新世紀エヴァンゲリオン
Neon Genesis EVANGELION

汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオン初号機
Evangelion Unit-01 "Test Type"
illustrated by fog
『新世紀エヴァンゲリオン』とは、1995年10月~1996年3月にテレビ東京系で放映されたアニメ。
それまでのアニメの集大成とも云われる、1990年代を代表する大ヒットアニメであり、『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』に続く第三次アニメブームを作ったとされる。日本のアニメ史に残る作品。
通称「エヴァンゲリオン」もしくは「エヴァ」。「エバ」ではない。
原作はガイナックス。アニメーション制作はガイナックスとタツノコプロ。監督は庵野秀明。2014年に知的財産権がスタジオカラーに移譲され、原作がガイナックスからカラー社長・庵野秀明に、アニメーション制作がガイナックス・タツノコプロの共同からタツノコプロに変更された。
本放送は1995年10月~1996年3月にテレビ東京系で放映された。開始当初はさほど注目されなかったが、フラッシュカットや極太明朝体フォントを駆使したスタイリッシュな映像、実写特撮作品の様式を取り入れたレイアウト、聖書や神話をモチーフとしながら漢字表記を多用する独特の演出、そして終盤から明かされていく謎だらけの展開から人気が上がり、深夜帯の再放送を視聴した後追い組も加わって大フィーバーする。しかし最終2話はそれまでの展開から一転、伏線回収を放棄したような心理的な物語が繰り広げられ、放送後は喧々囂々の作品語りが巻き起こった。
1997年春。テレビ版第壱話~第弐拾四話までの総集編を中心とした劇場版『シト新生』(通称春エヴァ)が公開。同年夏に「シト新生」の完結劇場版『Air/まごころを、君に』(通称夏エヴァ)が公開された。だが、この「夏エヴァ」も独自の用語を説明なしで多用したり、キャラクターの精神世界の描写やメタフィクション的な実写映像が混在していたりと、「難解」「前衛的」ともとれるものであり、かつ「ハッピーエンド」とは言い難い終わり方をしていた。
しかし、万人に納得できる終わり方をしなかったことが、かえって盛んな作品考察や二次創作ブームを招き、「エヴァンゲリオン」は一過性のブームに留まらない、息の長いコンテンツへと変貌していった。
2007年に入り、リビルド(再構築)作品である『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』が公開された。その後2009年に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』、2012年に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』が公開され、2021年公開の『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』をもって完結した。
また、アニメを基にした漫画作品もあり、「月刊少年エース」にて連載されていた(後述)。
西暦2000年に「セカンドインパクト」と呼ばれる地球規模の大災害が発生し、人類のおよそ半数が死亡した地球。
時に、西暦2015年。人類はセカンドインパクトを引き起こしたとされる謎の存在「使徒」からの攻撃を受けていた。それに立ち向かうのは、主人公である碇シンジをはじめとした14歳の少年少女。彼らは国連特務機関「NERV(ネルフ)」の造り上げた巨大な人造人間「エヴァンゲリオン」に搭乗し、使徒と戦う。
孤独な幼少期を送り、そこから自己の存在理由=他人の愛情を求めるシンジ。シンジに過去の自分を重ね、庇護しようとするNERV作戦部長・葛城ミサト。他人を拒絶するシンジの父・碇ゲンドウを盲目的に慕う謎の少女・綾波レイ。ドイツから来日したエヴァパイロット・惣流・アスカ・ラングレー。
彼ら少年少女とNERVの大人たちは、それぞれの苦悩と葛藤、そして野望を胸に使徒との戦いに臨む。その裏側で、NERVを陰から操る秘密結社「ゼーレ」は使徒殲滅と並行し、謎のプロジェクト「人類補完計画」を強力に推進していた。
セカンドインパクトの真実を探ろうとするスパイ・加持リョウジの暗躍と、知られざるゼーレとゲンドウの過去。徐々に提示される多くの謎と共に、過酷な戦いの中でシンジ・レイ・アスカたちの関係も変容し、複雑なドラマが描かれていく。やがて物語は彼らの精神の決着を描くテレビ版と、NERV最後の戦いを描く劇場版に収束していく。
NERV本部のある第3新東京市に襲来する、謎の生命体のこと。テレビアニメ版では17体、漫画版では13体が登場した。名称は劇中では「死海文書」に記されているものとされるが、実際には『エノク書』などのユダヤ教・キリスト教・イスラム教関連の書物や伝承に登場する天使・人物などの名から取られている。
「最初の人間」と呼ばれる第1使徒アダムこそが、セカンドインパクトの元凶である。南極で人類に発見されたアダムは覚醒し、全生命を滅ぼしかけるが、その場の人類調査隊の奮戦によって辛うじて生命滅亡は回避された(なお、公式にはセカンドインパクトの原因は超巨大隕石の落下ということにされている)。
その後復元されたアダムの肉体はNERV本部地下に幽閉され、その肉体を模してエヴァンゲリオンが造られた。一方で肉体から飛び出したアダムの魂はとある存在に宿り、独自の考えに従って行動している。
第2使徒リリスは「生命の起源」とされるが、詳細は不明。
第3使徒から第17使徒が、テレビ版における主な敵となる。彼ら(?)は彼らの、あるいはそれぞれの目的に沿って行動しているが、ほとんどの使徒は第三新東京市のNERV本部を目指して侵攻してくる。彼らがアダムと接触することで全生命の滅亡=サードインパクトが発生すると「死海文書」で予言されており、NERVとゼーレはこれを阻止することを第一としている。
以下、テレビアニメ版における使徒を記す。
第3使徒から第16使徒は「アダムから生まれた生命の種」である。彼らは本来地球で繁栄するはずであったが、何らかの原因でアダムが活動を停止したあおりを受けて休眠状態に入っていた。彼らは人類から生命の主導権を奪い返すため、アダムと接触して全生命のリセット=サードインパクトを発動しようとしているのである。
NERV本部地下に幽閉されている巨人は、実はアダムではなくリリスの肉体である。アダムの肉体は確かに再生されてはいるが、その実物はとある人物の肉体に融合している。
アダムの魂は第17使徒タブリスに宿っている。タブリスとアダムは完全な同一アイデンティティを持っているわけではなく、タブリス自身は「自分はアダムの一部」と考えている。タブリスは自身を見出したゼーレに諭されてNERV本部地下を目指すが、それはゼーレがタブリスに仕掛けた罠であった。
リリスは、第18使徒リリン=人類と、その他すべての地球上の生命の祖である。リリスは何らかの原因でアダムから生命の主導権を奪い、地球を我がものとした。また、タブリスと同じように、肉体から離れたリリスの魂はとあるリリンの一体を器としている。
ゲーム、書籍、新劇場版などの他媒体や本制作前の企画書には上記以外の使徒も登場している。
テレビアニメ放映開始にやや先立って、「月刊少年エース」1995年2月号から貞本義行(アニメ版のキャラクターデザイン)によるコミック版が連載開始した。しかし貞本の本業の多忙さなどから休載が頻発するなどしたために進行が非常に遅くなった。1990年代後半には「セカンドインパクトの年(2000年)には間に合わないだろう」とファンたちから諦めの目で見られていたほどである。
さらに2000年代後半には、新劇場版制作が発表された時に「コミック版も一から作り直される」というデマ情報が流れたこともあり、「まさか劇中の年(2015年)までにも完結しないのでは」とまで心配されていた。2009年には、完結を迎えないままに雑誌を「ヤングエース」に移籍した。
その後、「ヤングエース」2013年7月号にてようやく完結した。連載開始からおよそ18年、テレビ本放送が終了した1996年3月から数えてもおよそ17年かけたことになる。最終回が掲載された7月号のヤングエースは売り切れ状態となり入手不能者が出たため、次の8月号でも再掲載された。
単行本は2014年11月発売の第14巻が最終巻となった。この第14巻には六分儀ゲンドウや碇ユイの大学時代を描いた描き下ろし漫画『夏色のエデン』も掲載されている。この『夏色のエデン』には新劇場版から登場した某キャラも意外な姿で登場しており、ファンの間ではそのキャラの素性を考察する材料にもされている。ちなみに第14巻発売前の2014年6月の時点で、13巻までの累計発行部数は約2300万部。
連載開始が本編放送より早かったこともあり、漫画(貞本エヴァ)が原作だと勘違いされることもあったらしいが、 エヴァンゲリオン自体が「当時の原作ありきのアニメ体質を見直し、アニメ原作のアニメを作る」との庵野監督らの意図から企画されたものであり、漫画は原作ではない。原作がない「アニメ原作のアニメ」(オリジナルアニメ)であり(なので、「原作」と言えばアニメ版を指す)、貞本エヴァはメディアミックスの一つになる(コミカライズ)。ただしキャラクターデザイナーが自ら漫画版を担当する例は珍しいため、安彦良和は貞本との対談で「貞本エヴァを見た事で、メインデザイナーがコミカライズを描いてもいいんだ」と思ったと語り、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』を描くきっかけの一つになった事を明かしている。
なお、本編と貞本エヴァでは基本設定や大筋のストーリーは共通だが、細かい展開やキャラクターの性格付けは異なっている(例:碇シンジが「逃げちゃダメだ」を言わない、渚カヲルが子供っぽい性格をしている、など)。これについて貞本は、原作であるアニメエヴァは「庵野さんのもの」であると答えており、それを原作として自身の解釈と考えに基づく描き方を心がけている事を明かした。また、本編はゴールデンタイムに近い時間帯に放映された作品であるにもかかわらず、対象年齢をかなり上に設定している反面、貞本エヴァでは対象年齢をかなり低く設定してある。しかし、物語が後半に近づくにつれてアニメ版以上にハードな展開になっており(アニメ版では死亡しないキャラが漫画版では死亡する、ゲンドウがシンジに憎悪に似た感情をぶつける、など)、アニメに合わせて対象年齢が引き上げられている事が伺える。
アニメでは『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』と並ぶといわれる大ブームを引き起こし、普段はアニメを見ない人々をも巻き込み社会現象とまで言われた。大塚英志が読売新聞上で取り上げ、サブカルチャー誌「Quick Japan」「STUDIO VOICE」で特集号が発行され、テレビでも報道番組が特集を組んでその人気の加熱振りを取り上げるなどと、マスメディアでも頻繁に取り上げられた。
上記「ストーリー」の項にも触れられているとおり、多くの意味深な用語や設定、謎を含み、それらを殆ど解明しないままにテレビ版・映画版とも完結したため、ファンの間での論争や考察も盛んだった。誰が書いたのかも怪しいような非公式の解説本(謎本)が何種類も出版され、その中のいくつかは年間ベストセラーランキングにまで食い込んでいたと言う出来事からも当時の過熱振りが想像できる(なお、設定や謎は、後に庵野監督協力・ガイナックス監修の元で作成されたゲーム「エヴァンゲリオン2」内である程度解明された)。
オタク界や多くのクリエイターに絶大な影響を残し、以降「意味深な宗教・科学用語の多用、不必要なまでによく練られた設定付を行い、一つの世界観を作り上げる」という作品作りが一つのスタンダードとなる。
また、テレビ東京で深夜帯に再放送され新しいファンの開拓に成功した。これは当時まだ出始めだった深夜アニメが商業的に成立することを証明し、以降マニア向けの深夜アニメが大量生産されるようになる。
エヴァンゲリオンのファンは一般人に留まらない。中には稲垣早希(桜)のように、登場人物の物真似をする「エヴァ芸人」さえいる。ここではエヴァンゲリオン好きを公言している有名人の一覧を載せておく。
宇多田ヒカル、大槻ケンヂ、滝本竜彦、藤原基央(BUMP OF CHICKEN)、加藤夏希、
中田敦彦(オリエンタルラジオ)、栗山千明、今田耕司、大竹まこと、L'Arc~en~Ciel、京極夏彦、片岡鶴太郎、
藤井フミヤ、PUFFY、竹中直人、村上龍、筑紫哲也、坂本龍一、柳美里、爆笑問題、宮部みゆき、忌野清志郎、
水道橋博士(浅草キッド)、竹中平蔵(元総務大臣)、沢尻エリカ、水川あさみ、桜井和寿(Mr.Children)、
深田恭子、草薙剛(SMAP)、谷村新司、ウッチャンナンチャン、北野武、松任谷由美etc.
なお、大槻ケンヂは綾波レイのキャラクターイメージの元ネタとなった曲(筋肉少女帯の「何処へでも行ける切手」)を作詞するなど、エヴァに与えた影響も大きい。
| 話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 動画 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 第壱話 | 使徒、襲来 | 庵野秀明 | 摩砂雪 庵野秀明 |
鶴巻和哉 | 鈴木俊二 | |
| 第弐話 | 見知らぬ、天井 | 榎戸洋司 庵野秀明 |
本田雄 | |||
| 第参話 | 鳴らない、電話 | 薩川昭夫 庵野秀明 |
鶴巻和哉 石堂宏之 |
石堂宏之 | 細井信宏 | |
| 第四話 | 雨、逃げ出した後 | 薩川昭夫 | 甚目喜一 | 加賀ツヨシ | 重田智 | |
| 第伍話 | レイ、心のむこうに | 薩川昭夫 庵野秀明 |
杉山慶一 | 鈴木俊二 | ||
| 第六話 | 決戦、第3新東京市 | 摩砂雪 | 石堂宏之 | 細井信宏 | ||
| 第七話 | 人の造りしもの | 榎戸洋司 庵野秀明 |
杉山慶一 庵野秀明 |
杉山慶一 | 鈴木俊二 | |
| 第八話 | アスカ、来日 | 樋口真嗣 | 鶴巻和哉 | 本田雄 | ||
| 第九話 | 瞬間、心、重ねて | 薩川昭夫 庵野秀明 |
水島精二 | 長谷川眞也 | ||
| 第拾話 | マグマダイバー | 加賀ツヨシ 庵野秀明 |
加賀ツヨシ 石堂宏之 |
重田智 | ||
| 第拾壱話 | 静止した闇の中で | 榎戸洋司 庵野秀明 |
摩砂雪 | 渡邊哲哉 | 河口俊夫 | |
| 第拾弐話 | 奇跡の価値は | 薩川昭夫 庵野秀明 |
石堂宏之 | 重田智 | ||
| 第拾参話 | 使徒、侵入 | 磯光雄 薩川昭夫 庵野秀明 |
岡村天斎 | 黄瀬和哉 | ||
| 第拾四話 | ゼーレ、魂の座 | 庵野秀明 | 大塚雅彦 安藤健 |
|||
| 第拾伍話 | 嘘と沈黙 | 薩川昭夫 庵野秀明 |
甚目喜一 | 羽生尚靖 | 鈴木俊二 | |
| 第拾六話 | 死に至る病、そして | 山口宏 庵野秀明 |
鶴巻和哉 | 長谷川眞也 | ||
| 第拾七話 | 四人目の適格者 | 樋口真嗣 庵野秀明 |
オグロアキラ | 大原実 | 花畑まう | |
| 第拾八話 | 命の選択を | 岡村天斎 | 黄瀬和哉 | |||
| 第拾九話 | 男の戰い | 薩川昭夫 庵野秀明 |
摩砂雪 | 本田雄 | ||
| 第弐拾話 | 心のかたち 人のかたち | 庵野秀明 | 鶴巻和哉 庵野秀明 |
大塚雅彦 | 鶴巻和哉 | |
| 第弐拾壱話 | ネルフ、誕生 | 薩川昭夫 庵野秀明 |
甚目喜一 | 石堂宏之 | 重田智 | |
| 第弐拾弐話 | せめて、人間らしく | 山口宏 庵野秀明 |
鶴巻和哉 | 高村彰 | 花畑まう | |
| 第弐拾参話 | 涙 | 鶴巻和哉 庵野秀明 |
増尾昭一 | 鈴木俊二 | ||
| 第弐拾四話 | 最後のシ者 | 薩川昭夫 庵野秀明 |
摩砂雪 庵野秀明 |
摩砂雪 | ||
| 第弐拾伍話 | 終わる世界 | 庵野秀明 | 鶴巻和哉 庵野秀明 |
鶴巻和哉 | 本田雄 | |
| 最終話 | 世界の中心でアイを叫んだけもの | 庵野秀明 | 摩砂雪 鶴巻和哉 庵野秀明 |
摩砂雪 鶴巻和哉 |
||
|
|
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/06(土) 08:00
最終更新:2025/12/06(土) 08:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。