勇者フィフティーンまたは荒ぶる男(15歳)とは、太鼓を叩く15歳の勇者である。
魔王の侵略に人々は頭を抱えていた。人々は、ホグワーツ魔法魔術学校の理事に助けを求めた。同校は当時、剣術や魔術のエリートを育成する為の最大の学閥だった。
ホグワーツ魔法魔術学院の理事たちは、人々の頼みを引き受けはしたが、その人選に頭を抱えた。議論の末、魔王の侵略から都市を防衛するという形をとり、その衛兵として生徒数名で班を組み、交代で見張りを立てるという結果になった。理事たちはその事を全生徒に伝え、生徒たちはそれを了承した。
ある日、衛兵を任された班の高等部の生徒たちが、見張りについていなかった。理事たち、教師たちが学内を探したが、見当たらない。その事を他の高等部の生徒たちに聞いたところ、彼らは「魔王を倒しに行く」といって見張りに向かったと言う。その日の班長はフィフティーンという日頃から素行の悪い生徒で、魔術学院の学芸会では太鼓を叩く役すら叩かずに悪ふざけをして、同じ班員や教師たちを困らせていた。教師たちは溜息をつきつつ、その日の見張り班を次の日の班に交代させた。
次の日になっても、フィフティーンは登校して来なかった。あまりにもだらしのない彼を見かねて、教師たちは寮にある彼の部屋へ出向くことにした。彼の部屋は思いのほか整理されており、机の上に映像水晶がひとつ置かれているだけであった。教師たちは、その映像を再生し、驚愕した。その中には、旅立ちを意味する太鼓の音を鳴らさんとする、フィフティーンの姿があったのだ。
フィフティーンを含め、数名の班員たちの部屋にも同じように映像水晶が残されていた。理事、教師、生徒総出でフィフティーンたちの後を追ったが、ついに見つかる事はなかった。
44年後、魔王のいなくなった世界で人々は平和な生活を送っていた。魔王からの侵略が止んだ当初、人々にその自覚はなく、年月が経つたび、魔王の存在は忘れられていった。ホグワーツ魔法魔術学校では、フィフティーンたちの当時の肖像が静かに飾られている。彼らを英雄として信じて止まないでいるものも少なくはない。しかし、真実を知る手かがリは何一つ残されていない。
ある日、当時のフィフティーンのクラスメイトが寮の彼の部屋を訪れた。そこには、映像水晶がまだ残されており、彼女はそれを再生した。そこにはフィフティーンの残された姿が映し出されているものだと思った彼女は、驚愕した。
映像水晶からは、立派な白銀の長髪と髭を蓄えた初老の男性が太鼓を叩く姿が映し出された。
彼女はその事実、事の経緯を人々に伝えた。人々は真実を知る事となった。フィフティーンは英雄として崇められ、その姿を唯一残した映像水晶は、観覧できるようにホグワーツ魔法魔術学校に厳重に保存されている。
フィフティーン、いや、神(59歳)の鳴らす凱旋の音は、いつまでも途絶える事がないだろう。
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神(59歳)と呼ばれるようになった彼を崇める組合
旅立った頃のフィフティーンを評価する組合はまだない
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最終更新:2024/05/12(日) 00:00
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