ニコニコ大百科

けれどたった1度だけ、青さんが私に奢ってくれたことがあった。
きっかけは、私とT君の家を紹介しようと(青さんの家は私たち2人よりも学校に近かったから、通る機会がなかったのだ)、青さんを半ば強制的に連れてきたことだった(彼は極端に出不精でもある)。

なむー

なむなむ

なーむー

なむ

なむー

奢るっていうのは、メシのことだ。
丁度T君の家から私の家へと向かう道の途中にそれはあった。
たかだか3，4階程度の、小さく細いアパートの1階。赤いサッシが突き出ており、中では何やら美味しそうな匂いがする。
部活動の帰りである私たちにとってそれは何と魅力的なものであったか、そこにハンバーガー屋さんがあったのだ。

なむなむ

なーむー

こんんｎ

なむ

なむー

なむなむ

なーむー

無論チェーン店ではない。がとても美味そうなハンバーガーがずらり。
T君と私は青さんに聞いてみた。「青さん、すごいここ美味しそうだよ」
青さんは「食ったことあんの？」と返す。だが二人ともここに来たことはなかった。案外家の近くのローカルな店舗には入りづらいものがある。

なむ

なむー

なむなむ

なーむー

なむ

私たちは更にこう頼んだ。「青さん、奢って！」
青さんは断った。「俺今金ないんだよー」
試しに財布を見せてもらうと、確かに200円程度しかなかった。服を買ったのだという。
私たちは、珍しく服を買ったということに驚き、青さんに質問攻めをした。そうして話題は移り、結局ハンバーガーのことなどすっかり忘れてしまっていた。

なむー

それから数週間たったある日のことだ。
その日はたまたまT君が用事があると言ってそそくさと家に帰ってしまったため、私と青さんの二人で帰路についていた。

なむなむ

なーむー

なむ

なむー

なむなむ

「今日はTおらんの？」と青さんが初めに言った。私は、彼は用事があるのだと手短に話した。青さんが「そう」と答えたきり、私たちはすっかりだんまりになってしまった。

なーむー