日本推理作家協会賞とは、日本推理作家協会が主催する推理小説の文学賞。
1947年に江戸川乱歩が探偵作家クラブを設立するとともに、探偵作家クラブ賞として1948年に開始。1955年から日本探偵作家クラブ賞、1963年から現在の日本推理作家協会賞という名前になった。
70年以上続いており、現存するミステリー関係の文学賞では最も歴史ある賞である。第1回長編賞受賞作は横溝正史『本陣殺人事件』(金田一耕助の初登場作)、第2回長編賞は坂口安吾『不連続殺人事件』と書けばその歴史を実感していただけるかもしれない。
レギュレーションは何度か変更されているが、現在は「長編および連作短編集部門」「短編部門」「評論その他の部門」の3部門に分かれている。1999年までは連作短編集は短編部門だったりするのでややこしい。また2023年からは、2025年の正式創設を目指して「翻訳小説部門」が試行されている。
なお、一度受賞すると、それ以外の部門でも候補になることはできなくなる(最初期はこの規定はなかったようだが、複数回受賞の達成者はいない)。
また「2作目以降を対象とする」という規定があり、デビュー作で候補になることはできない。この規定ができたがいつなのかははっきりしないが、おそらくレギュレーションの変わった第36回以降で、それ以前は檜山良昭(第32回長編賞)がデビュー作で受賞している(同じ回では竹本健治もデビュー作の『匣の中の失楽』で候補になっている)が、それ以降は原尞、北村薫、山口雅也、馳星周、京極夏彦などデビュー作が有名な作家でも候補になっていない。
基本的には若手ミステリー作家の出世作に与えられる賞だが、ベテランになってから受賞することもある。特に有栖川有栖、法月綸太郎、麻耶雄嵩など新本格の主要な作家は初期の作品で取れず、21世紀になってから受賞している。また受賞作は狭義の本格ミステリ系ばかりではなく、ハードボイルドや冒険小説はもちろん、場合によってはSF(小松左京『日本沈没』、梅原克文『ソリトンの悪魔』、菅浩江『永遠の森 博物館惑星』、山田宗樹『百年法』など)やファンタジー(古川日出男『アラビアの夜の種族』、恒川光太郎『金色機械』など)が受賞することもある。
受賞自体はその年々の選考委員がミステリーの意味をどのくらい広く取るかによるが、少なくとも候補作選びの段階では「このミステリーがすごい!」と同じぐらい(あるいはそれ以上に)ミステリーの意味を広めに取っているようで、わりと何でもあり。そのため吉川英治文学新人賞や山本周五郎賞、大藪春彦賞、日本冒険小説協会大賞あたりとダブル受賞、トリプル受賞になることも稀によくある。
短編部門は受賞作なしになることも多い。ミステリ短編の絶対数が多くない上、前述の通り他の部門で賞を獲った作家は候補にできないためである。評論・研究部門は未受賞者のガチのミステリ評論なんて年に何冊も出ないので、SF・幻想文学・純文学など非ミステリを対象にした評論・研究書や、ミステリ関連のエッセイ、さらには現実に起きた事件を扱ったノンフィクションなども対象になる。なお、受賞において日本推理作家協会の会員である必要はない。
選評は日本推理作家協会のサイトで全て読むことができる。過去の受賞作は「日本推理作家協会賞受賞作全集」として双葉文庫でも刊行されている。
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最終更新:2024/12/22(日) 14:00
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