SCP-1682-JP(AiliceHershey) 単語

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キュウナンシンゴウ

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ここにはない。そちらの世界にしか、救済は、の慈悲は存在しないのだ。頼む、々を、殺してくれ。

ここに救いなどありはしない。あるのは、ただ死だけだ。々を、殺さないでくれ。


SCP-1682-JP - 救難信号 - uk's PlayGroundexitより,2022/08/21閲覧

この記事は、シェアード・ワールドSCP Foundation』にかつて存在していたオブジェクト(SCiP)SCP-1682-JP救難信号』を取り上げる。

本記事は現在削除されており、現在このナンバーを付番されているのは『慈悲よ、汝いずこへ』である。この新旧SCP-1682-JPの関連についても解説していくこととしよう。

概要

財団が保有するSCPS"ラモール"の内部に位置する、ハッチ、船舶室のなどの形状を模した4つのポータル (SCP-1682-JP-A - SCP-1682-JP-D) から進入可平行世界

この世界は財団が存在する基底世界と酷似している。要はこのの向こう側とこちら側は似たような世界が広がっているのだ。向こう側を以後は亜世界と表現しよう。亜世界物理法則、大気の化学組成、自然環境がまったく意味的にそっくりであるのだが、こちら側で生存が確認されている人物が、亜世界では恒久的な機停止を起こしている事実があり、歴史上のイベントは両世界間で異なってくることに留意されたい。

さて、こちら側の人間が亜世界に進入した時、急速な身体、内臓器官の腐敗と損傷箇所の再現が行われる。これは進入者の機停止を意味する。しかしこれは亜世界原住民には適用されない。といっても、この異常性とは関係に身体の損傷、機不全による恒久的な機停止の様相を呈するため、亜世界の人類も基底世界の人類と相違はないと見られている。また、この亜世界には財団と同じようなコミュニティが存在している。この財団 (以下、区別のため亜財団と呼ぼう)もSCP-1682-JPの入口の存在や基底世界を認知している。また、異常物品の確保・収容・保護を行っている点も財団と同じである。

財団としては亜財団と敵対するよりは、共同で異常物品の確保・収容・保護を行うほうがメリットが大きいと判断し、共同収容体制の提案・整備を行うための計画『ワダツミ計画』を実施することになった。こうしてできるだけ身体にダメージを負っていない人物 (較的若年) で、計画立案時点でセキュリティクリアランスレベル3以上の職員であるという条件のもと、これを満たすカツウラ博士 (当時30歳)が本人了承のもとワダツミ計画代表責任者に任命された。

しかし、ワダツミ計画第2次潜入の最中、カツウラ博士ロストしてしまった。計画は凍結されることとなる。カツウラ博士の身に何が起きてしまったのか?

カツウラ博士が亜世界に進入すると、そこでもうひとりカツウラ博士と出会った (以後は亜カツウラ博士と呼ぼう)。亜カツウラ博士もまた、ポータルへの人員投入計画に関わっていた。いわば、亜世界のワダツミ計画が実行される前に、基底世界側のワダツミ計画が実行されたからである。カツウラ博士は、亜世界サイドの上と話すことになり、その後も亜財団と何度も話し合いを重ねることとなる。これは当然の話、亜世界サイドからすればカツウラ博士はアノマリーなのだから当たり前だが。こうして、亜財団サイドに知っている限りのアノマリーの知識を伝えるなどして信頼を勝ち取ったカツウラ博士は、その後亜世界生活様式を財団に音記録として送信してきた。しかし、この音記録の書き起こしは財団サイドで一部が検閲されている。

世界の人類は同じ生活様式を有する。しかし、[コード - ワダツミの提示が必要です ]。これは基底世界では見られない現であり、かつ基底世界ではそれをし示す表現さえない。このために亜世界では人口が非常に少なく、歴史イベントは差異を示す。[コード - ワダツミの提示が必要です ]は恒久的な機停止を示している。こうなってしまった人類は、基底世界ではトルオール半固定物質化装置、あるいはアズバンド粒子分解槽で保管するが、亜世界では儀式的な方法でそれを燃やし、埋める。

こののち、カツウラ博士は何度かSCP-1682-JPサイドに訪問、滞在したが、やがて帰還しなくなった。


そして、ある日、亜財団はSCP-1682-JPポータルを閉めてしまった。財団サイドは驚き、なぜポータルを封鎖したのかを尋ねた。すると、亜財団は「同一存在の死を許容できないから」と回答したのだ。

亜財団によれば、数ヶ前にカツウラ博士自殺してしまっていたのだという。そして、それに連動して亜カツウラ博士も亡くなった。それ以外にも多くの人々の突然死が発生していた。何故、そんなことを、と困惑する亜財団に、財団サイドは「そちらの世界では死が素晴らしいものだったのではないか」と尋ね返す。そんな馬鹿なと財団は言うものの、亜財団は「そちら側の他の職員もそうならないといえないと判断した」として、ポータル閉鎖が妥当であると考えた。突然死の隠蔽コストを支払うより、ポータルを閉じたほうが安上がりだと。財団は「見捨てないでくれ、隠蔽情報開示でもなんでもするから」とせがむも、亜財団は「今後、こちら側に立ち入らないでくれ」とだけ返す。財団は世界が終わってしまうとなおも助けをめるが――。

今はただ、蓋を壊してください。


SCP-1682-JP - 救難信号 - uk's PlayGroundexitより,2022/08/21閲覧

ワダツミ計画の真の概要

ダツミ計画は、当初こそ共同収容体制の構築でしかなかった。しかし、カツウラ博士は気付いてしまった。亜世界では、人は恒久的な機停止、亜世界サイドの言葉を借りるなら、ぬことができる、と。これは基底世界にとっては福音であり、慈悲であった。故に『慈悲』のセフィラ、Chesedに値するオブジェクトであると。


もう読者も気付いてしまったかもしれない。基底世界サイドの表現では「死」という表現が使用されないことに。これは基底世界にはそのような概念が存在しなかったため、「恒久的な機停止」という回りくどい表現を使用せざるを得なかったのだ。

まりこれ叙述トリックである。々が読んできた報告書は「死のない世界」で書かれた報告書。そして、さんざん亜世界と読んできた世界は、たしかに「死のない世界」からは異世界であるものの、何のことはない、ふつうに人が死ぬ世界なのだ。

「死のない世界」とくらべて「死のある世界」の人口が少ないのは当たり前である。死ぬからである。しかし、これは裏返してみれば「死のない世界」の住民はどれだけ老いて傷ついて、動けなくなろうとも死ぬことができない。これは「死のない世界」ではSCP-███-EXとされているオブジェクトの効果によるものとなっている。要はこの世界では人口は減ることはなく増える一方なのだ。しかし、その人達を「死のある世界」につれていくことで、死なせることができる。カツウラ博士のような例外もいるが、そのような例外も「死のある世界」にいくことで自殺することで死ねる。

これを知ってしまった「死のない世界」の財団は、カツウラ博士導で数万人の人間を「死のある世界」に送り込んだ。これによって人口を減らすことで、世界を在るべき姿に戻そうとしたのだ。

しかし、「死のある世界」の財団はこの「死のない世界」の暴挙にある日気付いてしまった。もともと原因不明突然事案に「死のある世界」の財団は悩まされていたが、「死のない世界」のカツウラ博士自殺同期して、「死のある世界」のカツウラ博士突然死したため、「死のない世界サイド自殺的で「死のある世界」に人を多数送り込んでいることに気付いてしまったのだ。「死のある世界からしたらたまったものではない。そこで死のある世界サイドはこのポータルを閉めることにした。このとき、閉めるのに使った「死のある世界」の物質が、先述のSCP-███-EXの効果を帯びて破壊耐性を有してしまった。

「死のない世界」は今でも、死ぬためにポータルを開けようと頑っているが、おそらくは徒労に終わるであろう。そして死ねない人間に、終わりのない苦痛が続くのだろう。

SCP-001-JP

死の死

「死の死」の死の死

オブジェクトを書いたAiliceHershey氏という人物は、このオブジェクトをはじめいくつもの高評価を受けたオブジェクトを書いてきた名著者であった。

かしおそらくは自著のイコン化されることへの反発から2019年2月16日、このSCP-1682-JPを含む自著の全削除を踏み切った。以前から自作品の二次創作に複数の理由で苦痛を感じていたことを述べていたとも言われている。その際に、「自著の復活投票」はおろか、アイディアの再利用も禁じるという強い要請を行ったのであった。

かしこれはクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植からすればありえない要請であった。というより、そもそもこのライセンスを適用するSCP Foundationという創作コミュニティにおいて、はじめから二次創作がなされること自体甘受されなければならない。また、削除したからといってその後の二次創作、ないしSCP Wiki内でのオマージュパロディを制限することもできようはずもない。そういうライセンスだからである。加えて、AiliceHershey氏自身が、過去に自著の全削除を行ったwobe氏のSCP-201-JP「ざんげのキッチン」のリメイクであるSCP-201-JP「ざんごのハイウェイ」を執筆するなど他者のアイディアオマージュとパスティーシュを得意としてきたというダブルスタンダードぶりも他著者から摘されている。

ただ、ここからわかることはあろう。つまり、AiliceHershey氏は創作者としての死を願った。死ぬために自著を消し、その跡さえ消し去ろうとしたのだ。Dr.ヒルルクの言葉を借りるなら、人が死ぬのは、人に忘れられた時、ということである。


これを踏まえて、現SCP-1682-JPを読むと、この旧SCP-1682-JPに対するオマージュが非常に強い作品であることがわかろう。あるいは、蘞味を効かせたアンサーともいえる。「あまてる(AiliceHershey)」というコンテンツだけを見て、好き勝手にそれを使われ、好き勝手に評されることへの反発。これを嫌ったあまてる(AiliceHershey)自殺する。しかし、あまてる(AiliceHershey)は今なお忘れられることはない。むろん、それは当人にとっては望むことではないだろう。殺してくれと願ったとて、それでもあまてる(AiliceHershey)は人々の心に生き続ける。

まさに、「死の死」の死の死、ということ。

関連楽曲

時止めゆかりさんのSCP解説』でおなじみあわけんP無色透名祭投稿した楽曲。
救難信号(あわけんP)も参照のこと。

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