平(たいら)とは、
- 高低、凹凸のない様子。平たい様子。「平地」「平坦」など。
- 穏やか、安らかな様子。「平和」「平穏」「太平」など。
- 等しいこと。平等。「平等」「平均」など
- 偏らず、正しいこと。「平衡」「公平」など。
- 普通のこと。日ごろに起こること。「平生」「平常」「平素」など。
- (反乱などを)鎮める、治める。平らげること。「平定」など。
- 漢字の四声の一つ。平声。
- 山間にある平地。多く地名の下につけて用いる。「八幡平」など。
- 日本の人名、地名。
本項では9について解説する。
概要
皇族が臣籍降下する際に名乗る氏(ウジ)のひとつであり、姓(カバネ)は朝臣。桓武平氏を初めとし、仁明平氏、文徳平氏、光孝平氏のそれぞれ四つの血筋がある。
氏の由来は「平家勘文録」という書物に「朝敵をたいらぐる(上記6の意)故」に平のウジが選ばれたと書いてあるが、太田亮は「桓武天皇が平安京を建てられたために、平安京の『平』(タヒラ)からこのウジを賜った」という説を唱えた。現在、太田亮のこの説が有力である。
平氏政権(六波羅政権)を築いた、伊勢平氏の平清盛などが著名。
今日における苗字としては「たいら、ひら、へい」と読ませ、日本各地に分布する。平氏には関係ない場合が多く、ほとんどが地名、地形姓、また平田、平沢などを省略した苗字と見られる。
名前としても用いられ、多く「たいら」と読ませ、男性に名づける。
漢字として
- 意味
- 〔説文解字・巻五〕に「語の平舒たるなり」とある。
- 字形
- 諸説ある。
- 〔説文〕に「亏に從ひ八に從ふ。八、分なり。爰禮說。」と、爰礼という人物の説として、于+八の会意で、呼気が立ち上り天井につかえ(=于)、それが分かれた(=八)ことを表すとある。
- ほかに、水面に平らに浮かんだ浮草の象形で萍の原字とする説(藤堂明保)、手斧と削りかすの象形とする説(白川静)などがある。
- 音訓
- 音読みは1.の場合、ヘイ(漢音)、ビョウ、ヒョウ(呉音)、2.の場合、ベン(呉音)。訓読みはたいら、ひら、たいらぐ。
- ベンの音は古くからあり、便と通じる例もある。
- 規格・区分
- 常用漢字であり、小学校3年で習う教育漢字である。JIS X 0213第一水準。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。
- 声符
- 平を声符とする漢字には、坪、抨、泙、苹、枰、𤘾、秤、評、䶄などがある。
- 語彙
- 平安・平易・平穏・平気・平均・平原・平行・平衡・平時・平日・平準・平常・平身低頭・平素・平静・平然・平仄・平坦・平地・平直・平定・平等・平年・平版・平伏・平方・平凡・平面・平野・平理・平和・平話
異体字
人名(苗字・氏)
実在の人物
- 平愛梨(女優)
- 平敦盛(平安時代末期の武将 平経盛の息子 平清盛の甥)
- 平伊佐夫(歌手 たいらいさお)
- 平景清(平安時代末期の武将 本来は藤原氏の伊藤姓であるが、平家に仕えたため俗に平氏として呼ばれる。「源平討魔伝」の主人公として有名)
- 平清盛(平安時代末期の武将、公卿、政治家)
- 平重衡(平安時代末期の武将 平清盛の五男)
- 平忠彦(元GPライダー)
- 平智之(タレント、政治家)
- 平将明(政治家)
- 平将門(平安時代中期の関東地方の豪族 新皇を自称し、朝廷に討たれる)
- 平幹二朗(俳優 読みは「ひら・みきじろう」)
- 平義隆(ミュージシャン)
架空のキャラクター
- 平アンナ(Web小説『トリプル「J」アイドル』の登場人物)
- 平マリカ(Web小説『トリプル「J」アイドル』の登場人物。平アンナの実姉)
- 平大地(漫画・アニメ「星色ガールドロップ」「ポプテピピック」の登場人物)
- 平滝夜叉丸(漫画「落第忍者乱太郎」、アニメ「忍たま乱太郎」の登場人物)
- 平育子(漫画「乙女アトラス」の登場人物 読みは「ひらたい・いくしー」)
人名(名前)
実在の人物
- 藤田平 - 日本の野球選手。1970年代~80年代前半に阪神で活躍 通算2064安打の巧打者
- 鈴木平 - 日本の野球選手、鍼灸師。現役時代はヤクルト、オリックス、中日、ダイエーに所属
- 王平(? - 248年) - 後漢末から三国時代にかけての武将
- 関平(? - 219年) - 後漢末の武将。劉備に仕えた
- 陳平(? - 前178年) - 秦末から前漢初にかけての政治家、軍師
- 廖平(1852年 - 1932年) - 清末民初の経学者
- 郎平 - 中華人民共和国の女子バレーボール選手、バレーボール指導者
地名
関連項目
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