カナはるとは、『Go!プリンセスプリキュア』に登場するプリンス・ホープ・グランド・カナタ(カナタ王子)と春野はるか(キュアフローラ)との正統派カップリングである。
異世界の王子様とプリンセスになることを夢見る普通の少女という、少女漫画的には王道中の王道とも言えるカップリングで、シリーズ的にはプリキュア5のココ(小々田コージ)と夢原のぞみ(キュアドリーム)による「ココのぞ」以来となる。ただこちらはココが王子さまであるとは言え、妖精とプリキュア、そして教師と女生徒というなんとも言いがたいのに対し、カナはるはどちらも人間同士、年もさほど離れていないと言うのが基本となる。
とはいえ、この2人、劇中では恋愛感情については描かれていない。むしろ中心として描かれているのは「互いに目指す夢を尊重し、互いに応援し合う、そして互いにそれを糧とする」という事である。
はるかは幼少期に読んだ絵本に影響され「花のプリンセス」になることを志す。無論周りから馬鹿にされいじめられるが、そんなある時フローラのドレスアップキーが飛んでいって追いかけていったカナタが現れ、2人は出会うことになる。そしてカナタははるかの夢の話を聞いても馬鹿にすることなく、むしろプリンセスになれる、そしてその為には夢を信じる大切さが必要であると教え、はるかに夢のお守りとしてドレスアップキーを与えた。このことがはるかの夢の礎となり、原動力として今も作用している。
一方のカナタも、妹のトワが行方不明となり、自らの国ホープキングダムもディスダークの侵略によって占拠され、両親や国民が希望を奪われてしまった。しかしカナタだけはただ一人夢と希望を奪われることなく行動出来ている。その理由として、やはり前述のはるかとの出会い、そしてその時に説いた夢の大切さを自分でも再確認したことである。トワがいなくなり希望を失いかけていた自分自身も改めて重要性を思い出すことで耐えることが出来たのである。
そして時が経ち、はるかはプリンセスになるために邁進しつつ、プリキュアとしてカナタと共にホープキングダムを救うためディスダークと戦う。互いに夢を支え合うという重要な協力関係にあると言えるだろう。
そうした2人の関係が揺らぐ事態が1つあった。
夢ヶ浜に流れ着いたカナタと再会するが、ディスピアとの戦いの果てに夢と希望を失い記憶も無くしていた。そんな折り、クローズの策略によって1人で戦うことになるフローラ。「ひとりぼっちでは何も出来やしない」と猛攻するクローズにフローラは仲間たちの心の支えがあると戦い続ける。しかしカナタはボロボロになってまで戦い続けるフローラを見ていられなかった。そしてはるかにとって思いがけない、あまりにも衝撃的な一言を告げてしまう。
「夢なんて……そんなものもういらない。はるか、君は……プリンセスになんてなるな!なるんじゃない!」
はるかが傷つき倒れてもなお立ち上がり、戦っていくのを見ていられなかった。そしてその原因になっているのが自分自身であるなら、自分が原因で夢に縛られているのならば……記憶を失っているとは言え、はるかの身を案じ、カナタ自身のつらさがにじみ出た一言ではるかは心が砕かれ、絶望し、プリキュアに変身する力を失ってしまう。そしてこれがきっかけでクローズ達が夢ヶ浜のあちこちに埋めた絶望の種が一斉に発芽、街は絶望の森に囲まれることとなった。
信頼していた人からのまさかの一言。はるかは打ちひしがれ、カナタは街の異変を作った原因が自分にあったことを知って後悔する。そうした中、はるかは「なんでプリンセスになりたいって思ったんだろう」と思い返す。そしてそれは前述の幼い頃に思った事が基軸となっており、そしてカナタとの出会い、カナタから教えられた夢の大切さ、それに向かっていく自分の心と家族からの支え、仲間たちを初めとする出会った人々との関わり、その全てによって成長し形作られていたことを思い出し、希望を取り戻す。
カナタも自分が犯してしまった過ちを悔い、はるかに謝罪するが、はるかは「カナタに止めろと言われてもプリンセスを目指すよ」と笑顔で告げる。カナタは、はるかを動かすものこそ、彼女自身が抱き育んできた夢であり、それがはるかの全てであると理解する。立ち上がったはるかの顔には絶望は無くなっていた。
「ありがとう……あなたが夢見てくれたから、わたしは今、こんなにも幸せだよ。レッツゴー、プリンセス」
迷いも振り切り、再び変身出来るようになって敵に立ち向かっていくフローラ。カナタもそれを見て、呼応するかのように立ち上がり、新たな夢と希望を抱くことで記憶を取り戻し、敵に立ち向かう。それははるかから改めて教えられた夢の大切さである事、そして新たに出来た大切な夢がある事。
「はるか、君が笑顔でいられるように、僕は君の夢を守りたい!」
あまりにも強烈な絶望から一転しての、快心とも言えるはるか、そしてカナタの復活劇。劇的すぎる展開に視聴者の中には感動のあまり涙し、二人を尊く思う者さえいる。カナタの発言が告白に受け止められるという意見もあったりするが、互いに夢を尊重し、互いに支え応援しあう、再びの協力関係が築かれたカナタとはるか、これからの夢の結実、そして二人の関係の行く末に期待を抱く人は多いのではないだろうか。
ちなみに、はるかの復活の展開、実はボーカルアルバム1に収録されているフローラのキャラソン「Dreamin' Bloomin'」にインスパイアされて作られたことが語られている。この曲も改めて聴けば、はるかの思いの強さも改めて確認出来るのではないだろうか。
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以下はテレビシリーズ最終話及び漫画版単行本第2巻描き下ろしエピソードのネタバレを含みます。 読むお覚悟はよろしくて!? |
ディスダークを倒し、人間界もホープキングダムも救ったプリキュア達。しかしそれはカナタやトワ達との別れをも意味する。最初に出会ったあの思い出の丘で、はるかとカナタは互いの出会いから全ての出来事が始まり、それが互いに成長するきっかけとなったことを感謝し合い、最後の別れをしようとしていた。
しかし二人は再びの再会を誓う。
こうしてカナタは去り、はるかは一筋の涙を流しつつも、またいつもの笑顔で前向きに進んでいくのであった。
一方、かゆいところに手が届くことでおなじみ、上北ふたご先生の漫画版。今回の漫画は東映アニメーション側から明確な指示が出された事による、日常生活を主に描いた本編のスピンオフ作品と位置づけられており、エピソードによっては本編を補完する内容となっている。
そんな漫画版第2巻の描き下ろしエピソードでは、カナタとはるかの別れについて、別の形で描かれている。そう、カナはる派がある意味望んでいたこと、カナタからの告白である。
「はるか、ボクのそばにいてほしい。いっしょに王国に来てくれるかい?」
「でも……十年後なら。こんなわたしを認めてくれてすごく嬉しい!だから十年後にもう一度その言葉を言って!自分をうんと磨いてステキな女性になっていたいから」
カナタはこれを承諾し、自らの力で生み出したティアラをはるかに贈り、十年後迎えに来ると約束した。はるかもカナタと抱き合い、「花を見たら思い出してね、“カナタはわたしの大切な人”だって」と告げる。
いずれの終わり方も、自分の目指すプリンセス像をさらに突き進めていくはるかの姿勢、そしてこれまでの戦いの中でカナタもはるかも理解体験した「思い続けることがあるからこそそれは遠く離れていても届き続け、そしていつかは叶う」という大事なことを現している。今ひとたびの別れ、それは永遠の別れではなくいつかの再会の前段階であると。
テレビシリーズ最終話に戻って、エピローグで。成長し大人になったはるかは、あの丘で透明なドレスアップキーを持ちながら思いをはせていた。その時花舞う一陣の風、そしてはるかの笑みで物語は終わりを告げる―。
ここからの展開は視聴者の想像に任せるという内容だと言えるだろう。そしてそのとらえ方は千差万別かもしれない。二次創作では様々な形で描かれるだろうが、公式にこの後の物語が語られるかは、視聴者は知るよしもない。
ただ一つ言えることは、どのような形であれ、このようなことであろう。
―願わくば、この2人の思いが通じ続け、叶い、そして末永く幸せでありつづけますように。
掲示板
1 ななしのよっしん
2016/02/06(土) 22:44:01 ID: vzPD79/O8U
単行本2巻の描き下ろしでは遂に…
2 ななしのよっしん
2018/01/09(火) 07:45:40 ID: bEgPTRh6UN
この二人って最後多分結ばれてその時本当にはるかはプリンセスになるんだよね? 透明なドレスアップキーの意味が再会以外イマイチよく分からないんだけど
3 ななしのよっしん
2023/03/15(水) 07:59:47 ID: +L+aK6Vhz+
>>2
ドレスアップキーには夢の力があるから最終回のシーンは、「プリキュアとしてではなく自分自身の夢(なので透明)を大人になっても持ち続けている」ことを表しているって思ってる
結婚はカナタの立ち位置とはるかの「素敵な女性になりたい」みたいな夢を考えるとどっちもありえるから難しいね...
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最終更新:2025/03/23(日) 12:00
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