ジャスティンミラノ(Justin Milano)とは、2021年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牡馬。
生産者はノーザンファーム、所有者は三木正浩氏、管理調教師は友道康夫(栗東)。
概要
父キズナ、母*マーゴットディド、母父Exceed And Excelという血統。父は2013年のダービー馬。種牡馬としてはソングラインやディープボンドなどを送り出している。母は英国馬で5ハロンのGⅠナンソープS勝利馬。英国時代の産駒である半姉Magic Attitudeは米GⅠベルモントオークスを勝利している。
母父は豪州出身でやはり短距離中心にGⅠ2勝。種牡馬としてもスプリント戦線を中心に多数のGⅠ馬を送り出し、2013年には豪リーディングサイアーに輝くなど大成功を収めた。
Northern Dancer5×5×5×4という強めのクロスが血統上の特徴。
レッツゴージャスティン、花の都から頂へ
2歳~皐月賞に至るまで
2歳11月、初戦から関東遠征し、トム・マーカンドを背に東京芝2000mの新馬戦でデビュー。差のない2番人気に支持される。
レースは超スローペースを2番手から直線早々に先頭に立ち、後続を寄せ付けず完勝。上がり4ハロン45秒9は東京芝2000m新馬戦としては史上最速であり、鞍上マーカンドも「強い馬。これからが楽しみ」と評価した。
2歳はこの1戦のみで終え放牧。明けて3歳、初戦としてGⅢ共同通信杯を選択する。いきなりの重賞挑戦、約3ヶ月の休み明け、しかも相手に朝日杯ワンツーのジャンタルマンタルとエコロヴァルツが揃って出走してきたこともあり4番人気にとどまる。しかし放牧を経てかなり身体が出来上がっており状態は抜群。普段から友道厩舎の調教に騎乗しており、1週前追い切りに跨がった藤岡康太はスタッフに声をかけた。
「3歳の勢力図が変わるかもしれませんよ」
戸崎圭太に鞍上が替わったこのレースはスタートダッシュがつかず後方からかと思われたが、前が遅くなるとにらんだ戸崎が積極的に押し出していき、向こう正面に入ったあたりで2番手につけた。1000mは62秒7とかなりのスローペースで、戸崎の読みは見事に的中していた。
直線追い出されてから徐々に加速、残り200mでトップスピードに乗り一気に後続を突き放す。外から2歳王者ジャンタルマンタルも追い上げてきたが全く相手にせず1馬身半差の完勝。堂々2連勝で重賞タイトルを獲得しクラシック候補に名乗りを上げる。
皐月賞:康太が紡いだキズナ
次走はトライアルを使わずGⅠ皐月賞に直行。かつてゴールドシップやドゥラメンテが歩んだローテーションでクラシックに挑む。
この年の主役は牡馬相手にGⅠホープフルSを制した牝馬レガレイラ。他にも前走破ったジャンタルマンタル、毎日杯6馬身差勝利のメイショウタバル、超良血シンエンペラーなど戦前から評価の高かった馬が集結したが、前走の勝ち方が振るっていたジャスティンミラノはレガレイラに次ぐ2番人気に支持された。
7枠13番からゲートは五分に出たが、前走同様戸崎はポジションを押し上げ、前に入ったジャンタルマンタルをロックオンする5番手の絶好位を獲得する。前はメイショウタバルが1000m57秒5で飛ばし、後続も58秒~59秒台で1000mを走破する超ハイラップ。それでも鞍上の戸崎は3コーナー手前から早めに動き、ジャンタルマンタルの背後を取り4番手で直線を向く。
やはり直線で若干エンジンの掛かりが遅く一時はジャンタルマンタルに3馬身近いリードを取られてしまう。しかし残り100m、外から弥生賞ディープインパクト記念の勝ち馬コスモキュランダが迫ってきたところで末脚が爆発。最後に止まったジャンタルマンタルを一瞬で抜き去り、残るコスモキュランダもクビ差で振り切ってゴール。レースレコードをコンマ7秒更新する1分57秒1の超高速決着を制し無傷の皐月賞馬となった。
鞍上の戸崎は2018年エポカドーロ以来の皐月賞2勝目。インタビューでは涙を浮かべながら「最後のこの差は康太が後押ししてくれたと思う。康太ありがとう、おつかれさまと伝えたい」と、デビュー前からの調教パートナーであり、落馬事故のため4日前に亡くなった藤岡康太への感謝を天に捧げた。
キズナ産駒はGⅠ5勝目。過去のGⅠ勝利はアカイイトの1勝とソングラインの3勝であり、牡馬のGⅠ勝利も初ならクラシック勝利も初。父キズナは権利取りに失敗して皐月賞に挑戦できずに終わっており、父の無念を晴らす勝利ともなった。
友道康夫調教師は2009年アンライバルド以来15年ぶりの皐月賞2勝目、GⅠは節目の20勝目(海外含む)。友道師にとっても藤岡康太は共に重賞3勝を挙げ、多くの管理馬の調教も任せてきたチームの一員。結果的に管理馬で最後の調教になったのがジャスティンミラノの皐月賞1週前追い切りだっただけに思いも強く、レースの最中から「康太、康太」と叫んでいたといい、レース後は戸崎騎手と抱き合い号泣。会見でも「最後の最後まで乗ってもらって、この勝利は彼のおかげ」と感謝を伝えた。
日本ダービー:戸崎の夢はどうなんだ!?
その後このまま日本ダービーに堂々と乗りこむ。鞍上の戸崎は2018年と2019年に2着があるもののダービー未勝利。鞍上や天に昇った相棒の悲願を叶え、キズナ産駒の種牡馬評価を更に飛躍させるべく無敗二冠、そしてディープインパクト・キズナに続く親子三代ダービー制覇へ臨む。なおこれまで藤岡康太が担当していた2週前・1週前の追い切りは藤岡の同期である荻野琢真に引き継がれている。
7枠15番と若干嫌な枠はもらってしまったが単勝2.4倍の1番人気に支持されて迎えた本番。ゲートで若干出負けしてしまうが、外枠もあってすぐにポジションを上げ外の3,4番手を取ることに成功。ペースは1000m62秒2と極端に緩いペースで進行していく。このスローで早々と動いた馬に3コーナーから被せられる形になったが人馬とも動じず、4番手から残り400mで馬群を抜け出す。
しかし最内に1頭残っていた。道中ずっと自身の内で並び、直線も内ラチ沿いから巧みに進出してきた横山典弘とダノンデサイルである。戸崎も猛然と追うが全く差が縮まらない。それどころか、残り100mから徐々に引き離されていく。結局ゴール板を通過したとき、ダノンデサイルには2馬身置き去りにされていた。ジャスティンミラノはシンエンペラー以下の追撃は退けて2着。皐月賞馬の意地こそ示したが、またしてもダービーに届かなかった戸崎は「期待に応えられず申し訳ない」と責任を背負い込んだ。
この後夏休みを挟み、次走は古馬との初対決となる天皇賞(秋)へ直行予定だったのだが、右前浅屈腱炎を発症。9か月以上の休養を要することとなってしまった。というわけで引退、種牡馬入りが発表された。通算4戦3勝。
キャリア4戦での引退は、同じ皐月賞馬ではアグネスタキオンと並ぶ戦績。志半ばでターフを去ることになったが、今後はブリーダーズスタリオンステーションで繋養され、キズナの後継種牡馬の一頭として次の世代に快速を繋げる事になるだろう。
血統表
キズナ 2010 青鹿毛 |
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burghclere | |||
*キャットクイル 1990 鹿毛 |
Storm Cat | Storm Bird | |
Terlingua | |||
Pacific Princess | Damascus | ||
Fiji | |||
*マーゴットディド 2008 鹿毛 FNo.13-C |
Exceed And Excel 2000 鹿毛 |
*デインヒル | Danzig |
Razyana | |||
Patrona | Lomond | ||
Gladiolus | |||
Special Dancer 1997 鹿毛 |
Shareef Dancer | Northern Dancer | |
Sweet Alliance | |||
Caraniya | Darshaan | ||
Callianire |
クロス:Northern Dancer 15.63% 5 x 5 x 5 x 4
関連動画
関連静画
関連リンク
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- アスコリピチェーノ
- アマンテビアンコ
- アンモシエラ
- アーバンシック
- エトヴプレ
- ガビーズシスター
- オベイユアマスター(競走馬)
- シュトラウス(競走馬)
- ゴンバデカーブース
- サントノーレ
- サンライズジパング
- シティオブトロイ
- シュガークン
- シンエンペラー
- ジャンタルマンタル
- スウィープフィート
- ステレンボッシュ
- ソーピードアンナ
- ダノンデサイル
- チェルヴィニア
- テーオーパスワード
- ハヤテノフクノスケ
- ピューロマジック
- フィアースネス
- フォーエバーヤング
- フジユージーン
- プリフロオールイン
- ミスティックダン
- メイショウタバル
- ラムジェット
- レガレイラ
- レライタム
▶もっと見る
- 9
- 0pt