抗弁 単語

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抗弁とは、民事訴訟における法律用語の1つで、原告のを排斥するために、被告が別個の事実することをいう。
 

概要

定義

抗弁とは、民事訴訟における法律用語で、原告が提出した事実に対し、それを排除するため、被告が拠を出しながら別個の事実することをいう。

原告が提出した事実を否定せず、肯定したままにする、という点で、否認とは大きく異なる。
 

抗弁の例

たとえば、民事訴訟が起きて、原告が被告に対し売買契約書を提出し、その通りに金額を支払うよう請したとする。それに対して被告は、様々な抗弁をすることが可である。

売買契約の支払期日から十分な時間が経って時効が成立したという事実するのは、典的な抗弁であり、消滅時効の抗弁と言われる。売買契約事実自体は否定しないが、それとは別の「消滅時効成立」という事実を提出して、原告の訴えを退けるのが抗弁である。

「売買契約を確かに結んだが、その代金支払いはすでに終わっている。○●日にその分の銀行振り込みをした」といったように、原告がする事実を否定せずに「すでに代金支払いをした」と抗弁することがある。これは弁済の抗弁と呼ばれる。

「売買契約を確かに結んだが、その支払期日がまだ来ていない。契約書のこの部分は、そういう意味になっている」といったように、原告がする事実を否定せずに「まだ自分にはその義務がない」と抗弁することがある。これは履行期限の抗弁と呼ばれる。

「売買契約を確かに結んだが、その契約をする前の説明は間違っていた。ゆえに、民法第95条exitに基づき、売買契約自体が効だ」といったように、売買契約事実を否定せずに「その売買契約がそもそも効である」と抗弁することがある。これは錯誤効の抗弁と呼ばれる。

以上の4種類が、抗弁の中でも有名なものである。4抗弁を簡単に表にまとめると、次のようになる。
 

簡単な表現 難しい表現
消滅時効の抗弁 契約の効力が消えた 権利消滅事由
弁済の抗弁 もう義務を果たした
履行期限の抗弁 まだ義務がない 権利阻止事由
錯誤効の抗弁 契約効だ 権利障害事由

 

再抗弁

抗弁を受けた原告は、抗弁で摘された事実を否定せずに、拠を出しながら別個の事実して、被告のを退けることがある。これを再抗弁という。

たとえば、民事訴訟が起きて、原告が被告に対し売買契約書を提出し、その通りに金額を支払うよう請したとする。それに対して被告は「その売買契約を確かに結んだが、それから5年の時が流れた。つまり消滅時効が成立している」と消滅時効の抗弁をすることがある。

それに対して原告は、「確かに、売買契約定する支払期限から5年の時が流れた。その事実は否定しない。ただし、売買契約定する支払期限から4年経った時点で債務者が債務の存在を承認したという事実がある。債務者が債務の存在を承認したので、その時点で時効が中断される」と時効中断の再抗弁をすることがある。
 

攻撃と防御の応酬

民事訴訟において、まず原告が被告に対して請を行う。これを原告の攻撃とか、原告による攻撃方法exitなどと呼ぶ。それに対して被告が抗弁を行い、自らの利益を奪われないようにする。これを被告の防御とか、被告による防御方法という。原告の攻撃と被告の防御は、以下の表のように、相互に繰り返されていく。
 

原告が行う攻撃 被告が行う防御
抗弁
再抗弁
再々抗弁
再々々抗弁
再々々々抗弁

 

弁論主義と主張責任

から再々々々抗弁までの流れを見たが、これらは全て、原告や被告といった当事者が拠を提出しつつ行う。つまり、事実であることを明する立責任を負いつつ行うのである。原告や被告といった当事者が、自分のを確かなものにする事実拠を提示することを弁論主義exitといい、民事訴訟の大きな特色とされる。

ちなみに、弁論義の反対概念は、職権探知主義exitと言われる。裁判所が職権を行使して、拠の収集を行うものである。

また、弁論義の一環として、民事訴訟における裁判所は、原告や被告といった当事者がしていない事実は、一切無視しなければならない。「原告や被告といった当事者がした事実のみを基礎として、裁判をします」という態度をとらねばならない。このことを主張責任exitという。
 

抗弁と否認の違い

民事訴訟において、原告が事実を提出するのに対し、被告がその事実を否定することがある。これは抗弁と呼ばず、否認と呼ばれる。

たとえば、民事訴訟が起きて、原告が被告に対し、20XX年4月1日に署名された売買契約書を提出し、その通りに金額を支払うよう請したとする。被告が売買契約書を見て「これは偽造だ」というのは、否認となる。

否認するとき、ただ単に「これは偽造だ」というのは、単純否認と言うのだが、そのような否認は裁判所によって支持されない。

「ここがおかしいから、否認する。20XX年4月1日というところがおかしい。」などと言わねばならない。このように、理由を付けて事実を否定する。これを理由付き否認という(民事訴訟規則第79条第3項、第145条exit)。

一切の理由を言わずに単純否認することを裁判所が支持すると、提出された事実を単純否認された原告はどこがおかしいのかよく分からないことになり、次に行われる原告の立作業が煩雑になってしまう。それゆえ、理由付き否認のみに限定している。

提出した事実を理由付き否認された原告は、その事実明するための責任を引き続き負っていることになり、「合理的疑いを容れない程度に確からしい」という程度まで頑って立せねばならない。「20XX年4月1日において、確かにあの人は、私と共にいた」ということを示す拠を出すのである。



「ここがおかしいから、否認する。20XX年4月1日というところがおかしい。その日は外出張していた」などと言うこともある。つまり、相手が提出した事実と反する事実する。これは、理由付き否認の中でもさらに積極的なものなので、積極否認という。

否認するだけなら立責任を負わなくてよい。ただ、現実には、裁判で確実に勝つため積極否認にまで踏み込んだのならば、被告が自ら進んで事実明することが多い。「20XX年4月1日海外に滞在していた拠書類」を出すわけである。これを拠付き積極否認とでも言うことができるだろう。

単純否認と理由付き否認と積極否認と拠付き積極否認を較した表は、次のようになる。

簡単な表現
単純否認 「おかしい」
理由付き否認 「ここがおかしい」
積極否認 「ここがおかしい。なぜなら、こういうことがあったからだ」
拠付き積極否認 「ここがおかしい。なぜなら、こういうことがあったからだ。その拠はこれだ」





抗弁と否認を較した表は、以下の通りとなる。
 

抗弁 否認
すでにされた事実を肯定しつつ、新たな事実する すでにされた事実を否定する
抗弁する人には立責任があり、拠を提示する 否認する人には立責任がなく、拠を出さなくて良いとされる。ただ、裁判で確実に勝ちたいなら、積極否認にまで踏み込んで、被告が自ら進んで拠を出す。

 

※この項の資料・・・記事1exit記事2exit記事3exit記事4exit
 

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