村上春樹(むらかみはるき)とは、日本の小説家・アメリカ文学翻訳家。京都生まれ兵庫育ち。早稲田大学第一文学部演劇科卒。
「村上春樹の話が聞きたいわ」
個性的な寝癖がチャーミングな彼女はそう僕に言った。僕は彼女が村上春樹について聞く理由を考えたが、何故かわからなかった。ためしにその質問を頭の中で3回ほど繰り返してみたが、やはりわからなかった。
「村上春樹の話は誰も好きになってくれないようなタイプの話なんだ。それに正確な情報なら、wikipediaにのっている」
「いいから話してみて。あなたから聞いてみたいわ」
「生まれは1949年。平凡な街で育って、平凡な学校を出た。大学に入って、東京に出てきた。平凡な初恋をして、30歳のときに『風の歌を聴け』でデビューした。それ以降、いくつも小説を書いているけど、彼の小説は必ず女の子とセックスする話なんだ。退屈そうな小説家だと思わないか?」
「面白そうだわ」
「今はスコット・フィツジェラルドやトルーマン・カポーティとか流行遅れの小説の翻訳の仕事をしている。プルーストの『失われた時を求めて』も揃いでもっているけど、半分しか読んでない。好きなアーティストはドアーズ。最近、エレサレム賞を受賞してスピーチをした」
「面白そうな人生だわ」
「ずっと退屈な人生だったし、これからも同じさ。でもそれが気に入らないというわけでもない。要するに仕方ないことなんだよ」
彼女はバッグからタバコを出して口にくわえた。
「あなたと寝てみたいわ」と彼女は言った。
そして、僕たちは寝た。
参考・引用文献 村上春樹『羊をめぐる冒険』他
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最終更新:2025/12/13(土) 02:00
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