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ニコニコ大百科 : 医学記事 ※ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。 |
睡眠障害(すいみんしょうがい)とは、睡眠について何らかの医学的な問題があることを指す、医学用語である。
概要
不眠症に代表されるが、その全く逆の過眠症も含む。更には「眠ることはできるが悪夢を見る」「おねしょをしてしまう」なども含んだ、広い概念である。また、昼に眠いのは単に本人の心がけが原因などと周囲から誤解されてしまうことも多く、症状に悩む人物が比較的孤立に追い込まれやすい特徴を持つ。
専門的で正確な説明はWikipediaに譲るとしてここではいくつかの例を挙げるにとどめるが、うつ病の9割近くが慢性不眠
であり、ひいては自殺の遠因にもなっているので本人が元気そうに見えても決して軽い病気ではないことだけは確かである。
兆候
何時間寝たから正常/異常とかではなく、昼間眠い状態が続き、明らかに正常な社会生活(勉強、仕事、人付き合い他)を送ることが困難になっている場合は基本的に睡眠障害を疑ったほうがよい。また夢は眠りの浅い時に見るので、夢をよく覚えている日が続くのも良い睡眠がとれていない兆候である。
いずれにしろ、思い当たる節がある場合は一回は睡眠を扱う専門的な医者で診てもらったほうが良いのだが、医師といえど、自分の専門外のことはあまり知らないことは多い。そのため少なくとも睡眠外来と睡眠を扱う神経科の2つを受診するのがよい。しかし色々な医師を渡ったにもかかわらず原因がはっきりせず,出費ばかりが重なって何も解決しないことも珍しくない。
何れにせよ、他の病状などと同様に早めに自分の状態を把握することが薦められる。
主な原因
睡眠障害の原因は多岐にわたるのので、どういう専門の医師にかかるかの手掛かりとなるような情報をあげる。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠中に呼吸が詰まって息ができなくなる症状である。この場合睡眠外来で一晩検査入院するとはっきりわかるので、後は医師の指示に従って専門の器具を使用した治療に移ることになる。治療しないでいた場合の5年生存率が84%と結構怖い症状。睡眠外来を受診することになる。
過眠症
ナルコレプシー
日中突然耐え難い眠気に襲われ眠る。30分以内に目覚め,目覚めた後はすっきりする。
作家の色川武大(阿佐田哲也)が患っていた病気として有名。
持続性過眠症
昼間の居眠りが1時間以上続き,目覚めた後もすっきりしない。夜中の睡眠が10時間以上続くこともある。
反復性過眠症
強い眠気を呈する時期が3日から3週間持続し症状がなくなる。これが不定期に繰り返される。
その他眠りを妨げる症状
夜間低血糖
糖尿病でなくても、血糖の調節能に問題が生じていると寝ている間に血糖値が下がり、夜間に夢を多く見るなどの症状が出ることになる。
この場合の鍵は食事の糖質。糖尿病でない人の低血糖は糖質により血糖値がグンと上がった後に反動で起こる事が多いので、夕食の糖質を抜くか極力少なくして、食べる順番も最後に回す。こうして血糖値をなるべく上げない食生活をまずは1週間続ける。それでも改善しないなら昼食の糖質も抑えてもう1週間様子を見るなどの処置に移ることになるがやはりここで検索,あるいは夜間低血糖+自分の地域名でググって
医師の診断を仰ぐのが確実。
胃食道逆流障害
睡眠中に胃の中のものが逆流して知らない間に目覚めてしまうパターンがあるので睡眠直前に飲食は控える。
痛みがある
自覚のない、あるいは慢性的に痛くてもう痛みとして捉えてない痛みでも睡眠の妨げになる。
寝具の問題
ADHD(+アスペルガー症候群, ADD, 統合失調症, 双極性障害, 認知症, 自閉症, 摂食障害, うつ病, 不安症)用のチェインブランケット
仕事で小さなミスが多いADHDという症状の人は睡眠障害を起こしやすい。そしてその場合専用のかけ蒲団
(スウェーデンでは上記カッコ内の症状でも処方される)がある。いずれにしろ心当たりのある人はまず診断を医師にしてもらうことになるので症状名+自分の地域名でググって
医師を探すことから始める必要がある。
低反発布団
ググって試してみてください。
まくら
レンタルで寝心地を確かめられる製品もあるようです。
生活習慣
ペットと一緒に寝ている
通常人間とペットの睡眠周期は違うので睡眠を邪魔されがちである。
寝る直前のアルコール
薬、サプリメント
これらの中には睡眠に悪影響を及ぼすものがあるので、医師に診てもらうときに一般薬も含めて全て申告しておいたほうがよい。
昼に明るい光を見ていない、または夜遅くまで明るい光を見ている
体内時計を司るホルモンは、光で調節されている。そのため昼に明るい光を見ていない、あるいは夜に明るい光を見ていると「夜に眠くなる」という正常の睡眠周期が崩れてしまう。この崩れた周期を矯正するために、適切な時間に大量の明るい光を浴びるという「光療法」もある。
またパソコンや携帯電話、ゲーム機のバックライトの光も案外明るいので、日没後にもこれらの機器に興じている人はそのために睡眠が邪魔されている可能性もある。
また、就寝直前まで明るい光を浴びていると脳が覚醒してしまう影響で入眠が浅くなり、寝入り端に金縛りに遭ってしまう可能性がある。後述の寝床のケータイにおいても同様である。
寝床のケータイ
ケータイを寝床から遠ざけて睡眠が改善した人もいるようだが筆者はあまり効果がなかった。寝るときは可視光線以外の電磁波もなるべく暗くしたほうがいいのかもしれない。無料でできる対策なので試してみるのも悪くないかもしれない。試すときは徹底的に電磁波を出しそうなもの(無線LAN, PC, 充電器, ゲーム機, etc)を遠ざけることを忘れずに。
目覚ましの使用
目覚ましを使うとどうしても睡眠のリズムが狂うので目覚ましがないで使わないほうが睡眠によい。休日から目覚ましを使わない訓練をしてみるのも手である。平日,無理に早起きしなくてもいいのであれば自分のいつも起きている時刻より後にセットして目覚ましに邪魔されない睡眠を目指すとよいかもしれない。
食生活
グリシン不足?
味の素によるとアミノ酸の一種であるグリシンを摂取すると睡眠の改善に効果があるらしい。似たような製品は各社出ているのでお好みので試して
みるとよいかもしれない。筆者の場合あったようなないような微妙だった。
副次的に,グリシンはご飯をふっくら炊くのにもつかわれるので購入するとその用途にも使える。
塩分不足
塩分が不足していると眠りが浅くなる場合がある。とりあえず「あら塩」などの自然塩で濃い目の食塩水を作って,コップ一杯ぐらい飲んで(あるいはラーメンのスープに溶かして),症状が改善されるようなら1~2週間ほど続けてみるとよい(筆者は長い間塩分不足がわからずに苦しめられた)。自然塩を使うのは一緒にミネラルの補給をする意味もある。
気を付けなければならないのはこのパターンでは塩分不足が改善されると,ビタミン不足など,他の栄養失調の症状が出てくる場合があり,その都度症状に合わせた栄養素の補給が必要になる。たとえば口内炎ならビタミンB2が不足していてレバーや魚肉ソーセージで補給できる。
塩分が不足すると知らず知らずのうちに塩分を求めて,甘いもの(をおいしくするために加えてある塩)を求めたり,食べ過ぎたり(結局は調味料としての塩を求めている)するようである。
関連項目
- 原因
- 関連する病、障害
- 症状
- 対応品
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