クリフォード・ギアツ(1926~2006)とは、アメリカの人類学者である。
サンフランシスコのあまり裕福でない家庭に育った。そのため大学も、第二次世界大戦後の退役者の奨学金制度を利用してオハイオ州の小さなアンティオーク・カレッジに進学したものである。目標も特になく避難するように進んだ大学院で人類学を勧められ、1950年奨学金を得てハーバード大学院に進学し、インドネシアに調査に行った。
ギアツは60年代以降立て続けに調査と叙述をしているが、その基本的な主張は文化体系は象徴と意味の体系であると規定したものである。つまり我々は物事を見るときすでにある枠組みでとらえる「解釈」から逃れることはできないというものである。
そして、観察対象となっている人々が自分たちの行っている行為に対する解釈と、観察者がその行為を見て行う解釈は多重に重なり合っており、「厚い記述」による分析を行なうことでそれらの重なり合いをほどき、分離させていく必要があるというのだ。つまり「テクスト」としての文化を解釈していく、学問的な「創作」の作業が必要なのである。
このように、彼はウェーバー、パーソンズといった行為と意味、ランガーの象徴哲学、シュッツの現象的社会学といったものに影響された解釈人類学を提唱しているのである。
さらにギアツの代表作『ヌガラ』で主張されるのが、「劇場国家」というモデルである。儀礼などを通じて地位や社会的不平等性、政治理念を「演劇化」して表現し、国家とはこうした「演劇」を執行するための劇場である、というものだ。そうした行為を通じて「多元的集団性」と呼ぶ、多様な機能を持つ別々の集団が部分的にのみ秩序を保ちつつ集まっている状態が形成されるのである。
こうしたギアツの「文化の解釈」への批判は異文化を一つの観念体系として描くルース・ベネディクトと同種の批判にもさらされている。特にヴィンセント・クラパンザーノはギアツ自身が特権化された観察者となり、対象となる人々が一般化されそれを解釈し記述するという正当性がどこにあるのか、という議論を展開している。
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最終更新:2024/04/19(金) 10:00
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