吉川英治文学新人賞とは、財団法人吉川英治国民文化振興会が主催し、講談社が後援する文学賞。
1967年に設立された吉川英治文学賞(こちらは功成り名を遂げたベテラン作家の力作に与える賞)から派生する形で1980年に設立。現在(第34回時点)の選考委員は浅田次郎、伊集院静、大沢在昌、高橋克彦、宮部みゆき。
選考は年1回、3月に行われる。対象は前年の1月1日から12月31日までに刊行された小説。選評は『小説現代』誌上に掲載される。
「新人賞」とついているが、一般公募の文学賞ではなく、大衆文学の若手作家の商業出版作品が対象。具体的に言うと、まだ直木賞や山本周五郎賞を獲ってないエンターテインメント作家のための賞。事実、直木賞や山本賞を獲ったあとに吉川英治文学新人賞を獲った例は一例も無い。エンタメ作家にとっては直木賞の前に獲っておきたい賞だが、2000年以降では吉川新人賞のあとに直木賞を獲ったのは池井戸潤と辻村深月しかいない。
デビュー28年目の今野敏が受賞したりもしているが、基本的には新進作家の出世作に与えられる賞という側面が強く、大沢在昌(『新宿鮫』)、真保裕一(『ホワイトアウト』)、馳星周(『不夜城』)、柳広司(『ジョーカー・ゲーム』)など、この賞の受賞作をきっかけにブレイクした作家は数多い。が、賞自体の知名度は直木賞と比べて圧倒的に低い。
ジャンルはわりとなんでもありであり、ミステリー、冒険小説、青春小説、恋愛小説、時代小説や歴史小説、さらには直木賞ではまずスルーされるホラーやSFも対象になり、受賞作も出ている(高橋克彦『総門谷』、鈴木光司『らせん』、月村了衛『機龍警察 暗黒市場』など)。直木賞と比べると、若者に支持されるタイプの作品が獲りやすい。たまに受賞作が直木賞候補にも挙がるがダブル受賞を果たした作品は無い。一方、本屋大賞とは近しく、4作のダブル受賞作が出ている(恩田陸『夜のピクニック』、佐藤多佳子『一瞬の風になれ』、冲方丁『天地明察』、和田竜『村上海賊の娘』)。
詳しい受賞作・候補作リストはWikipediaか「直木賞のすべて」の当該ページあたりを参照。
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最終更新:2025/12/16(火) 04:00
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