オイゲン・フォン・カストロプ(Eugen von Kastropf)とは、『銀河英雄伝説』の登場人物である。
カストロプ公爵家最後の当主。貴族としての特権を乱用して私腹を肥やすことに人生を捧げた人物である。
別に特権乱用そのものは当時の銀河帝国の社会にあっては、それほどおかしな行為であったわけではなく、むしろ貴族階級にとっては常識的行為であるとすらいえたが、オイゲンの場合、15年にわたって財務尚書を務めた経歴のある重臣であり、在職時も職権を利して(国庫ではなく自分の家の)蓄財に励んでおり、不名誉な疑獄事件に何度も関わっていた。
そのため、搾取されていた平民階級は当然として、貴族階級にすら「もうすこし公人としての法則をまもってもらわなくてはこまる」と嫌悪されていた。そういった人物であったから、当然、幾度となくオイゲンを裁こうと帝国政府は動いたのだが、貴族の犯罪にたいする法網の目はいたって目があらかったことや、オイゲン個人が悪い意味での政治的才覚に長けていたため、財力と権力を駆使して処罰から逃れ続けた。その政治的手腕は、当時の司法尚書ルーゲ伯が「みごとな奇術」と皮肉ったほどである。
結局一切の公的処罰を受けなかったが、帝国暦487年に自家用宇宙船で謎の事故死に遭遇する。
帝国の財務、司法の両省は、名門カストロプ家当主の不慮の死に歓喜し、帝国の法と行政の権威を知らしめるチャンスであるとあえて死体蹴りをしてカストロプ公爵家の不正貯蓄を国庫におさめてやると勇み立った。
こうした名門貴族への扱いとしては侮辱的にすぎるように思われるが、こうした帝国政府の措置にたいして、反対する貴族階級の描写が皆無であるあたり、どんなにオイゲンが無茶苦茶して貴族たちから嫌われていたかというひとつの傍証であるかもしれない。
しかしオイゲンには自分の息子の教育にはあまり熱心でなかったのか(それとも馬鹿すぎて匙を投げていたのか)、彼の息子であるマクシミリアン・フォン・カストロプは父親みたいな政治力を持ち合わせておらず、さらには貴族社会を動かす力学にたいする理解すら乏しかったことが、カストロプ動乱へとつながる。
カストロプ動乱後、公爵家の財産は帝国政府にすべて接収された。財務省の報告によると金銭に換算しておよそ5000億帝国マルクであり、軍事費の圧迫に苦しんでいた帝国の国庫が一時的に息をつけるほどであったという。
国庫の状況が一時的に回復するというだけでも大概なのだが、よりとんでもない事実が二巻のリップシュタット戦役を前にして描写で浮き彫りとなる。
門閥貴族連合側に与した貴族達の財産を没収し、それ以外の貴族にも遺産相続税、固定資産税、累進課税などの制度を適用すれば、国庫に転がり込む財産は10兆帝国マルクをかるく超過するという帝国政府の試算がでているのである。
さらにそうした特権を有している帝国貴族家は約四千家であると同巻の描写であきらかとなっている。
財産没収と税制適用が混ざっているので単純比較はできないが、無理やり当てはめた場合、カストロプ公爵家は平均的な貴族家が200くらい集まってようやく対抗できる財産を有していたことになる。そりゃ、他の門閥貴族からもヘイトを盛大に買うわけだ。
掲示板
4 ななしのよっしん
2019/08/13(火) 19:47:27 ID: ZgupHerlAs
>>2
カストロプ王国建国の下準備説に一票。あの蓄財はちょっと守銭奴の域を越えてるし。
付け加えると、実のところブラウンシュヴァイク公もリッテンハイム侯も、あるいは他の大貴族も内心では帝国からの分離独立という選択肢も視野に入れてはいたんじゃないかな。
5 ななしのよっしん
2019/08/14(水) 06:03:41 ID: xNvxU51b6t
まあ、後世の歴史家たちの見立では、ラインハルトがいなかったら銀河帝国はフリードリヒ4世崩御後有力貴族を核とするいくつかの小王国に分裂してただろうとのことだしね。
同時代を生きる大貴族にとっても、他人事じゃなかったのかも。
6 ななしのよっしん
2019/08/17(土) 02:35:14 ID: Tt0LQRl039
二次創作によっては公爵言う事もあり
ブラウンシュヴァイクやリッテンハイムと同レベルの勢力を持っている事もあるパパトロフ
問題は人望か
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最終更新:2025/12/06(土) 08:00
最終更新:2025/12/06(土) 08:00
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