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バロキサビルマルボキシル(Baloxavir marboxil)とは、A型・B型インフルエンザウイルス感染症の治療薬である。先発医薬品名はゾフルーザ®(Xofluza®)。
概要
バロキサビルマルボキシルは、塩野義製薬株式会社によって開発され、2018年に製造販売承認を受けた新規作用機序をもつインフルエンザ治療薬。A型およびB型のインフルエンザウイルス感染症に適応。規格はゾフルーザ錠10mgと20mgの2種類がある。成人および12歳以上の小児は原則20mgを2錠内服、12歳未満の小児については体重に応じて用量を調節する。販売名であるゾフルーザ®(Xofluza®)の由来は、“XO(ノックアウト、~がない)”+“Influenza(インフルエンザ)”。
インフルエンザウイルス感染症の治療に用いられる抗ウイルス薬として、オセルタミビル(タミフル®)やザナミビル(リレンザ®)などのノイラミニダーゼ阻害薬が知られているが、これらはウイルスが感染細胞から遊離するのを阻害する。これに対し、バロキサビルマルボキシル(ゾフルーザ®)は、インフルエンザウイルスがもつキャップ依存性エンドヌクレアーゼを特異的に阻害し、mRNA合成を阻害することで、ウイルスそのものの増殖を抑制する。また、ラニナミビル(イナビル®)やペラミビル(ラピアクタ®)と同様に、1回の投与で完結するため、コンプライアンス/アドヒアランス向上が期待できる。
従来のノイラミニダーゼ阻害薬と比べて早く効果が現れ、体内からのウイルス消失も早いと期待されているが、上市された翌年の2019年には耐性を獲得したウイルスが検出されるなど、耐性化しやすい点で懸念されている。
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