眠気の正体とは、脳内にある80種のたんぱく質群の変化である。
概要
2018年6月13日付の英科学誌ネイチャー電子版にて、筑波大の柳沢正史教授(神経科学)のチームが、
「脳内にある80種類のたんぱく質の働きが活性化すると眠くなり、眠りにつくと働きが収まるのを
マウスの実験で発見した」と発表した。
「スニップス」と名付けられた、この一群のたんぱく質が眠気の正体だというのである。
不眠状態にしたマウスの脳内物質の変化を調べる実験がおこなわれたのは、もちろんこれがはじめてではない。
しかしこれまでの実験では、得られた調査結果が、眠くなるためなのか、眠れないことへのストレスによるものなのか、
の区別ができなかった。
そこで柳沢教授らは、眠い状態が続くように遺伝子操作したマウスと、
寝不足にした通常のマウスを使って実験をおこなった。
その結果、通常のマウスでは、眠くなると脳内のたんぱく質が活性化する「リン酸化」が起き、
眠ると元に戻ったのを確認、一方、遺伝子操作したマウスは、眠った後も「リン酸化」が続いたのである。
また、「リン酸化」をじゃまする薬を与えると、マウスの眠気がおさまるのも確認されている。
柳沢教授らは「睡眠の質の向上や、不眠など睡眠障害の治療法の開発につながる可能性がある」とみており、
今後一層の究明が待たれる。
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