リョービイマジクス株式会社(RYOBI IMAGIX)とは、リョービ傘下にかつて存在した日本の総合印刷機器メーカー、及びタイプファウンドリーである。
概要
元々は1947年に欧文書体活字メーカー「晃文堂」として創業した企業で、1970年にリョービグループに加わる。
写真植字が業界のスタンダードであった1980〜90年代には写研・モリサワに次ぐ第三の写植機・写植書体のメーカーとして知られた。自社書体だけでなく写研・モリサワの文字盤の形状に対応する写植機の製造や、写植文字盤の他社規格改造などまで請け負っていたらしい。
独自書体では「本明朝」「ナウシリーズ」「シリウス」などが好評を博した。特に「ナウ シリーズ」は、「ナウ-M」ファミリーが特太明朝体というそれまでに無かったジャンルを切り開いたことなどで様々な媒体で用いられ、2005年にはグッドデザイン賞を受賞している。「平成明朝体」のデザインを行ったほか、「ゴシック」「本明朝」はそれぞれ「MS ゴシック」「MS 明朝」のベースとなっている。
DTP以降もデジタルフォントの開発販売、オフセット印刷機などの印刷機器やプリプレスソフトなどのソフトウェアの製作販売も行い、印刷機器メーカーとして一定の地位を保った。
2011年10月1日、フォント事業をモリサワへ譲渡。リョービイマジクスは2012年4月1日付でリョービに吸収合併された。モリサワに譲渡された書体は2012年2月に同社子会社のタイプバンクに譲渡され、現在はサブスクリプションサービス「TypeBank PASSPORT」などで利用できる。なお、タイプバンクはかつてリョービイマジクスから写植書体をリリースしていた。
一方、リョービに残った印刷機部門は2014年1月1日に三菱重工印刷紙工業の印刷機事業と合併、合弁会社リョービMHIグラフィックテクノロジーとなって現在も印刷機器の発売を続けている。
代表的な書体
- 本明朝
- 書体設計士の杉本幸治が設計した、本文用の明朝体。
- 三省堂明朝体活字の流れを汲んでおり、端正で流れるようなキレを持っている。
- ウェイトや仮名のバリエーションが豊富で、より書籍用の「本明朝-Book」というものもリリースされた。
- リコー「HG明朝」やWindows「MS 明朝」のベースとなった書体でもある。
- ゴシック
- クセが少なく、シンプルなゴシック体。
- 始筆部には打ち込みがあり仮名には抑揚があるものの、あまり主張しない印象である。
- L、M、B、E、Uのウェイトを展開し、仮名違いも用意されている。
- また、リコー「HGゴシック」やWindows「MS ゴシック」のベースとなった書体でもある。
- ナウ(明朝)
- 明朝体だが、横画も太くすることで視認性を高めたモダンな明朝体。
- M、B、E、Uのウェイト展開があり、本文から見出しまで幅広く用いられている。
- ナウ(ゴシック)
- 滑らかで整理された直線と曲線によって作られたモダンなゴシック体。
- 写研のゴナなどといった書体の影響を受けているが、より小ぶりで柔和なフォルムを持っている。
- シリウス
- リコー「HG丸ゴシック」として有名なモダン系丸ゴシック体。
- 他のモダン丸ゴシックに比べると、線の太さが均一でなく強弱があるという特徴がある。
- また曲線が強調されており、整理されていながらも柔らかく力の抜けた印象を受ける。
- G2サンセリフ
- 線の始筆・終筆を水平・垂直に裁ち落としたデザインゴシック体。
- 曲線は円が意識され画数の多い漢字は一部がデフォルメされているなど、現代的な字面が特徴。
- 広告やテロップなど様々な場面でカジュアルに用いられている。
関連リンク
関連項目
- リョービ
- タイプファウンドリー
- 写真植字機
- モリサワ
- タイプバンク
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