ヴェルギナの太陽、ヴェルギナの星(英語:Vergina Sun; Star of Vergina ギリシャ語:Ήλιος της Βεργίνας; Άστρο της Βεργίνας マケドニア語:Сонце од Кутлеш; Sвезда од Кутлеш)とは、古代マケドニア王国の遺跡からの発掘品に描かれていた、太陽あるいは星を模したと推定されるシンボルである。
概要
ヴェルギナの太陽はギリシャの中央マケドニア地方にあるヴェルギナで1977年に発見された、マケドニア王族の黄金製ラルナクス[棺。納骨箱](アレクサンドロス大王の父フィリッポス二世のものと推定されている)にあしらわれていたシンボルである。
ラルナクスに描かれていたのは円錐型の光条が中心から外側に向かって16本伸びた形の太陽(あるいは星)で、中央には12弁の花が彫込まれている。このラルナクスは現在ヴェルギナの地下博物館に収蔵されている。
ヴェルギナの太陽と同様のシンボルは紀元前6世紀のギリシアにすでに見受けられ、8条または16条に拡がる光条とその中核に円が打たれたマークが重装歩兵の盾や肩当てなどの兵装に描かれているのが幾つか発見されている。
ヴェルギナの太陽を巡る国際問題
黄金製ラルナクスの持主については専門家の間で論争が交わされており未だ統一した結論が出ていないが、発見以後「古代マケドニアの象徴」として扱われるようになった。発見地であるヴェルギナを有するギリシャは1990年から流通させた100ドラクマ硬貨の片面にアレクサンドロス大王の顔を、もう片面にこのヴェルギナの太陽を採用し、そして1993年には議会の採択によりヴェルギナの太陽を国家的象徴に指定している(下図左)。
また、ユーゴスラビアから1991年に独立したマケドニア共和国も、古代マケドニアとの連続性を示す意味からヴェルギナの太陽を国旗に採用しようとした。これは国内の非マケドニア系住民からの異論もあったため独立直後には実現しなかったが、1992年には正式に「赤を背景とした黄色のヴェルギナの太陽」がマケドニア共和国の国旗に採用された。
だがギリシャは「マケドニア共和国」という国名、およびヴェルギナの太陽を使用した国旗に強く反発した。これには「マケドニア共和国がギリシャのマケドニア地方などへの政治的野心を巡らせるのではないか?」という警戒心もあったようだ。そして、ギリシャは経済封鎖をも行ってマケドニア共和国に圧力を加えた。
マケドニア共和国側はこのギリシャ側の圧力に折れる形で、「マケドニア旧ユーゴスラビア共和国」の暫定名称を「マケドニア共和国」の代わりに用いるようになった。更に、1995年に国旗を別のデザイン(赤を背景として放射状に8条の光を伸ばす黄色の太陽を描いたもの、下図)に変更した。8条の光を放つ太陽はマケドニア社会主義共和国の時代に1946年から採用されている国章※にも描かれており、デザインの上では共通性が見られる。
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