一党優位政党制(predominant-party system)とは、民主的な政党政治における競合的政党制の類型の一である。
この政党制の内容は、民主主義国家で民主的で自由で公正な選挙の結果として民意で特定の政党が殆どの場合に選ばれて勝利して長期にわたって政権与党となる事である。即ち競合的政党制である複数政党制だが民主的選択の結果が長期に及んで殆ど同一である場合に生じる。
民主的選挙であるが故に優位政党は民意によっていつでも優位を失って与野党逆転による政権交代が起こり政権与党から下野する可能性を有する。そのため政権与党は抑制的かつ緊張感を持って政権運営に当たる事が求められる一方で安定性も享受する。しかしながら長期与党は民意によって優位から引きずり降ろされ下野する事を恐れて、党内に矛盾する思想や立場を抱える状態が恒常化する問題点がある。また、野党もその地位に甘んじて非現実的な政策を主張するほか、稀に政権交代が生じた際には新与党は政権運営のノウハウが乏しく政治の停滞を招き、更には新野党となった優位政党は著しい求心力の低下とそれに伴う解党的危機に陥るなどデメリットもある。
スウェーデンの体制は一党優位政党制のうち現存する最古の事例である。
スウェーデン社会民主労働者党は1889年であり、結党から長いこと野党であった。初の与党は連立政権として1917年であり、単独与党は1920年からである。1936年6月に一度野党に戻るが3か月後の同年9月に政権与党に復帰。1936年9月から1976年まで連続して40年間も政権与党の地位にあった。
1976年に下野した後も何度も政権与党に返り咲き、直近では2006年に下野して2014年に政権奪還している。
左派政党による一党優位政党の長期政権は北欧型の福祉国家像を形成した。
日本の事例は、1955年の自由民主党の結党時から同党が与党となる、いわゆる「55年体制」である。この体制は同時に日本社会党が野党第一党でもあり、「1と1/2政党制」とも呼ばれた。1955年の結党から政権与党として38年間の長期政権を築いたが、1993年8月9日に初の下野をしている。1994年6月30日に与党に復帰して政権奪還。更に2009年9月にも野党となっているが、これも2012年12月に与党に復帰している。一度目の下野と二度目の下野の間は自由民主党と民主党による二大政党制の様相を呈していた。
イタリアにおいて1942年10月に結党されたキリスト教民主党は結党から3年未満の野党期間を経て、1945年12月10日から1994年1月18日の解党まで49年間連続して政権与党であった。つまり野党であったのは結党当初の短期間のみである。
政権与党にあたっては、第一党として首相を擁するだけでなく、連立与党として他党の首相の内閣に参画したり、連立相手の政党を組み替えて政権を維持した。
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最終更新:2025/12/06(土) 07:00
最終更新:2025/12/06(土) 06:00
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