子供たちの安全を守るけれども、あまり楽しくはない。
壊れてしまった光ハブ - SCP財団より,2022/09/26閲覧
SCP-2041とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
項目名は『Merry-Go-View (メリー・ゴー・ビュー)』。
『壊れてしまった光ハブ』の一作品である。
高さ2.3mの、公園によくあるタイプのメリーゴーラウンド (回転遊具)。――といっても、令和の世で公園に回転遊具は少なくなりつつあるため、よくあるタイプのと言われてもピンとこない読者は多いかもしれないが……。
もともとはデンマークの廃小学校で発見された。この小学校はかなり前に予算削減の余波で閉校していたが、近隣地域の子供たちは敷地内の遊具を日常的に使っていた。現地で幻覚を見たと訴える子供たちについての数多くの報告を受けた財団がこの校庭に向かうと、およそ十数年から数十年前に廃校になった学校の校庭にあるにしては不自然にも目立って良好な状態で、SCP-2041は存在していたのである。
SCP-2041の効果は屋外の開放空間でのみ発現する。誰かがSCP-2041に乗り、9km/h以上の速度で10秒以上回転すると、その人は幻覚を見る。通常このような回転遊具に乗って周りの世界に注目することはないのだが、景色を見ていると、太陽は笑いかけ、木々は踊り、人々は陶酔状態に見えるという。ようはちょっとアニメっぽくなるのだが、そんななかエージェント・ヴェールの肌が黄色っぽく、そして怒って見えたという。
担当であったダリッツ博士は新たな実験を要求し、それを主導したが、新しい結果は得られなかった。パーシオ研究員はSCP-2041の経験に怯えている被験者のインタビュー記録を要請。それを持っていたのは先程のエージェント・ヴェールであったが、なぜか当初エージェント・ヴェールはそれをすぐに引き渡そうとしなかった。そしてやっと引き渡されたテープは不適切な扱いによって傷んでいた。適切に管理しなかったから、エージェント・ヴェールはすぐに引き渡そうとしなかった――この時点ではダリッツ博士もパーシオ研究員も他のものもそう思っていたに違いない。
インタビュー記録では、黄色やオレンジ、赤になる男性についての子供の会話が載っていた。子供たちはその黄色やオレンジの人が現れると太陽も木々も悲しんでいた、と主張する。そして、決まってそういう者は年上の男性だったと。そして赤い人がある日――そこで記録は復元できなくなる。
もう一つの記録では、エージェント・ヴェールが何者かについて、どんな色をしていたかを尋ねている。最初はオレンジだったが、友達のマーカスが――そこで記録はやはり、復元できなくなる。
そんなある日、パーシオ研究員は首吊り自殺を遂げる。そして、インタビューを受けた少年の一人がトラックに飛び出し自殺した。実験ではSCP-2041と自殺の関係性は確立できなかったが、エージェント・ヴェールはSCP-2041の隠匿された性質の影響の可能性があると提言を行ったため、SCP-2041の試験は中止された。
しかし、ダリッツ博士あてに、"pdf file"と題された一通のEメールが届いた。そこには、こんな文言が載っていたのだ。
博士、あなたは学校に、公園に、子供たちに誘い寄せられるのはどういう類の人間か分かっていますか? あれを作った物が誰にせよ、そいつは天才です。いつの日か彼と握手できればと思いますよ。今は、私よりもご自身の後ろを気に掛けた方が良いのではないでしょうかね。
SCP-2041 - SCP財団より,2022/09/26閲覧
SCP-2041で黄色・オレンジ・赤になる人はなんなのか、ということなのだが、そもそも赤に近づけば近づくほど、太陽も木々もネガティブな表情を浮かべるということは、すなわち赤い人というのは何かしら悪い点があるということである。
メールにおいて、それはより具体的に表現されているといえよう。そう、子供たちの遊び場に、大人がやってくる。家族でない大人があえてわざわざ子供に近づくメリットはなんだろうか?――そう、メールのタイトルはまさにダジャレだったのだ。「pdf file」→「ペドファイル (小児性愛者)」の意味の。無論、小児性愛者が必ずチャイルドマレスターになるわけではないが、わざわざ子供くらいしか寄り付きもしないだろう廃校庭にあらわれて子供に話しかける者が、『節度を持ったロリコン・ショタコン』と考えられようはずもない。
このSCP-2041が他の遊具より真新しいのは、子供たちを守ろうとした何者かが、警告のために設置したからであろう。赤いやつは危険だ。黄色・オレンジも注意しようね。こう表現すれば、子供たちもある程度は避けられるだろうと。
では、なぜメールの送信者はダリッツ博士に後ろを気にかけよ、と警告したのか。これは、簡単に言えば黄色かったエージェント・ヴェールが、自身の不正――すなわち、インタビューを行った後の児童に性的暴行を加えたこと、そしてそれを隠匿するために同僚や被害児童を自殺に見せかけて殺害したことを示唆している。ダリッツ博士もこのままではエージェント・ヴェールに亡き者にされてしまうぞ、と警告しているのだ。
ダリッツ博士がこのメールを重く受け止めたのかは不明だが、エージェント・ヴェールは重要なインタビュー記録を改竄したとして停職処分を食らっており、ダリッツ博士はあらたな試験を行うことを提言している。
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最終更新:2024/06/06(木) 20:00
最終更新:2024/06/06(木) 20:00
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