ABC予想とは、AとBとCに関する予想である。
ABC予想とは、数学のとある未解決問題である。問題文は以下の通り。
a, b, cをa+b=cを満たす、互いに素な自然数とする。
abc=p1q1×p2q2×...×pnqn
と表される。ここで、
d=p1×p2×...×pn
c > d1+ε
となる(a, b, c)の組み合わせは有限個であるか。
(2,3,5)の場合、c=5, d=2×3×5=30なので、c < dである。
(1,8,9)の場合、c=9, d=1×2×3=6なので、 c > d である。
εが0の時にはabcの組み合わせは無限個あると知られている。しかし、そのような組み合わせは自然数全体からすると非常に少ない。
また、εが大きくなるに従い、その組み合わせの数はどんどん少なくなっていく。
この不等式の意味する要点を単純化して言えば、「足し算した場合と掛け算した場合、どちらが大きくなりやすいですか?」ということである。足し算より掛け算の方が圧倒的に大きくなりやすいが、極々希に例外が紛れ込む。
ABC予想は、εが0より少しでも大きいなら、そのような組み合わせの数は有限個しかないのではないか?という予想である。より強く、ε≧1のとき、つまり c > d2となる組み合わせは存在しないという予想がある。
問題文自体は簡単であり、中学生でも理解できる。しかし、解決は非常に難しいことで知られている。
なぜ難しいかといえば、掛け算と足し算の間に法則らしい法則が殆どないためである。
強いて言えば、a, b, c が(1, 8, 9)のように、それぞれの素因数が少なく、指数が大きいパターンの時にc > d になりやすい。しかし、与えられたパターンで実際に計算する以外に確実なことは何も言えない。自然数は無数にあるため、一つ一つ検証して証明することはできない。
これは足し算的操作と掛け算的操作が全く異なる原理で動いていながら、一方で演算としての構造が非常に似ており、互いに複雑に関わっているため、それぞれを同時に扱うことが極めて困難であるということに起因する。この複雑な絡み合いを、「尋常ならざる剛性」と呼ぶ。
数論の難問や未解決問題の多くは、掛け算して足したもの、足し算して掛けたものの性質を問う形式になっている。
例えば「ある素数に2を足したものは素数か?」という問いに答えるには実際に素因数分解をする必要がある。しかし、元の数の持つ素因数の構造を足し算が破壊してしまうため、全ての素数について元の数からの一般的な形式での変形ができない。
ABC予想が正しいならば、式変形や同値な形式の不等式により、数論の様々な問題を容易に証明、あるいは部分的に解決することができる。
仮に強いABC予想が正しい場合、かの有名なフェルマーの最終定理がn≧6の場合に正しいと簡単に証明される。n=3,4,5は早期に個別に証明されているので、これで証明終了となる。
cとd、つまり足し算の持つ性質と掛け算の持つ性質を強力な不等式で押さえることで、無限にあるパターンの大部分を一気に証明できてしまうのだ。
2012年頃、宇宙際タイヒミュラー理論というものを使うことでABC予想が正しいと証明された、というニュースが報道された。その後も散発的に同じニュースが報道されている。
これは「ABC予想を解決するため宇宙際タイヒミュラー理論を作り上げた」のではなく、どちらかというと「宇宙際タイヒミュラー理論を構築した結果、副産物としてABC予想が自然と肯定的に解決された」という性格が強い様子。
しかし、宇宙際タイヒミュラー理論自体が極めて新奇性が強く、ただでさえ高度に抽象的な数学的概念をさらに発展させたような内容であった。そのため投稿論文をまともに査読できる人はほぼおらず、当然ではあるが慎重な学者達から懐疑の声が多く上がった。しかし、7年以上たった2020年4月になってようやく論文の査読完了が現実味を帯びてきた。
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最終更新:2024/06/05(水) 12:00
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