旅客車の表記(事業用を含む)
各分類ごとに左上の略号が優先して表記される。
国鉄式表記方法
まず、最初の記号は、その車両がどのようなものなのかを示す。
- 在来線旅客電車の場合
- JR東日本の蓄電池車の場合、EV-で始まるが、この場合、後述するカタカナは来ない
- 最初の1文字or2文字で車両のタイプを表す
- モ - 電動車(モーターがある車両)
- ク - 制御車(運転台がある車両)
- クモ - 制御電動車(モーターと運転台が両方ある車両)
- サ - 付随車(モーターも運転台もない車両)
- 次の1文字以上で車両の用途を表す
- イネ - 1等寝台車(2等級制移行に伴い廃止)
- ロネ - 2等寝台車→1等寝台車(2等級制移行)→A寝台車(モノクラス制移行)
- ハネ - 3等寝台車→2等寝台車→B寝台車
- イ - 1等車(2等級制移行に伴い廃止)
- ロ - 2等車→1等車→グリーン車
- ハ - 3等車→2等車→普通車
- シ - 食堂車
- ユ - 郵便車
- ニ - 荷物車
- テ - 展望車
- ヤ - 職用車
- ル - 配給車
- エ - 救援車
- そのあと数字が来るが、数字がすべてつなげて書いてある場合とそれ以外で異なる
- 単に数字がつなげて書いてある場合(4桁か5桁)
- これは旧性能電車である
- 万位がないものは、木造車である
- 万位が1のものは、鋼製の17m車である
- 万位が2のものは、阪和電気鉄道の車両の更新車である
- 万位が3以上のものは、鋼製の20m車である。
- 千位は電動車(0から4)か付随車(5から9)かを表す(なお、単なる制御車はこの文脈では付随車扱い)
- 百位以下はその形式内での通し番号である
- ハイフンで区切られている場合
- 頭にEがついている場合、それはJR東日本の形式である
- 頭にBECがついている場合、それはJR九州の蓄電池車である
- ハイフンの前の部分の百位は、その車両の電源形式を表す
- 1から3 - 直流専用
- 4から6 - 交直流両用
- 7・8 - 交流専用
- 9 - 試作車等
- 十位は、その車両の運用用途を表す
- 0 - 通勤型
- 1から3 - 近郊型(最近は0から3をまとめて一般型として扱う会社もある)
- 4 - 事業用など、非旅客用
- 5から7 - 急行型(急行はほぼ消滅したので特急型に転用)
- 8 - 特急型
- 9 - 試験車など
- 一位は、その車両形式の番号であるが、基本となる数字は奇数で、その派生で1減じた数字を用いる
- ハイフンより後はその車両形式内の番号である。番台を区切って処理する場合あり
- 気動車の場合
- アルファベットで始まらない場合
- 最初の1文字or2文字で車両のタイプを表す
- キ - 動力車(基本的に気動車は全車エンジン搭載なので、運転台のあるなしは問わない)
- キク - 制御車
- キサ - 付随車
- 次の1文字以上で車両の用途を表す。これは電車と同じなので割愛
- そのあとはハイフンで区切られて数字が続く。数字の前にEがついている場合、電車と同様JR東日本の車両という意味である
- 百位がある場合があるが、基本的にあまり意味はない
- 十位は以下の通り
- 0から2 - 通勤型・近郊型・一般型
- 3 - 基本的に一般型に使う
- 4 - 一般型(JR北海道)・事業用(JR西日本)
- 5から7 - 急行型(急行はほぼ消滅したので、5は一般型に、6は一般型・特急型に、7は特急型に転用)
- 8 - 特急型
- 9 - 試験車・事業用車など
- 一位はその車両形式の番号である
- ハイフンより後はその車両形式内の番号である。番台を区切って処理する場合あり
- アルファベットで始まる場合
- HB-ならハイブリッド気動車である
- GV-もしくはDECなら電気式気動車である
- このタイプの車両では、カタカナの用途記号等は使わない。あとはほかの気動車と同様である
- 客車の場合
- いきなりイ・ロ・ハが来る場合、それは2軸客車である
- そうでない場合、ボギー車であり、重量を意味する
- コ - 22.5t未満
- ホ - 22.5t以上27.5t未満
- ナ - 27.5t以上32.5t未満
- オ - 32.5t以上37.5t未満
- ス - 37.5t以上42.5t未満
- マ - 42.5t以上47.5t未満
- カ - 47.5t以上
- 次の1文字以上は用途を表す。これは電車と同じものは割愛するが、以下のものが追加で存在する
- ヘ - 病客車(イヘ・ロヘもあり)
- ヌ - 暖房車。昔は暖房はボイラー経由でとっていたが、蒸気機関車以外にボイラーはないわけで、暖房を使うために連結した車両のこと
- 用途の後ろにフがついている場合、緩急車を意味する
- 十位は車両の構造等である
- 1・2 - 軽量客車
- 3から5 - 一般型客車
- 6 - 木造車の鋼体化改造車
- 7 - 戦災復旧車
- 8 - お座敷客車
- 9 - 特殊用途
- 一位はボギー車の場合(二軸車は淘汰済み)1から7が2軸、8・9が3軸である
- 残りはその車両形式内の番号である。番台を区切って処理する場合あり
- 新幹線電車の場合
- 最初にアルファベットがある場合、それは会社である(E=JR東日本、H=JR北海道、W=JR西日本)
- 百位は車両の形式である。百位がない場合は0があるとみなす(0系が該当)
- アルファベットなしの場合、100系とか200系とか呼ぶ
- なお、700系の派生のN700系・N700S系は全部700系扱いである
- アルファベットありの場合、E1系とか呼ぶ
- 例外的に、百位9は事業用車と決まっている。事業用車に関しては今回は説明を割愛する
- 十位は車両の用途である
- 1 - グリーン車
- 2 - 普通車
- 3 - 食堂車(ただしN700S系の場合グリーン車)
- 4 - 2階建てグリーン車(ただしN700S系の場合普通車)
- 5 - 2階建て普通車
- 6 - 2階建て食堂車(ただしN700系の場合グリーン車・普通車合造車)
- 7 - 2階建てグリーン車・普通車合造車もしくはグリーン車
- 8 - 普通車
- 一位は車両の動力・運転台関係である
- 1 - 制御電動車(東海道・山陽・九州新幹線では下り方、東北・北海道・上越・北陸新幹線では上り方。ただしE6系ではどちらも1である)
- 2 - 制御電動車(東海道・山陽・九州新幹線では上り方、東北・北海道・上越・北陸新幹線では下り方)
- 3 - 制御車(東海道・山陽・九州新幹線では下り方、東北・北海道・上越・北陸新幹線では上り方)
- 4 - 制御車(東海道・山陽・九州新幹線では上り方、東北・北海道・上越・北陸新幹線では下り方)
- 5・7 - 電動車(パンタグラフなし)
- 6 - 電動車(パンタグラフあり)
- 8 - 付随車(ただし電動車の場合あり)
- 9 - 付随車
- ハイフンより後は基本は製造番号である
なお、JR四国の新形式は、そもそも国鉄方式を採用していない。
国鉄式表記の使い方
動力→等級→設備の順に表記する。
例:動力・運転台付きの普通・荷物合造の電車→クモハニ
電車
- 運転台と動力を持ち併せる場合は「クモ」となる。これは、元々電動車が運転台を標準的に装備しているという前提があり、気動車同様に運転台の有無を無視して「モ」を名乗っていたのを、無理やり分離した結果で、中間電動車を標準とした日本ならではの発生ともいえる。
気動車
- 動力、運転台の有無に関係なく、頭に「キ」を付ける。
私鉄における形式表記
基本的には国鉄式に準じるが、細かい表記方法は会社毎に異なる。大きな違いとしては、国鉄では基本的に見られない濁点付きの文字を使用する場合がある。代表的なものを挙げる。
私鉄の場合は、客車には無条件で「ハ」を付与している会社や、等級表記をしないケース、地下鉄に多い番号のみの表記、さらに会社名およびその略称を織り込んだケースもある。
| 分類 |
表記 |
意味 |
| 動力 |
デ |
電動車 |
| ジ |
気動車 |
|
ボ |
ボギー車 |
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関連項目