AMGメルセデスCLRとは、1999年のル・マン24時間レースに参戦したレースカーである。
昨年までのル・マン24時間レースでは、市販された車をベースにしたLM GT1クラスがレギュレーション上で最も有利とされていた(ただしホモロゲーションを通るために、1台以上のロードカーの製造、販売が義務付けられた)。
しかしメルセデスの前年のマシンであるCLK-LMやトヨタTS020など、レギュレーションの穴を抜けたプロトタイプカー然としたマシンが次々と作られ、もはや意味をなさなくなったとしてLM GT1は消滅し、クローズドボディのプロトタイプカーの規格としてLM GTPが新設された。
そこでメルセデスは、CLK-LMのコンセプトを発展させ、ロードカー開発の制約にとらわれないマシンとしてCLRを完成させた。
エンジンはCLK-LM同様の5.6L V8自然吸気エンジンを搭載するが、マシンの全高はさらに低くなり、空力を重視したプロトタイプカーらしい形状となった。
ル・マン24時間レースの練習走行から、チームはマシン内部を見せないために布などで覆うなど徹底的な機密保持を続けていた。
しかし、予選2日目にマーク・ウェバーが乗る4号車がコース上で高く宙を舞って路面に激突する事故が発生した。
マシンは修復されて決勝の朝に持ち込まれたが、この時のウォームアップ走行でも宙を舞い、マシンは大破、ウェバーもひざを負傷した。
そして決勝レースに入り、76周目にピーター・ダンブレックの乗る5号車も高く宙を舞ってコース脇の森に墜落する事故を起こした。ダンブレックは幸いにも無傷だったが、この事故を受けてメルセデスは6号車をピットに入れさせ、全車リタイヤとなった。
ちょうどテレビ中継でカメラが追っていた最中での事故だったため、日本の視聴者にも衝撃を与えた。[1]
のちの検証で、マシン構造によってフロントのダウンフォースが強くかかることでフロントサスペンションは極限まで硬くされ、一方でリヤサスペンションはトラクションを確保するために柔らかく設定されたことで、ピッチングが起きやすい状態だったことが分かった。
これにより、ポーポイズ(ポーパス)現象によって上下の揺れが止まらない状態になっていた。
そのときに、別のマシンの後ろに入ってスリップストリームの中に入ると、前方からの空気が少なくなってフロントのダウンフォースが急に減少、リヤにはまだ大量の空気の流れで生じたダウンフォースが残っているため、前方から浮き上がってバック転を起こしたことが判明した。
ドライバーや観客、コースマーシャルなどの死者が出なかったのは幸いであったが、場所によっては大惨事につながりかねない深刻な欠陥を持っていた。
これにより、メルセデスは2000年以降のル・マン参戦を行っていない。また、レギュレーションの大幅な見直しも行われることとなった。
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最終更新:2024/12/03(火) 09:00
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