ゆるキャン△前の山梨とは、都道府県対抗シリーズにおける2017年以前のアニメ紹介動画での山梨県についてのタグである。
都道府県対抗シリーズのアニメ紹介の動画において、2017年以前は山梨県を舞台として作品はほとんどなく、すぐ紹介が終わってしまうというオチがついていた。しかも紹介されていたアニメは実際は山梨県が舞台の作品ではない作品であり、実質アニメの主要舞台なし県となっていた。
一方で2018年にゆるキャン△がアニメ放送されると劇的な変化が見られるため、ここではその前後について説明する。
2018年にゆるキャン△がアニメ化される前の山梨県が舞台とされているアニメは以下の作品がある。
しかし後述の理由で、実際は山梨県が明確に主舞台とされる単独アニメ作品は2016年の「迷家-マヨイガ-」まで存在しなかったことが明らかになっている。
まず「最臭兵器」は実在の知名や施設、さらに甲州弁ネタまで披露するなど元祖山梨のご当地アニメともいえる作品であるが、この作品は「MEMORIES」というオムニバス形式であったため、最臭兵器単体では紹介できず、また、高橋陽一作品の「ハングリーハート WILD STRIKER」は設定上は山梨県が舞台となっているが、施設や風景はすべて架空で、山梨県内にモデル地が存在しないのである(別の作品でも作者の出身地の地名を当時サッカーが盛んという理由だけで縁もゆかりもない他の県に移動させることをやっていて、後年聖地巡礼で混乱が起きているから…)。このため上記2作品はアニメ紹介動画から除外されており、聖地紹介もされていない。
2005年にOVAとして発売された「イリヤの空、UFO」は夏も身延線市川大門駅や甲斐市のボウリング場跡地などファンによってモデル地が特定されており、2011年にアニメ化されたペルソナ4も中央本線の石和温泉駅や富士吉田市の商店街がモデルとして登場している。しかし「イリヤの空、UFO」は東京都や群馬県、ペルソナ4にいたっては全国各地にモデル地があり、また公式やマスメディアは「架空の舞台」という設定にしているため正確には山梨が舞台ではないが、一部のファンによって山梨が舞台という印象が強調され、それが独り歩きしてしまったのである。実際この2作品はwikipediaの当該項目にて「山梨県が舞台のアニメ作品」との分類がされていたが、その後出典がないという理由で記述が消されたばかりか、出典を明記するようにとの注意書きまでされている。
2016年に放送された迷家-マヨイガ-は作品内の納鳴村のモデルが道志村で、実際村内の道の駅などの施設がモデルとして登場する。また、放送後の村内イベントでは迷家-マヨイガ-も参加し、出展ブースや声優のトークショーも行われ、ニコニコ生放送の特番として「TVアニメ『迷家-マヨイガ-』スペシャルニコ生~本当に道志村役場からお届けします~」が放送されるなど、山梨県が舞台のアニメとして公式から認定されている。
但し、舞台となっている道志村は11月から4月までの休日は公共交通機関で訪れることができないという山梨の中でも特に僻地で、聖地巡礼を行なう場合はハードルが高い場所である。また、迷家-マヨイガ-は山梨県ではケーブルテレビを使っても視聴できなかった(「山梨県のケーブルテレビ事情」を参照。なおBS-TBSやWOWOWプライムを使えば見れるが、別契約や追加料金が発生するなど敷居が高くなる)ため盛り上がりは非常に限定的であり、しかもご当地紹介も上述のみで以降はされておらず、迷家-マヨイガ-が山梨を舞台にしていることはあまり知られていない。
このような状況のため、2018年に発表された「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」では山梨県は1つも登録されなかった。山梨県以外にも選ばれていない県はあるが、山梨県の周辺都県は登録されたアニメ舞台地が多く、山梨県とどれぐらいの差が発生しているかは下記の表の通りである。
| 都県名 | 登録数 | 主な作品(自治体) |
| 東京都 | 25 | 「君の名は。」(新宿区) 「刀剣乱舞」(台東区) 「とある科学の超電磁砲」(立川市) |
| 埼玉県 | 6 | 「らき☆すた」(久喜市) 「ヤマノススメ」(飯能市) 「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(秩父市) |
| 神奈川県 | 5 | 「ハイスクール・フリート」(横須賀市) 「新世紀エヴァンゲリオン」(箱根町) 「弱虫ペダル」(箱根町) |
| 長野県 | 2 | 「おねがい☆ティーチャー」(大町市) 「サマーウォーズ」(上田市) |
| 静岡県 | 5 | 「あまんちゅ!」(伊東市) 「ラブライブ!サンシャイン!!」(沼津市) 「ちびまる子ちゃん」(静岡市) |
この通り周辺は活況に満ち溢れている中ぽっかり穴が開いている状態で、「やまなしアニメ舞台なし」「ご当地アニメ不毛の地山梨」と言われても仕方のない惨状であった。東京都に隣接していればいいということではないことがおわかりであろう。
ちなみに2014年に放送されたヤマノススメ セカンドシーズンは山梨県の富士吉田市などを舞台にしている。ヤマノススメ自体は埼玉県飯能市が主舞台であるが、北海道函館市がラブライブ!サンシャイン!!の舞台として登録されていることから1つの作品で複数の自治体が登録される場合もある…がヤマノススメ セカンドシーズンも登録されなかった。これについてはPRしていたのは地元企業の富士急行で、自治体はノータッチだったのが影響していると思われる。
上述のネガティブな説明に対し、「舞台にしたアニメがないぐらいでそんなに悲観しなくても」と思う人もいるだろうが、実はそのアニメの舞台不在により過去に悲惨なことになっている。それが2013年に開催された「クールジャパン山梨」で、山梨県から各方面へ文化産業を発信しようとしたイベントが開催されたのであるが、山梨県として紹介できるアニメが存在せず、代わりにハヤテのごとく!と境界の彼方の声優によるトークショーが開催されたが、県内最大の展示場で開催されたのにもかかわらず2日間で総入場者数が500人という惨状になってしまい、その少なさにSNSだけでなくアニメイベントを取り扱うポータルサイトでもネタにされるという赤っ恥イベントであった。ただこのイベントについては色々と問題がありすぎるため、山梨県が舞台のアニメが存在しそれが紹介されたとしても客入りが増えたかは微妙であるが、少なからず影響していることも否定できなかった。
このようにゆるキャン△前の山梨県はアニメの舞台不毛という状況であったが、2017年7月にゆるキャン△の2018年冬アニメ化が決定し、制作段階でゆるキャン△サイドはリアリティを求めるため山梨県に協力を要請。すると山梨県は全面協力を打ち出し、以下の内容でゆるキャン△をアピールしていった。
このように今までアニメの舞台がなかった分の反動が凄く、山梨県(特に舞台となっている身延町周辺)は活況に満ちた状態となっている。
さらにこの様子がいい意味で影響し、2020年秋アニメでは山梨県が舞台またはモデル地があるアニメ作品が3つも放送された。ゆるキャン△が放送される前は1年に1つ登場すればよかったレベルで、1クール3作品同時は(山梨県にとって)異例である。
| 作品名 | 山梨県の舞台 | 本来の舞台 | 山梨での放送局 | 山梨の主な聖地 |
| アサルトリリィ BOUQUET | 甲州市 | 神奈川県鎌倉市 | テレビ山梨 | 祝橋、勝沼ぶどう郷など |
| 神様になった日 | 山梨市 | (TOKYOMX) | 万力公園など | |
| まえせつ! | 笛吹市 | 埼玉県さいたま市 | 山梨放送 | 石和温泉など |
このうちまえせつ!は山梨県のフィルムコミュッションがロケ支援を行ない、第5話ではほったらかし温泉へ行く場面で「前にやってたキャンプアニメ(ゆるキャン△)」として各務原なでしこが一瞬登場している。また、神様になった日は非公式ではあるものの第一話から山梨市の各風景や施設が散見され、11月8日には地元紙(山梨日日新聞)にて本作品の聖地巡礼が行われていることが紹介されている。アサルトリリィ BOUQUETでも第5話で主人公である一柳梨璃の出身地である甲州市へ行くシーンがあり、モデル地も描かれている。
その他2020年5月には北杜市を舞台としたスーパーカブのアニメ化が発表されるなど(名目上はホンダ・カブ1億台突破記念)ゆるキャン△の放送前と放送後では状況が変化しており、かつてのアニメ舞台の不毛っぷりは過去のものになりつつある。
基本的に当該タグは2017年以前の都道府県対抗シリーズのアニメ紹介にて使用されている。
上述で紹介されているアニメ作品は本来山梨県が舞台ではないイリヤの空、UFOと(2014年以降は)ペルソナ4である。ちなみにペルソナ4はモデル地の駅舎が改築で取り壊されたということもあり、2020年版では除外されている。かわりにアニメ版では山梨県要素がないあさっての方向がリストインされているが…。
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最終更新:2025/12/13(土) 00:00
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