テロップ(telop)とは、映像に重ねて表示される文字などを指す言葉である。元は商標。
概要
元々「TELOP」とは、GRAY社という企業がアメリカの放送局CBSと共同開発して1949年に発売した機材の商標であった。その名は「telecasting optical projector」(和訳例:テレビ放送光学投影機)の略称に由来していたとされる[1]が、「telecasting」ではなく「television」、「optical」ではなく「opaque」だという説もある。
この「TELOP」という装置は、「opaque card」という不透明なカードに文字や絵を記したものを使用し、別の映像の上にそのカードに記された文字や絵を重ねて表示するものだった。
「TELOP」が当時の映像・放送業界で広く普及したため、「映像に重ね合わせて表示すること」「映像に重ね合わせて表示されるもの」を表す言葉として「テロップ」が普通名称化した。
現在ではこの「TELOP」という機材は廃れて久しいが、日本ではテレビの表示される文字・字幕は「テロップ」という言葉で定着したまま残った。
「テロップ」 と 「字幕スーパー」
商標名に由来しない言葉としては、映像に文字や絵や別の映像を重ね合わせることを英語で「superimpose」(スーパーインポーズ)と言う。
外国語の翻訳としての字幕や聴覚障碍者向けの字幕などを示す言葉として「字幕スーパー」があるが、この「スーパー」はこの「スーパーインポーズ」の略である。
だが「字幕スーパー」という呼称は「テロップ」に比較するとやや堅い。
現在の報道番組においても、「先ほどの(字幕)スーパーに誤りがありました。」などと用いることがあるほど。
「スーパーインポーズ」という言葉を知らないと「スーパー」が意味するところを理解しにくいこともあり、「テロップ」という言葉の方がより広く用いられている要因であろう。
テレビ番組における演出としてのテロップ多様化問題
近年、報道・ニュース番組では当然のように用いられ、映像上に見出し・説明・セリフの文章を表示させる。
お笑い・バラエティ番組では、文字の他にもイラスト付きやアニメーション演出を用いた華やかなものが多い。
近年のテロップ演出に頼りきった傾向にある(テロップ表示は「ここは笑うところですよ」の合図であるかのよう)。
これに対し冷ややかな意見もあり、テロップ多様化が問題視されている(ワイプの多様化も)。
テロップによる偏った表現や表記ミスがあると、テレビ局のアナウンサーが訂正・謝罪するのが、もはや一連の流れになってきていている(「脱いで詫びろ」を参照)。
さらには、先述の一連の流れのような謝罪では済まされない事件に発展することも(「セシウムさん事件」など)。
それを逆手に取って、テロップを少なめにする番組も中にはある(ただし一切用いらないというこは滅多にない)。
別の呼び方
- 前述の「スーパー」および「字幕スーパー」。単に「字幕」とも呼ぶ。
- さらに省略し「テロ」と呼ぶが、それは別の「テロ」とややこしく、「字幕テロ」といった双方の意を汲む単語もある。
- また、演者・スタッフ・スポンサーなどの制作(製作)者などの情報を提示するテロップは「クレジット」と呼ぶ。
niconico においては
字幕を指す英語表記の機能名やコマンドの中に「telop」を含むものがある。
関連項目
脚注
- *The Gray Telop Machine 1949 | NorthernWriter Blog 当時のGRAY社のTELOPの宣伝資料。「telecasting optical projector」という言葉が確認できる。
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