神保長城とは (ジンボウナガナリとは) [単語記事]

神保長城（じんぼう・ながなり　生没年不詳）とは、戦国時代の越中の武将である。富山城を築城した神保長職の息子で、織田信長に仕えた神保長住の弟である。

概要

神保長城の詳しい前半生は分かっていないが、父の長職に従って椎名康胤・上杉謙信と戦ったと考えられている。

永禄五年の上杉謙信の攻撃をきっかけに神保家中は従来の親一向一揆・武田家路線を主張する神保長住・寺嶋職定と親上杉路線をとる神保長職・小島職鎮が対立するようになる。加賀への進出を考える上杉謙信は不安定な神保家の情勢を警戒し、永禄十二年には越中に出兵して神保家の反上杉勢力の排除を行った。これによって次期神保家当主と見られていた神保長住は越中を追放され、神保長城が次期当主と見られるようになった。

上杉謙信の介入によって親上杉路線を明確にした神保長職・長城は逆に上杉家から武田家に寝返った椎名康胤と戦ったと考えられるが、この頃の動静は明らかにはなっていない。書状などから、遅くとも元禄二年には神保長職は入道して宗昌と名乗り、長城に家督を譲ったようである。

神保長職の晩年頃から神保家は再び反上杉路線をとったようで、神保長城は本格化する上杉謙信の越中侵攻に正面からぶつかることになる。

神保長城の反上杉路線に反対する神保家中の親上杉派の武将（神保覚広・小島職鎮ら）は北陸道の要地・日宮城に集まっていたが、上杉家の西進に危機感を感じる一向宗は元亀三年にこれら親上杉勢力への攻撃を開始した。杉浦玄任を指揮官に、瑞泉寺顕秀・勝興寺顕栄・椎名康胤らが加わった一大軍勢は日宮城を陥落させ、神通川を挟んで上杉家と対峙した。鉄砲を多く所持する一向宗勢力はよく戦ったが、尻垂坂の戦いの敗戦を境に劣勢となっていく。