TK-X 単語


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ヒトマルシキセンシャ

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TK-Xとは、日本国の次世代主力戦車である。

概要

一応数の上では90式を上回る74式戦車の後継として現在開発中。2009年度計画完了予定。2010年度から装備化される予定で正式名称は10式戦車となるのでは? という見方が強い。

西側MBT(主力戦車)第三世代は湾岸戦争やイラク戦争などの戦訓を踏まえてC4I機能の強化、市街地戦闘の対応、RPGなど携帯式対戦車兵器対策のための側面への増加装甲など各種の改良計画を行っている。
アメリカ製M1A2戦車は、M1A2SEP、あるいはM1A2TUSKへ。ドイツ製レオパルド2戦車は、レオパルド2A6、PSOへ。90式戦車と同時期に配備されたフランス製ルクレール戦車もルクレールAzurという改良型もある。

2008年3月に初めて公開されたTK-Xの特徴は以下の通り。

  • 国産120mm滑腔砲を装備しつつ重量を現行の74式戦車と同じ40t台。
  • サイズも90式戦車より若干小さい。
  • 装甲の一部を外装式モジュラー装甲とした。
  • 当初からC4I機能や各種センサを組み込んだ形として設計した。
  • アクティブ・サスペンションとエンジンのトランスミッションに無段階変速機能を取り入れた。

90式戦車が第3世代型戦車として十分な能力を備えていたものの、日本国内で運用するには50tという重さもサイズもほぼ限界に近く、戦車を移動できるルート、移動手段が限られるという問題があった。

北海道以外は74式戦車を運用している都合上、移動時に使用するトランスポーターの73式特大型セミトレーラーなどの既存装備を生かしつつ、現行の90式戦車と同等レベルの戦闘能力を持ち、湾岸戦争以後の新しい役割をもつ戦車としてTK-Xが作られたとみるべきだろう。

外装式モジュラー装甲をはずしたTK-Xは40tという重さで、74式戦車と同様に73式特大型セミトレーラーにそのまま乗せることが出来る。これは90式戦車が車体と砲塔を取り外さなければ移動できなかったことにくらべると大きな利点である。

外装式モジュラー装甲によって装甲の取り外し、損害時のすばやい交換が出来るだけでなく、装甲の改良も比較的容易になっている。ちなみに公開されたTK-Xの装甲状態で44t。重装甲化することも出来るといわれ、その場合は48tになるといわれているが定かではない。

特徴的なのは砲塔四隅に設置された複合センサ。これはいままでの戦車に見られない取り付け方法で360度全周に対応している。おそらく戦車やミサイルが照準をつける際に発するレーザーを察知するための対レーザーセンサ、対戦車ミサイル、ロケット弾を感知するセンサ、熱源などを感知する複数のセンサがあると思われるが定かではない。

また、従来120mm滑腔砲を運用するためには50t以上の車体でなければ発射時の反動を抑えられないといわれていたが、TK-Xはアクティブ・サスペンションによって反動を能動的に抑えており、すでに公開された映像ではモジュラー装甲無しの状態(40t?)で、90式戦車による発射時よりも素早く反動を抑えている。

また、衝撃を和らげる役割を果たす転輪が90式戦車より一つ少ない5輪にもかかわらず不整地走行では90式戦車と同様あるいはそれ以上に車体の上下動が少ないなど、アクティブ・サスペンションの効果は大きいと思われる。

パワーパックが2サイクルV10エンジン+オートマチック変速機から4サイクルV8エンジン+無段変速機にわざわざ変えたのはパワーパックの高効率化によって1馬力あたりの排気量を減らし、排気ガス中の赤外線を減らすことで相手に探知されにくくするため、と予測されてる。
また防衛省技術研究本部(TRDI)の発表では、スプロケット出力では現有戦車に比べて格段に向上という文言がある。これは、エンジン出力を効率的に起動輪(スプロケット)に伝達できるという意味で、90式戦車に比べると格段の進歩を遂げたと解釈していいだろう。

以上の点を踏まえるとTK-Xは「性能は既存MBTと同等、あるいはそれ以上に。かつ最大20t近く軽量化する」という野心的なコンセプトで作られつつある戦車といえるだろう。
しかしTK-Xが世界初の「第四世代(G4)」戦車になるかは諸外国の戦車開発がスローペースであることなどを踏まえるとまだ確かではない。

2010年度、正式採用化されたTK-X(10式戦車)がどのような形となって現れるか楽しみといえよう。

74式戦車と90式戦車とTK-Xの比較表
74式戦車 90式戦車 TK-X
重量 約38 t 約50 t 約44 t(装甲付)
主砲 51口径105mmライフル砲 44口径120mm滑腔砲 44口径120mm滑腔砲
(90式戦車より高威力)
装甲 流線装甲 複合装甲(内装式モジュラー装甲)

複合装甲(外装式モジュラー装甲)

エンジン 空冷エンジン 水冷エンジン 水冷エンジン
最高速度 53 km/h 70 km/h 70 km/h
(90式戦車と同等)
馬力 720 ps / 2200 rpm 1500 ps / 2400 rpm 1200 ps / 2300 rpm
懸架方式 油気圧式 ハイブリッド式 油気圧式
(能動型)
乗員 4名 3名 3名
C4I × ×
コスト 3.5~4億円 8~9億円 予定7億円

新規国産MBT開発理由

そもそも現用戦車の改良となると、C4I機能を追加するにしても既存の操作+αでは搭乗員の負担が重くなる。あるいは全ての操作系を更新するには改良費がかさむ原因となる。
また、対戦車ミサイル、ロケット弾に対応するための増加装甲をつけた場合、結果として重くなるためエンジン、トランスミッションに負担がかかって速力が落ちる、燃費が悪くなるケースが多い。

90式戦車の50tのサイズが事実上国内で運用するギリギリのサイズと重さである以上、何かを付け加えるような改良は基本的に難しく、また予算的にも新規開発より経費がかかる。また数の上では一世代前の74式戦車が最も多い日本では74式戦車を改良したところで105mm砲では現有戦車を超えることは難しいし、寿命(耐用年数)も短い。あまり知られていないが74式戦車もわずか数両、74式戦車G型として改造を受けたものの、費用対効果に見合わないとされて元に戻されている。

では他国はどうしてそういう状態でも改良しているのかと言えば、基本的に更新対象の車輌の数が多いことで全面的に乗り換えるには難しくづらい面があるためでもある。90式戦車がそうだったように戦車だけではなくそれに付随するさまざまな装備を置き換える必要で、それらの費用を考えると(改良によるデメリットを考えても)既存戦車の改良でとどめておくのが昨今の流れでもある。一部に欧州では戦争の可能性が少なくなりつつあるなど社会情勢の変化もあることを頭にいれる必要もある。

防衛省の判断は、日本国内の地理的条件に踏まえ、なおかつ当初からC4I機能や各種センサを必要十分に組み込んだ新型戦車を開発したほうが、耐用年数も長く運用できるという目算があったためと思われる。
(また、ほぼ20年おきでも新規車両を開発していかないと、国内の戦車開発能力の人材が維持できないという面もある…兵器開発はもはや伝統職人の領域ともいえるだろう)

ついでに書くと、自衛隊にとって最大の敵対勢力かもしれない財務省などによって日本の戦車数はただでさえ少ない950両からさらに600両に数を減らされたため、数の少なさを性能によって補わざるをえないという現実も書いておかねばならない。
(結局、戦は数だということを半世紀昔に思い知ったはずなのにねぇ)
ちなみにお隣の韓国は戦車数2300両。台湾でも1830両である。逆な意味で圧倒的ではないか…。

予定価格で7億(で、収まるといいなぁ…とは中の人のお話)。

比較対象に、現在の90式の調達価格は8億弱(wikipediaより)。

公式に比較としてあげられている比較として、米M1A2(C4I導入改修型):10~12億程度(非公開のため予想価格)、仏ルクレール:10億と言われている。

特にルクレールは装甲の構造など、共通点が多いため、よく引き合いに出される。

C4I

指揮(Command)、統制(Control)、通信(Communications)、コンピュータ(Computers)、情報(Intelligence)の頭文字を取ったもの。日本国のものはさらにInteroperability〈相互運用性〉がついてC4I2と呼称される。
C4Iシステムはこれを統合的に管理するシステムである。

例えば山の稜線を超えた先にいる敵勢力の情報を上空を飛ぶスカウトヘリやUAVが察知。それをデータリンクすることで戦場の把握を簡単にしたり、複数戦車が情報を連携することで機動をたくみに行ったり、射撃を容易にする。といったことも可能になる。
ただ、こういったシステムは戦車だけで成立するわけではなく、部隊レベル、連隊レベル、師団レベル、と規模を大きくさせたC4Iネットワークの構築が必要で、まだまだ(能力も予算も)道は険しいのが実情であるのだけれど…。
ちなみに陸上自衛隊では北海道の第2師団がC4Iネットワークのテスト中。

FAQ(良くある質問)

「重量が軽くなったってことは、装甲とか薄くなったから防御力は落ちてるんじゃないの?」
90式戦車に使用されている複合装甲で使われる複合素材(鋼・セラミックなどの異なる素材を組み合わせたもの)に関する技術は長足の進歩を遂げており、同一の防御力を満たす装甲を作るのに、当時と同じ材質を使っても70%。新型理論と素材を使えば30%(!)という軽量化を果たせるという話もあります。
昔と違って、重い=装甲が厚いという図式は成り立たないのですが、どうもここらへん誤解している軍事評論家の方もおりまして・・・こまったもんだ。
またエンジンも小型化してますし、当然燃料タンクも小さく出来ます。となると、今度は車輌本体のサイズも小さくなります。小さくなると車輌表面積はどうなりますか? 当然90式より少なくなりますよね。元々の装甲がより一層軽くなって、守るべき箇所も少なくなると、小さくなりながら軽くなっても装甲は厚くなる、というわけです。
防衛省の公式見解では砲塔上面の軽量装甲ですら自己鍛造破片弾に耐えうる。と書いてるわけです。これって最近流行の携行型トップアタック兵器にもある程度以上耐えられるってわけか?というわけです。
ちなみに公開されたTK-Xの上面のハッチの厚みが薄いことで、「装甲が薄い」って書いた軍事評論家もいるんですが、例えば二重ハッチ型の「空間装甲」とかそういうことは考えないのかなぁ…。90式戦車が今でもTVで公開されてもハッチの厚みをモザイクなどでぼかしているのにTK-Xはあっさりと公開している理由とか考えると…何かウラはありそうですよね。
「韓国で新しく開発されたK2はERA(爆発反応装甲)とか、対戦車ロケット弾防衛システムがあるけど、TK-Xはどうしてないの?」
ERAも防衛システムも破片を周囲に撒き散らす物騒なシロモノなので、戦車の近くに非装甲車輌や歩兵をおけません。そもそもちゃんとした複合素材による装甲やセンサを開発できればそんなものいらないという理由もありまして…。
また、防衛システムってことはミサイルの接近を察知するため電波を放射する必要がありますが、アクティブ型センサって電波垂れ流しですから、こういうのを嫌う陸軍関係者もいるわけです。ただ、今後の技術発展でピンポイントで防衛できるシステムが開発できればいいのですが。レオパルド2A6、ルクレールが上の二つを使わないのはそんな理由もあるのです。
あとERAも最近はタンデム弾頭などERAの効果を無効化する対戦車ロケットやミサイルも多くあまり有効性がないという話もあります。まぁ、ロシアでは今度二層化したERAとかあるんですが、そもそも装甲がちゃんとしてればいらないわけでしてね…。
「K2もレオパルド2A6も55口径120mmなのにTK-Xは従来通り44口径120mmなの?」
口径が大きいと威力も大きく、射程距離も伸びます。ですが砲身も長くなるので取り回しに苦労するというデメリットも生じます。レオパルド2A6もあまりいい評判がないとか。あと、55口径は思ったほど射程距離が伸びず、逆に一般の命中精度が落ちるという説もあり(ルクレールが52口径にはそれ相応の理由があるみたい)。
そもそもサイズと重さを74式戦車程度に抑えたいのにそんなの使えません。また、装薬などを改良することで威力の増加は可能だし現に改良を行っています。一応は55口径も必要になれば乗せられる作りにはしているようです。
「なんで今更戦車の新規開発? 戦車が必要になる状況なんてオシマイじゃないか? それなら装輪装甲車でも作っていたほうがいいんじゃない?」
戦車の必要意義(抑止効果)は90式戦車の項目でも触れているが、ここでは違う観点から。
戦車が必要な状況とは何も対戦車戦闘というだけではない。イラク戦争でもあったように、従来不適とされていた市街地戦闘でもその装甲とセンサー類、強力な火器で歩兵の壁になったりと様々な場面で使用することが出来る。アメリカがM1TUSKを準備しているのは実績あってのことなのだ。
このような場合でも無論対戦車ロケットなどの歩兵携行火器による攻撃に晒される可能性はあるが、TK-Xは最初からその状況に対応するべく外装式モジュラー装甲、全周警戒用のセンサーを備えているので撃破は容易ではないだろう。つまりは戦車+随伴歩兵の組み合わせなど兵器と兵器は組み合わせることで強力な存在となるのだ。要するに何事もバランスと組み合わせなのだ。
装輪装甲車も使えないわけではない。しかし対戦車ロケットに耐えうる装甲ではない。イラク戦争でのストライカー装甲車が周囲を金網で囲うという、まるでベトナムの河川舟艇のような涙ぐましい努力をしている実例を見れば、戦車を撤廃して装輪装甲車で済むわけではないのはわかるはず。
現にカナダ軍は戦車撤廃・装輪装甲車配備という方針を撤回。アフガニスタンでの戦闘のためにレオパルド2を持ち込んだのを考えると戦車の用途は変化したとはいえ不要ではないということも理解できるだろう。

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  • 自衛隊 / 陸上自衛隊
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