンソフトが開発またはチュンソフトにより名称使用が許諾される、ローグライクゲームをベースコンセプトとしたゲーム群の総称である。
概要
不思議のダンジョンシリーズはローグライクゲームの一種で、元々PCのコア層向けであったローグライクゲームをコンシューマ機向けとするために、元来の基本コンセプトを踏襲しつつ大幅な変更が行われている。以下でその部分を解説する。
踏襲した基本コンセプト
元来のローグライクゲームからほぼそのまま持ち込まれているのは以下のような点である。
- ランダム生成ダンジョン
- ターン制行動
- コンティニューなし
- 空腹度の存在
- 未鑑定アイテム
- モンスターハウス
- ダンジョン内の店
- 肉システム
トルネコの大冒険で新規導入したシステム
不思議のダンジョンシリーズでは上記に加えて以下のような工夫や新システムの導入が行われている。
- フロアのターン数制限
- 元来のローグライクゲームは1フロアに留まれるターン数は制限されていないが、不思議のダンジョンシリーズでは最大ターン数が決まっていて、一定ターンが経過すると警告後に全マップ表示状態となり、それでも留まり続けると強制的にゲームオーパーとなってしまう。
これは不思議のダンジョンシリーズではもう一つの行動制限要素である満腹度減少が比較的簡単に克服可能なことと、同じフロアに長時間残り続けて経験値やアイテムを稼ぐのを防ぐためとおもわれる。また先のフロアへと急がせることで、より強い敵や新たな局面と対峙させて飽きにくくするためでもあるのだろう。
- 操作の簡略化
- 本来、PCのローグライクゲームは操作の一つ一つがキーボードのボタン一つ一つに当てはめられた作品が多く、 どのボタンを押せば、どの行動を行うのか覚えるまで非常に敷居が高いゲームであった。しかも、大文字、小文字に対応するボタンの行動が異なるので非常に慣れるまで簡単に遊べるとは言い辛い面もあった。しかし、不思議のダンジョンシリーズでは、当時のドラゴンクエストなどに既に使われていたウィンドウによるコマンド選択方式を利用し、子供や普段ゲームをしない人にも格段に遊びやすくなっている。
- 射撃・投擲武器のカテゴリー変更
- 元来のローグライクゲームではキャラクターの武器装備はかなり厳密に考えられていて、近接武器を持っている状態から弓矢等の射撃武器を使うには、まず武器装備を弓矢に持ち替えなければならなかった。
- 不思議のダンジョンシリーズではこの持ち替えをめんどうと判断したためか、キャラクターは標準で弓つまり矢を撃つ機能を持っており、弓矢を装備しなくても道具欄から矢を選択すればいつでも撃つことができる。
- つまりは、射撃・投擲武器はカテゴリー上の「武器」では無くなり、道具欄から選択すればいつでも撃つことができる遠距離攻撃用の消耗品の束となった。(武器や盾とは別に矢を装備することも可能で、基本的には撃つ動作の簡略化だが、盗みや破損攻撃の対象にならないなど「装備中」のメリットとデメリットを受けられる。)
- これによりアイテムの分類はよりはっきりし、さらに専用の操作系を加えることで射撃・投擲武器がずっと使いやすくなった。これは杖の使用も含めた遠距離攻撃戦のバリエーション増加に大きく寄与することとなっている。
風来のシレン以降で新規導入したシステム
- 壺の導入
- 不思議のダンジョン(風来のシレン)で加わった新しいカテゴリーのアイテム。中に他のアイテムを『入れる』ことで、主に入れたアイテムに何らかの効果を発揮する。また、1つの壺に複数のアイテムを入れることができるため、多くのアイテムを壺に入れて持ちあるくことができる。
壺の種類により使い方や効果は様々だが、入れる一方で出すことが出来ず、入れた物を出すには壺を割るしかない種類が多い。また予期しないトラブルによりあっさり壊れてしまったりもして、これが一期一会的システムが基本であるローグライクゲームに非常によくマッチしている。
唯一の例外が割らずに中身を取り出せるのを固有の特徴とする保存の壺で、これの登場によってプレイヤーの持てるアイテムが激増し、ゲームバランスにかなりの変化を与えた。
- 合成の導入
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- 不思議のダンジョン(風来のシレン)で加わった新要素。「合成の壺」に武器同士、盾同士を入れると合成され先に入れたものをベースに、後に入れたものの特徴が引き継がれた一つのものになる。原則として、先に入れた武器に後に入れた武器の修正値が加算され、能力があれば能力が印として引きつがれる。
例えば合成の壺にカタナ+1を入れ、次に妖刀かまいたち+3(前方三方向に攻撃できる)を入れると前方三方向に攻撃できるカタナ+4が出来上がるといった具合である。
これにより、装備に様々な能力を複合的に付与できるようになり、戦略の幅が広がった。
剣や盾や腕輪は違う種類のもので合成できるが、杖は同じ種類のものでなければ合成できない。
また、シレン2以降では投げられたアイテムを飲み込んで合成するモンスターや、武器や盾に他のアイテムを合成してそれにちなんだ能力がつけられる異種合成、腕輪が合成できる作品も存在する。
- 印の導入
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- 先の合成で出来上がったカタナ+4の説明をみると【三】と言うマークと「【三】前方三方向を攻撃できる」との記述が追加されている。これが印である。能力が引き継がれたことが一目で分かる他、この印がついた装備をにさらに合成したり、印がついた装備を他の装備に合成した場合、印も同時に引き継がれる。
初期は能力を無制限に合成可能だったが、風来のシレン2からは武器毎につけられる印数に制限がつくようになり、武器の個性が基本値・能力・印数の組み合わせであらわされるようになった。
風来のシレン2のように印が重複して効果が大きくなる仕様(例:ゴースト特攻の【仏】の印が多くなるほどゴースト系モンスターにより多くのダメージを与えられる)の作品があれば、1つの剣、盾に対して1種類の印が1つしか合成できない仕様の作品もある。
- 罠ダンジョンの追加
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- 風来のシレンより登場。普通、罠といえばダンジョンの至る所に見えない形で埋まっており、踏むとプレイヤーにとってマイナスの効果をもたらし、更にプレイヤーのみが引っかかて敵やNPCは罠に引っ掛からないという悔しい存在であるが、罠ダンジョンでは逆にプレイヤーは罠に引っ掛からず、敵を罠に引っかけられるという仕様になっている。
基本的な仕様は上記の通りであるが、細かい仕様は作品によって異なる。
一見、罠を味方に付けられるため難易度が低そうに思えるが、大抵罠ダンジョンでは強力な盾が出現しない、武器や盾を強化するアイテムが出現しない、合成ができない等の制約が多いため、下層に行くにつれ如何に罠を上手く使って敵を無力化するかが重要となってくる。
また、どんなモンスターでも罠に掛けられるというわけではなく、浮遊しているモンスターは罠に掛ける事が出来ない。更に最近の作品では、敵を罠に引っかけた時に一定確率で罠が壊れる仕様などもある。
以上の制約から最下層を目指すとなると、もっと不思議のダンジョンの最下層を目指すより攻略の難易度は高い。
- 未鑑定アイテム名称設定の改良
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- ローグライクにおいては、未識別のアイテムを実際に使用するなどの方法で特定し、名前をつけることができる。
初期では自分で1文字づつ手入力しなければならなず面倒かったが、シレン2で一度書いた名前を呼び出せる履歴機能がつくようになり、その後の作品では初めの数文字を入れると復歴或いはアイテム図鑑にあるアイテム名からを検索してくれる機能など徐々に進化している。これによって、ダンジョン探索がスムーズに進むようになった。
- 救助システムによるプレイヤー間の協力
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不思議のダンジョンシリーズの問題点
ローグというゲームは綺麗なグラフィックやBGMや細かなストーリー展開が全くないゲームだったが、それは本来のRPG(テーブルトークRPG)の面白さそのものであり、自分で想像したり自分で設定を考えたりまさにRPG(役になりきる遊び)ゲームなのである。
その面白さは、文章だけの小説を読んで感じる面白さと近い。ローグライクゲームの中には自分でキャラクターの設定(主人公の性別、種族、職業、)等を変更することができ、自分だけの世界観で遊ぶことができるものも存在していた。中には非常に自由度が高い作品も多く存在し、自分の家、街や外の世界(フィールド)などがあり、遊び方も人それぞれ、いろいろな遊び方ができる。
だが、近年の日本におけるRPGと呼ばれるゲームは、主人公の設定や綺麗なグラフィック、美しい音楽、細かなストーリー、エンディングや主人公が冒険する理由などがあらかじめ、プレイヤーの意志とは関係無しに設定されていることが多く、不思議のダンジョンシリーズもこれに準じている。
これらは、とても遊びやすく、娯楽作品として最大限に追求した結果で、大成功を収める事になったが、返ってプレイヤーの想像の自由を奪い、主人公の役になりきるという本来のRPGとしての面白さとは離れてしまっている感もある。(悪く言えば、ゲームを遊んでいるというより決められた設定で遊ばされている)
・・・ただし、不思議のダンジョンシリーズは『主人公は喋らない』という作品が多くこれは、主人公の性格=プレイヤーの性格というRPG本来の考えに基づき感情移入しやすいようになど、随所に遊びやすいように工夫してある。
主な作品
- トルネコの大冒険
- 風来のシレン
- 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!
- 風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ
- 風来のシレンGB2 砂漠の魔城
- 風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!
- ポケモン不思議のダンジョン
- ポケモン不思議のダンジョン 赤/青の救助隊
- ポケモン不思議のダンジョン 時/闇/空の探検隊
- ポケモン不思議のダンジョン 炎/嵐/光の冒険団
関連項目
- ローグライクゲーム
- チュンソフト
- もっと不思議のダンジョン