エアロエースとは2007年に三菱ふそうトラック・バスが発売した大型ハイデッカー観光バスである。姉妹車種にスーパーハイデッカーのエアロクィーンと、エアロエースの車体長を9mに縮めたエアロエースショートタイプMMがある。
エアロエースの前身、エアロバスについては個別記事を参照。
シリーズの概要
2007年にエアロバスPJ-MS系をフルモデルチェンジして登場。エンジンは先代のPJ-MS8系に搭載された6M60をキャリーオーバーしているが、コモンレール噴射方式・高精度クールドEGR・尿素SCRの採用によって新長期規制(平成17年排出ガス規制)適合と平成27年重量車燃費基準達成を両立した。トランスミッションはBKG-MS系からQTG-MS系までが6速MT。2TG-MS系からは8速AMTとなっている。
ボディスタイルもニューエアロバス以上に曲線を多用したデザインとなり、それまでのスケルトンとモノコックの複合構造から角チューブ材を全面に使用したオールスケルトン構造になっている。
全高はサブエンジン冷房車の場合、クィーンで3.52m、エースは3.26mとセレガーラに比べると低めになっている。
ちなみにスーパーハイデッカーにおける「エアロクィーン」の名称はこれが3世代目となる。
BKG-MS系
エアロエースシリーズの最初期モデル。新長期規制(平成17年排出ガス規制)適合車。更に基準と比較して窒素酸化物・粒子状物質の10%削減を達成した。これは尿素SCRシステム採用の賜物である。更に平成27年重量車燃費基準も満たしているため、規制記号「BKG-」取得となった。実は国産ディーゼルバスでは最初の取得車でもある。
発売からおよそ2ヶ月の2007年10月には高速路線バス仕様のハイウェイライナー、空港連絡路線仕様のエアポートライナーがラインナップ入りしている。
日産ディーゼルへOEM供給されており、スペースアローA・スペースウィングAとして販売されていた。
LKG-MS系
2010年9月発売のBKG-MS系の大規模マイナーチェンジ車。今回のマイナーチェンジでは平成21年排ガス規制(ポスト新長期規制)への対応が主軸に置かれ、排ガス処理システムが尿素SCRのみから尿素SCR+DPFの「BlueTecシステム」へと変更された。エンジンもBKG-MS系の6M60から大型トラックのスーパーグレートと同じ6R10型へ変更された。
この他の変更点はサービスボックスの容量拡大や、サービスボックスの形状見直しで最前列足元空間の拡大の実現、運転注意力モニターの標準装備化、ホイールベースの延長とリアオーバーハングの短縮、ラジエータの駆動方式の油圧シャフト駆動への変更など。
BKG-規制車との識別点はリアにある「BlueTec」のステッカーの有無。ステッカーがあればLKG-代。
QRG-MS系・QTG-MS系
2012年4月より発売。新エコカー減税対応のため、排ガス規制記号を変更。同年7月には同月に施行された国際連合欧州経済委員会の定める国際基準に準じた安全規制に適合、ブレーキオーバーライドシステムの採用、サイドビューカメラの全車標準装備などを行いより安全性を高めた。エンジンはLKG-代の6R10型をキャリーオーバーしている。
今モデルよりサブエンジン式エアコンが無くなり、新開発の床下設置型機関直結エアコンへ置き換えられた。ただしハイデッカーのみ従来の天井設置型直結エアコンがオプション設定されている。
2013年1月には安全性をさらに高めるため、衝突被害軽減ブレーキ、車間距離警報装置、ふらつき防止装置を標準装備とするマイナーチェンジを実施。先頭部の車間距離レーダーの開口部の形状で見分けられる。
2014年9月にさらにマイナーチェンジが実施。今度はエンジン周りの変更と車内の改良が行われ、ターボチャージャーにアシンメトリックターボチャージャーを採用、ECOドライブモード実装、プラズマクラスターイオン発生装置、抗菌シート生地を標準採用。室内灯と路肩灯にLEDを採用するなどの変更が行われた。
2015年4月、新エコカー減税が実施され、型式がQTG-MS系へと変更された。QRG-MS系からの大きな仕様の変更はない。細かい点ではフロントダッシュボード上の白線認識カメラの形状がQRG-MS系と異なる他、車線逸脱警報装置が全車標準装備化されている(これについてはQRG-以前の車両にも改造で取り付けている事が多い)
2TG-MS系
2017年5月発表。平成28年排出ガス規制(ポスト・ポスト新長期規制)適合に合わせて大幅なマイナーチェンジが行われた。
まずトランスミッションは従来の6速MTから8速AMTの「Shift Pilot」へ切り替えられ、クラッチペダルの付いたMTが廃止された。大型観光バスへのAT搭載は2005年に発表された日産ディーゼル・スペースアロー、スペースウィングのADG-RA273系以来だが、トルコンATを採用した日デと異なり、ふそうは大型トラックでの採用例も多い機械式ATを搭載することとなった。これに合わせて運転席にも変化があり、従来のフィンガーシフトがなくなり、ステアリングホイールの左側にギア操作用マルチファンクションレバーが設置され、ワイパーレバーとウィンカーレバーが統合、インパネにハザードボタンを新設している。
エンジンも従来の6R10型から6S10型へ切り替えられた。6S10型は排気量が7.7リットルと6R10型から大幅に小さくなった。排気量が小さくなったことでエンジンそのものの軽量化、トランクルームの拡大と乗車定員の増加も実現している。
また型式も従来のMS96VPからMS06GPへと変化している。
エアロエースショートタイプMM
2008年1月発売。エアロエースの車体を9mに縮めたような車両で、エアロバスMMのフルモデルチェンジ車。
PDG-MM系
2008年1月に発売された新長期規制適合車。基準に対してPMの10%減を達成しているが、燃費基準は未達成となっている。
車体デザインはフルサイズのエアロエースに準じているが、排ガス処理でフルサイズのエースが尿素SCRを採用しているのに対し、こちらはDPFを中心としたシステム採用している。
エンジンは燃料噴射にコモンレールを採用した6M60系(270馬力)を搭載。この代のみ日産ディーゼルへ供給され、『スペースアローA ショートタイプ』として販売していた。
LDG-/SDG-MM系
2011年8月発表。PDG-MM系からマイナーチェンジを行い、8列一般車が平成21年排出ガス規制に適合、7列サロン車が平成22年排出ガス規制へ適合。
排ガス処理はDPF中心から尿素SCRに変更され、エンジンも改良されて燃料タンクの容量が増強された。
QDG-/TDG-MM系
2012年7月発表。先代からより一層安全対策が強化され、ブレーキオーバーライドシステム、サイドビューカメラの搭載などのマイナーチェンジが行われた。
関連動画
関連項目
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