電通とは、世界最大の広告代理店である。しかし、実際の商圏は日本に留まっており、国際的な業務を行う海外の広告代理店にとっては無名の存在である。
(単体として)世界で最も売り上げのある広告代理店であると同時に、日本以外での知名度がほとんどないという特徴を持った企業組織である。社則である鬼十則が有名である。まずは以下の鬼十則を読み通していただきたい。
当記事では鬼十則についての評価は記載しない。
軍隊的な社則ともいわれる鬼十則であるが、電通の組織としての考え方、主義を理解するうえで非常に重要である。
1901年に設立された「日本広告」と、1906年に設立された「日本電報通信社」が前身(ともに創業者は同じ)。
1907年に両者は合併し、広告業とニュース通信業を行うものの、1931年に国策によってニュース通信部門が同盟通信社に譲渡され、広告業のみとなった。
しかし同名通信社との縁は続き、戦後に共同通信社、時事通信社に分離したあと、両者は電通の筆頭株主となっている。
主要株主もこの企業を読み解く上での重要な情報である。
利害関係者と読み替えてもよい。
連結売上高は1兆9431億円(2013年3月期決算による)。国内2位の博報堂の売上高の約2倍、3位のADKの売上高の約4倍。
その原動力になっているのは、他社とは違い、日本のマスコミ向けにニュースを提供する2つの通信社を抱え、情報のイニシアチブを執り、情報と広告による圧力をかけていることが言える。
また、政界、財界、芸能界の子弟を雇用することで、これら業界へのコネクションを作り、政治的に有利な立場を保っている。
その圧倒的なシェアゆえ、市場の寡占化が問題視され、2005年に公正取引委員会による広告業界についての調査がなされた。
近年では中国、韓国との連携を強め、文化の輸入および仲介を積極的に行っている。いわゆる「韓流ブーム」の陰の牽引役となっている。同様に自民党の喧伝するクールジャパンなども手掛けており、良くも悪くもお金になるのであれば善悪関係なしになんにでも手をいれる組織だともいえる。
一般的に世間に吹聴される電通黒幕論は「広告界のガリバー」とも称される電通の規模の大きさゆえに営業範囲が大きすぎる事、および稼ぐことに対してきわめて貪欲であることから発生する評価であると思われる。ガリバーという評価には日本の国内でだけ大きいという意味も含まれている。
またオリンピックの商業イベント化に対しても電通が大きく噛んでいる。
メディアの広告枠を広告主(クライアント、顧客)に売り、手数料(コミッション)を得るというのが基本的企業形態であるが、その枠に載せる 広告を制作指示するのも広告代理店の業務 である。制作部門を持つ広告代理店の場合は、制作部門が広告制作会社と共に行う。
また顧客企業の商品開発、顧客企業や取り扱う製品のイメージの構築(CIなど)、イベントのプロデュースあるいは運営を行っている。
大きく分けると、テレビやラジオ、雑誌、新聞、ウェブなどの広告制作、媒体購入、ブランド構築、マーケティング調査、イベントのプロデュース、セールスプロモーションの実施などを全国・世界的規模で総合的に行う『総合広告代理店』と、その一部や、総合広告会社の下請け的な業務を行う中小広告代理店(専門広告会社、制作プロダクションなどと呼ばれる)の2つがある。一般的には広告代理店と言えば「総合広告代理店」のみを指す。
日本と海外の広告代理店を比較してよく批判されるのは、海外の殆どの先進国で見られる「一業種一社制」の原則が日本には見られない ことである。
「一業種一社制」とは1つの広告代理店が同時に2つ以上の競合(同業種他社)会社の広告を担当しないという、社会的モラルも含んだ制度である。
例えば、日本の自動車会社の広告を見ると、 電通はホンダやトヨタ自動車やその傘下のダイハツ工業を始めとする大半の競合自動車メーカー、 博報堂も日産自動車、マツダなど、というように 競合他社同士の広告を同時に担当 しており、 顧客企業の情報保守、競合メーカーの購買も誘導 しているなどの観点からしばしば問題に挙がる。
この結果、同業他社の如何を問わず、様々な業種の大企業を一手に顧客に収める電通や博報堂、ADKなどの主要な広告代理店が 強大な媒体力を保持してしまい(TBWAやG1単体で日本進出をしなかったのもその為) 自由競争が損なわれている ため、 広告代理店の 売上げ順位どころか売上げの比率もほとんど変化しない こと。 媒体露出量に依存し、「一業種一社制」の元で競争が激しい海外市場に目が向かなくなるために、日本の広告代理店が 国際競争力が低い ままであることの原因の一つに挙げられる。
例えば電通は単体では世界最大の広告代理店にもかかわらず、 全世界的な認知度はほとんど無い 。
また、一部の広告代理店は、 過労自殺 した社員の親族が「社員の安全配慮義務を怠った」として会社を相手に損害賠償を請求し裁判を起こしたことに象徴される、 過酷な勤務状況 でよく知られているが マスメディアにとって広告代理店は収入源であることから マスコミタブー(電通タブーと呼ばれる)のひとつであり、 この状況を取り上げることに及び腰である。
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最終更新:2024/05/18(土) 00:00
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