pax

Auferre trucidare rapere falsis nominibus imperium, atque ubi solitudinem faciunt, pacem appellant.

P. CORNELI TACITI AGRICOLA

強奪、破壊、殺戮を偽りの名で支配と、土地を砂漠へと変えることを、平和と呼ぶ。

タキトゥス著『アグリコラ』

pax, pāx（パークス、パクス、パックス）とは、

1. ローマ神話に登場する平和と秩序の女神。ギリシャ神話におけるエイレーネー(Εἰρήνη、英: Eirēnē)に相当。
2. 転じてラテン語における平和を意味する単語。主格、呼格。女性名詞。
3. エドワード・ギボン（Edward Gibbon)による、造語Pax Romanaから派生した「一国の覇権による平和」

この記事においては2.および3.について書く。

概要

ラテン語paciscere　"同意する"、pangere "固定する"と同源で印欧祖語*péh₂ǵ-s<*peh₂ǵ-に由来する。また、pācō"合意に達する、平和にする",pactum"同意、協定"(<paciscor"同意する")等とも同根語。

英語peace、フランス語paix、プロヴァンス語patz、スペイン語paz、イタリア語paceの語源である。

曲用

第三活用に属する。

	単数	複数
主格	pāx	pācēs
呼格	pāx	pācēs
対格	pācem	pācēs
属格	pācis	pācum
与格	pācī	pācibus
奪格	pāce	pācibus

慣用句

• in pace:平時に
• Pax Romana：ローマ帝国の支配による平和
  
  • Pax Britannica：大英帝国の支配による平和
  • Pax Americana：アメリカ合衆国の支配による平和
  • Pax Mongolica：モンゴル帝国の支配による平和
  • Pax Sinica：中華の各帝国の支配による平和
  • Pax Tokugawa：徳川幕府の支配による平和。つまり江戸時代
• Si vis pacem, para bellum：汝平和を欲さば、戦への備えをせよ

関連項目

• peace
• 平和
• ラテン語