ファミリーコンピュータとは、1983年に任天堂が発売した家庭用ゲーム機。略称はFC、ファミコン。
1983年7月15日発売。当時は低性能だが安価なカセットビジョン(エポック社)が最も普及しており、他には海外製のゲーム機をローカライズした高級機(当時は1ドル=230円くらいである)が流通していた。それらに比べて高スペックでありながら、14800円という低価格で人気を集めた。
その結果、“ファミコンブーム”と呼ばれるような爆発的な大ヒットを飛ばした。その人気は日本のみならず、85~86年に発売された海外版ファミコン「NES(Nintendo Entertaiment System)」により、世界規模の社会現象にまで発展した。
このように1980年代に一時代を築き、任天堂を世界的玩具メーカーに押し上げた伝説の家庭用ゲーム機である。世界のビデオゲームの歴史を語る上で、絶対に欠かすことのできない存在となっている。
本体にカセットを差し込むことにより、遊ぶゲームを入れ替えることができる。接触が悪いときはカセットに息をフーッと吹きかけたりするのがお約束だった(この行為について任天堂は「錆びるからやめて!」と呼びかけている)。
CPUには6502(正確にはリコー社開発の互換CPU)が採用された。Z80が主流だった日本ではマイナーだが、米国ではAppleやコモドール64に採用されたメジャーなCPUである。
同時期に発売されたセガのSC-3000/SG-1000(Z80)の半分のクロック数だが、6502の方が同一クロック数では高速なため、ファミコンの方が低性能というわけではない。
コントローラーが標準で2つ付いており、最初から2人同時対戦することができる。コントローラー2にはマイクが付属している代わりに、スタートボタンとセレクトボタンが無く、これらの機能を使うことはできない。
コントローラは本体と直結しており、故障したときは任天堂に送って修理してもらわなければならなかった。
ただ、ボタンの下のゴムが切れた程度なら自分で直すことも出来た。このゴムは、修理部品としてゲームショップの多くで取り扱われていた。
本体前面に拡張端子があり、ここにキーボードやジョイスティックを接続することが出来た。連射機能を付け、本体のコントローラとほぼ同型(やや大きい)のジョイカード(ハドソン)は大ヒット商品となった。
「本体の色は製造コスト削減のため、一番安かったプラスチックを選んだ結果こうなった」と語られることが多いが、ファミコンの開発に携わった任天堂の上村雅之氏によると「社長が好きな色にしたかっただけで、単純に社長命令だった」そうである。プラスチックの本体にしたのは「コストが安いスチール製の試作品が脆かったため」とも語られており、ファミコンの特徴的な本体を単純にコスト削減の賜物だと言い切るのは不正確かもしれない。
なおその知名度から時折勘違いされることもあるが、ファミリーコンピュータが任天堂初のゲーム機というわけではなく、これ以前にも複数機種が発売されている(本記事下部の「関連項目」を参照)。
1990年11月21日、任天堂からファミコンの次世代機「スーパーファミコン」が発売された。だがその後も、さすがに年間発売タイトル数を減らしてはいったものの、ファミコンソフトは1995年まで供給され続けた。
1993年にはAV(オーディオ・ビジュアル)仕様のファミコンが発売された。正式な名称は「AV仕様ファミリーコンピュータ」だが、一般には「AVファミコン」「ニューファミコン」と呼ばれることが多い。
ディスクシステムなどの周辺機器も従来通り可能だが、名前の通りAVケーブルへの接続が可能になっている(ただし、S端子ケーブル等には対応しておらず、それらの端子からは信号が出ない。また、RF端子への接続には専用のプラグが必要)。
さらに、イジェクトバーがなくなったり、カバーの蓋がバネ式になったり、コントローラーが接続型になっている(これによって1コン2コンのコントローラーの区別がなくなり、刺す場所で判断されるようになった)。
コントローラーの形状もSFCのように丸みを帯びたつくりに変わっている。2コンマイクは削除されたが、セレクトボタンや2コンの十字キー↓とAボタン同時押しでマイクに音を入力したのと同じ判定になる。ソフトはせいぜい「マイクに音が入っているか否か」くらいしか判定していないので、マイクを利用した裏技なども再現可能である。
世代がスーパーファミコンに移って以降もファミコン本体は長く生産されていたが、半導体の性能の向上、技術の進歩などからファミコンの生産継続が難しくなり、任天堂は2003年にスーパーファミコンと共に生産を終了。ファンに惜しまれつつ20年の歴史に幕を下ろした。晩年は受注生産ながら少量を製造していたようである。
生産終了後もユーザーからは実機でファミコンをプレイしたいという需要があり、非ライセンス商品ではあるが様々なメーカーからファミコンの互換機が出されている。 → 詳しくはファミコン互換機へ。
2016年には30タイトルを内蔵した「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」が発売されることになった(後述)。
また一部のソフトはバーチャルコンソールとして任天堂の現行機種でダウンロード購入できる。
赤白ファミコンのコントローラーにあるABボタンは通常プラスチック製の丸いボタンだが、『スーパーマリオブラザーズ』が出る前の初期型は四角いゴムボタンのコントローラーを同梱した本体が流通していた。さらに前のロットはそれに加え、コントローラの線が灰色だった。
この四角ボタンは連打に弱く、ボタンが取れたり埋もれてしまったりと、壊れやすかった。このファミコンを修理に出せば、丸ボタンのコントローラになって戻ってきていた。
このように、赤白のファミコンでも製造ロットによって微妙に違いがある。その違いは以下の表のとおり。
ロット ※0 |
基板 ※1 |
製造番号 | 線 ※2 |
ボタン | 底面 | 拡張音源 音量 |
前面 シール |
FF マーク |
ガード ※3 |
遭遇率 |
初期の初期 | ? | ? | 灰 | 角 | つる | 中? | なし | なし | なし | 奇跡 |
初期 | ?~06 | ~H300万台 | 黒 | 角/丸 ※5 |
つる ※5 |
中 | なし | なし | なし | 低い |
中期 | 07 | H******** ※4 |
黒 | 丸 | ざら | 小/中 ※7 |
あり | なし/あり ※8 |
なし | 高い |
後期 | GPM-01・02 | HV******* HC******* |
黒 | 丸 | ざら | 大 | あり | あり | あり | 高い ※6 |
※0 適当につけた区別です。あしからず。
※1 HVC-CPU-以降の番号のみ記載。
※2 コントローラと本体を結ぶ線の事。
※3 カセット差込口の周りをガードしている金属の事。
※4 製造番号がカンストしているものもある(H0002203等)。それ以降は8桁になっている。
※5 HVC-CPU-06では、H3000000辺りから丸ボタン・底面ざらざらしているロットもある。
※6 HV*******の遭遇率は低い。
※7 H7000000辺りから拡張音源が若干大きめになっている。基板の色も、深黄緑から青緑になっている。
※8 H15000000辺りのけっこう新しいロットではFFマークが付いている。
※色が濃くなっている項目は、修理に出すと変化する可能性が高い項目。
基板ロットがHVC-CPU-GPM-*のものは、底面から見える基板の面積が広い。また、AV改造の際に部品が抵抗のみで済む(それ以外は信号増幅のためにトランジスタが必要)。
店によっては、複数のファミコンから部品を組み合わせて売っているところもあり、その場合は製造番号と基板などがかみ合わないことがある。たとえば、とある芋のレゲーショップでは、製造番号が300万台で基板が後期型(HVC-CPU-GPM-02)だったり、FFマーク付きなのに基板が初期型(HVC-CPU-05)だったりと、けっこうバラバラになっている。
「ファミコン」及び「FAMICON」の商標は当初、SHARPが所有していた。これは別に任天堂から横取りしたのではなく、ファミリーコンピュータ発売から遡ること4年前の1979年にその名も「ファミコン」という家庭用オーブンレンジを発売していたため。つまり家電製品を対象とした商標である。
また、SHARPはファミコン発売後の1983年10月に改めて娯楽用具が対象となる「ファミコン」を商標登録している。同年にSHARPが発売した「ファミコンテレビC1」が関係していそうに思えるが、正式な商品名は「マイコンピュータテレビC1」であるため、これが直接の理由とは必ずしも断言できない。またSHARPが登録した商標は「ファミコン」と「FAMICON」であり、前述の家庭用オーブンレンジ(Family Convection Oven)の商標が意図しない分野で使用されることを防ごうとしていた可能性もある(ファミリーコンピュータはFamily Computer)。
この辺りの詳しい経緯は不明だが、SHARPは「ツインファミコン」や業務用ファミコンの「ファミコンステーション」(「ファミコンボックス」は任天堂製)など、自社製品に「ファミコン」の名称をよく使用している。また娯楽区分の「ファミコン」は現在、SHARPから任天堂へ譲渡されている(譲渡の時期は不明)。
「任天堂がファミコンの商標を譲ってもらう代わりにツインファミコンの発売を許可した」という俗説があるが、任天堂とシャープの長年に渡る友好関係を考えたらとんでもないデマである。
2016年11月10日発売予定。価格は5,980円(税別)。
サイズを従来のファミコンの60%として手のひらサイズにし、当時人気があった30タイトル(一覧はプレスリリースに記載)をあらかじめ内蔵させたもの。カセットの挿入はできないが、逆に考えればカセット関連の部品が壊れることや、カセットをフーフーすることが無くなると言える。
付属のUSBケーブルを「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ専用ACアダプター」(別売・1,000円(税別))やUSB経由で電源を供給する機器と接続した上で、付属のHDMIケーブルをテレビ等に接続することで、気軽にファミコンをプレイすることができる。コントローラーはファミコン同様に2台付属しているため、対戦プレイや協力プレイも可能となっている。
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最終更新:2025/03/31(月) 12:00
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