天皇杯全日本サッカー選手権大会とは、日本の男子サッカーにおける全国規模のオープントーナメントである。
「天皇杯」という名前の優勝カップはサッカー以外の競技にも存在するのだが、単に「天皇杯」と言えば大体この大会の事を指すほどである。他の競技と明確に区別する場合は「サッカー天皇杯」または「天皇杯サッカー」などと呼ばれる。
日本のすべての第1種(プロ・社会人・大学)チームに参加権がある大会であり、これらのチームが混ざって戦うのが特徴である。1996年から2014年までは第2種(高校・クラブユース)チームも参加可能であった。予選から決勝まで全試合が一発勝負で行われる。
本大会出場チームは、第89回(2009年)大会以降は88チームとなっている。J1・J2のチームはすべて予選免除、これにその他予選免除チーム(JFL上位チームなど)と各都道府県代表(47チーム)を加えて競われる。
現在は、8月までに都道府県大会が行われ、9月に本大会が開幕。決勝戦は年明けの元日に行われている。
優勝チームには、翌シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)への出場権が与えられ、Jリーグ上位チームとともに参戦する。
オープントーナメントでかつ一発勝負であるので、上のリーグカテゴリに所属しているクラブが下のリーグカテゴリに所属しているクラブに負けるという、いわゆるジャイアントキリング(番狂わせ、下克上)が、日本のサッカー大会としては最も目立って起こる大会である。
大会創設(1921年)から1950年代までは、大学のサッカーチームが優勝することが多かったものの、1960年代に入って企業チームが取って代わった。Jリーグ発足(1993年)後は、Jリーグのチームのみが優勝経験がある。
| 優勝 | 準優勝 | 備考 | |
| 2016-17年(第96回) | 決勝戦を市立吹田サッカースタジアムで開催。 | ||
| 2015-16年(第95回) | ガンバ大阪 | 浦和レッズ | 2年ぶりに決勝は元日。 決勝戦を味の素スタジアムで開催。 ガンバ大阪は前回から2連覇。 |
| 2014-15年(第94回) | ガンバ大阪 | モンテディオ山形 | AFCアジアカップ2015が1月に開催されるため、 代表強化の観点から決勝を恒例の元日ではなく12月に前倒し。 決勝戦を日産スタジアムで開催。 ガンバ大阪はJ1・ヤマザキナビスコカップとの三冠。 |
| 2013-14年(第93回) | 横浜F・マリノス | サンフレッチェ広島 | 国立競技場建て替えの為、現行の国立競技場で行われる最後の決勝戦。 その年度におけるJ1の1位と2位の対戦はJリーグ発足後初めて。 |
| 2012-13年(第92回) | 柏レイソル | ガンバ大阪 | |
| 2011-12年(第91回) | FC東京 | 京都サンガF.C. | J2創設以来初めての、その年にJ2に所属していたチーム同士の決勝。 また、J2勢が優勝したのもJ2創設以来初めて。 |
| 2010-11年(第90回) | 鹿島アントラーズ | 清水エスパルス | |
| 2009-10年(第89回) | ガンバ大阪 | 名古屋グランパス | |
| 2008-09年(第88回) | ガンバ大阪 | 柏レイソル | |
| 2007-08年(第87回) | 鹿島アントラーズ | サンフレッチェ広島 | 鹿島はJ1優勝との二冠。 |
| 2006-07年(第86回) | 浦和レッズ | ガンバ大阪 | 浦和はJ1優勝との二冠。 |
ここでは、「Jリーグ以外のチームが、J2以上のチームを破った例」を示す。J2下位のチームやJ3のチームがJ1上位のチームを破った場合もジャイアントキリングと扱われる場合があるが、ここでは省略した。
| J1のチームに勝利 | J2のチームに勝利 | |
| 2016-17年(第96回) | Honda FC(vsFC岐阜) 神奈川大学(vsFC町田ゼルビア) |
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| 2015-16年(第95回) | FC大阪(vsセレッソ大阪) FC岐阜SECOND★(vsザスパクサツ群馬) 流通経済大学(vs栃木SC) |
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| 2014-15年(第94回) | 奈良クラブ★(vsベガルタ仙台) ソニー仙台FC(vs鹿島アントラーズ) 関西学院大学(vsヴィッセル神戸) |
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| 2013-14年(第93回) | AC長野パルセイロ(vs名古屋グランパス) | ツエーゲン金沢(vs横浜FC) AC長野パルセイロ(vsギラヴァンツ北九州) |
| 2012-13年(第92回) | AC長野パルセイロ(vsコンサドーレ札幌) 横河武蔵野FC(vsFC東京) 福島ユナイテッドFC★(vsアルビレックス新潟) SAGAWA SHIGA FC(vsヴィッセル神戸) FC今治★(vsサンフレッチェ広島) カマタマーレ讃岐(vsサガン鳥栖) |
福島ユナイテッドFC★(vsヴァンフォーレ甲府) |
| 2011-12年(第91回) | 福岡大学(vs大宮アルディージャ) 松本山雅FC(vsアルビレックス新潟) |
松本山雅FC(vs横浜FC) |
| 2010-11年(第90回) | ソニー仙台FC(vsベガルタ仙台) | FC町田ゼルビア(vs東京ヴェルディ) |
| 2009-10年(第89回) | 松本山雅FC★(vs浦和レッズ) 明治大学(vsモンテディオ山形) |
福岡大学(vs水戸ホーリーホック) ホンダロックSC(vs東京ヴェルディ) 明治大学(vs湘南ベルマーレ) 福島ユナイテッドFC★(vsセレッソ大阪) 鹿屋体育大学(vs徳島ヴォルティス) |
| 2008-09年(第88回) | 松本山雅FC★(vs湘南ベルマーレ) 国士舘大学(vs徳島ヴォルティス) 栃木SC(vsロアッソ熊本) |
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| 2007-08年(第87回) | Honda FC(vs柏レイソル) Honda FC(vs名古屋グランパス) |
TDK(vsコンサドーレ札幌) 順天堂大学(vsベガルタ仙台) Honda FC(vs東京ヴェルディ) 明治大学(vs京都サンガF.C.) |
| 2006-07年(第86回) | 静岡FC★(vs水戸ホーリーホック) 栃木SC(vs東京ヴェルディ) バンディオンセ神戸★(vs横浜FC) YKK AP(vs ヴィッセル神戸) |
2007年は、アマチュアチームのHonda FCが、Jリーグのチームを3チーム撃破し(準々決勝で鹿島アントラーズに敗れる)8強入りを果たしている。下記「関連動画」も参照。
天皇杯でよく使われるこの言葉は、2ちゃんねる内における大会関連のスレッドが発祥とされる。
天皇杯の中継はNHKが共催で名を連ねている関係で独占しており、併せて全国中継されるほとんどのカードがNHK衛星第一テレビジョン(BS1)で放映されている。
この言葉が浸透しだしたきっかけとなったのは、2004年の第84回大会の5回戦である横浜F・マリノス対ザスパ草津の一戦と言われている。
当時のマリノスはJ1を2連覇、片やJFLを3位で終えていた(しかし特例でJ2昇格が決まっていた)ザスパは、4回戦でセレッソ大阪を逆転で下してきた。
実はこの試合、チャンネルはBS1だったが、水曜日のゴールデンタイムでの放送ということもあり、国内サッカーファンを始め、全国から注目されていた。
最初は前半29分にザスパの宮川大輔がゴールを決めて先制する。
後半に入ると目が醒めたマリノスが積極的にゴールを奪いに来るようになるが、後半27分にマリノスの奥大介を止めようとザスパの山口貴之が引っ掛けてしまいイエローカード2枚目を貰って退場。
後半38分に奥が決めて同点とし、逆に後半40分にザスパの籾谷真弘がイエローカード2枚目を受けて退場。
この時点でザスパは9人となってしまうも奮闘し何とか延長戦に持ち込んだが、J1王者であるマリノスは誰一人退場しておらず、ここまで足掻き続けたザスパがマリノスに屈してしまうのも、もはや時間の問題であると誰もが思っていた。
そして延長前半11分、当時ザスパのキャプテンだった鳥居塚伸人がFKで揉みくちゃになっているマリノスゴール前にボールを蹴り飛ばし、マリノスの誰もがクリアせずにザスパの選手たちとボールを争奪し合う。
ボールはファーポスト方向に転がり、それにザスパの依田光正選手が反応してそのままシュート、それがそのままゴールに吸い込まれてザスパの延長Vゴール(サドンデス)勝ち・・・伝説がまた1つ、誕生した瞬間であった。
試合後、NHKのニュース9で「ザスパ草津、大金星!」の見出しで試合内容が紹介され、翌日のスポーツ新聞では1面を飾り、さらにはザスパの公式サイトがサーバーダウンによるアクセス不可状態となっていた。
なお、ザスパは3日後の準々決勝である東京ヴェルディ戦では0-3とやられてしまう。
無理も無い、マリノス戦前のリーグ戦で膝を悪化させていたGKの小島伸幸は強行出場してさらに悪化させてしまっているし、マリノス戦で主力2人が出場停止となってしまったのだから。
ちなみにマリノスについてだが、前大会である2003年の第83回でも、なんと船橋市立船橋高等学校に2-0から追いつかれてPK戦にまでもつれ込んでしまった試合を観せてしまっている。(決して失態ではない。)
当時のマリノスはシーズンの最後辺りどうしてああなった・・・。
最後に「BS劇場」というこの言葉、今ではJ1のリーグ戦でも使われているらしいが、正直「BS劇場=天皇杯での番狂わせ」である認識の方々からしたら馴染めない使用の仕方であろう。
第87回(2007年度)。Jリーグクラブを3つ破ってみせて反旗を翻した「Jへの門番」Honda FCが、当時のJ1王者である鹿島アントラーズ挑んだ一戦のダイジェストである。
(左)天皇杯のアンセム(テーマ曲)として用いられている「日本サッカーの歌」。作曲したのはかの坂本龍一。
(右)伝説中の伝説となった第78回(1998年度)。最後の出場となった横浜フリューゲルスが、一度も負けずに優勝を勝ち取り、そして1ヶ月後に消滅した・・・。
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最終更新:2025/12/07(日) 00:00
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