N H K 大 河 ド ラ マ
いだてん
~東 京 オ リ ン ピ ッ ク 噺~
いだてん〜東京オリムピック噺〜とは、2019年1月6日から放送されている、作:宮藤官九郎の第58作目大河ドラマである。全47話(予定)。
「スポーツ」という言葉が一般的でなかった時代である1912年に日本人が初めて参加したストックホルムオリンピックの少し前から、1964年に開催された東京オリンピックまでの近代現代史を、オリンピックに関わった人々の目線から描かれる笑いあり、涙ありの群像劇。
4章構成(1部前半・後半と2部前半・後半)となっている。主人公は、第1部がストックホルムオリンピックに参加し、箱根駅伝など日本陸上界の基礎を作り上げた「日本マラソンの父」金栗四三。第二部が日本の水泳競技を向上させ、やがて東京オリンピックの招致を実現させた田畑政治。これに加え、語り手兼狂言回しとして落語家・古今亭志ん生の3人が物語の中心となる(本作は、古今亭志ん生の創作落語という設定のため、クレジットには"語り"ではなく"噺"と表記されている)。なおこの記事の噺も古今亭志ん生がおこなっている。
なお、主人公が複数存在するのは、2006年の「功名が辻」以来、かつ主役が途中で交代するのは2000年の「葵徳川三代」以来のこと。また、幕末を含まない近現代を舞台にした大河ドラマは、1984年の「山河燃ゆ」(昭和前期)、1985年の「春の波濤」(明治後期~大正)、1986年の「いのち」(戦後~現代)の、いわゆる大河近代三部作から33年ぶりとなる(※いずれも、スペシャルドラマ枠の「坂の上の雲」を除く)。
1959年、東京。
いつもどおり、タクシーで寄席に向かう古今亭志ん生は大渋滞に巻き込まれていた。
東京でオリンピックが開催される見通しとなり、どこもかしこも工事だらけ。
オリンピックにまったく興味がない志ん生は、いたく不機嫌だった。
ある日、志ん生のもとに、不思議な青年・五りんが、弟子入り志願にやってくる。五りんと話をするうちに、脳裏をある出来事がよぎる。その夜の高座で、突然、はなしはじめた落語が「東京オリムピック噺」。
志ん生は自らの人生を紐解ひもといていく――。
ときは、1909年。若かりし日の志ん生・美濃部 孝蔵は、遊び仲間の人力車夫・清さんが、ひとりの紳士を乗せてフランス大使館へ向かうところに出くわす。この人物こそ、金栗四三の恩師であり、のちに“日本スポーツの父”と呼ばれる嘉納治五郎だった。
1912年、ストックホルム。嘉納の奮闘によって、金栗四三がマラソンで、三島弥彦が陸上短距離で、日本初のオリンピック出場を果たす。だが、2人とも大惨敗。金栗は悔しさを胸に、後進の育成に情熱を注ぎ、日本スポーツ発展の礎になっていく。
生真面目な金栗とでたらめな孝蔵。関東大震災、二・二六事件、東京大空襲…激しく移りゆく東京の街角で、2人の人生が交差していく。
時は流れて、1964年。“昭和の大名人”となった志ん生の「オリムピック噺」は一段と熱を帯びていた。
舞台袖から、その様子をじっと見守る弟子の五りん。「オリンピック」を縁に、重なり合っていく志ん生と金栗と五りんの人生…。10月10日。田畑政治らの活躍によって開かれた「東京オリンピック」開会式で、ドラマはクライマックスを迎える。
(NHK公式サイトから引用一部省略)
本作のテーマが近代オリンピックとなったのは、放送される2019年が、2020年東京オリンピックの開催前年にあたるためである……と思われがちだが、あまちゃんの後にNHKから「何か面白いものを作ろう」と声をかけられ、古今亭志ん生を軸とした「戦前から戦後にかけての暗いだけじゃないドラマ」から、オリンピックを絡めた話となり、やがて大河ドラマの企画となったようである(公式ガイドブックより)。
脚本・宮藤官九郎、音楽・大友良英など、大ヒットした連続テレビ小説「あまちゃん」のスタッフが再集結し、キャストも同作に出演した俳優が多数参加している(主要スタッフ・キャストは下記参照)。なお、本作は大河ドラマ初の4K映像作品である(前年の「西郷どん」まではハイビジョン映像だった)。
本作の魅力は多岐にわたるため、その中からいくつかを挙げる。
・「身近な大河ドラマ」…大河ドラマで一般的な戦国時代より、現代に直結する話題・問題(例:女子スポーツの普及やオリンピック選手へのプレッシャーなど)が取り上げられており、親近感をもって楽しむことができる。時代は繋がっている。
・「笑いのある大河ドラマ」…いだてんは、シリアスな場面にも笑える要素がある。これが面白い。シリアスな場面に笑い?現実味が薄れるんじゃ?と思う方がいるかもしれないが、現実のどんな場面にも笑いがあるように、逆にリアリティをあたえている。また、ストーリーと落語とのシンクロも心地よい。
・「演出の斬新さ」…実際のアーカイブ映像や、水中カメラからの水泳シーン、落語ということを利用した落語実況(第12回)、ミュージカル風の踊り(第29話)等、普段の大河ドラマでは見かけない斬新な演出が多く刺激的である。脚本も攻めたシーンがいくつかあるため、大きな話題を呼んだ。
もちろん大きな歴史の波に翻弄される主人公、感動する場面、これまでの積み重ねが生きる場面などの大河ドラマの基本はしっかりと存在している。
・「単なるオリンピック賛美でない」…実際に観ていない人で、よく「東京オリンピック(2020年)の賛美のために作られた作品」といわれる事があるが、そんなことは決してない。オリンピックの光と“影”をしっかりと描いている。
詳しくは自分の目で確かめて欲しい。
勢いのある明るい音楽が特徴的なオープニングは、実際の新聞の画像や、東京オリンピック(1964年)などのアーカイブ映像等、大変貴重な映像が盛り込まれているので必見である。
またほぼ毎回内容や、音楽のリミックスが変わったりするなど、変化するオープニングを眺めるのも面白いかもしれない。田畑が泳いでいるシーンは大河史上初めて笑いを目指したとか。
ちなみに第38話にオープニング短縮Verが流れた、珍しい大河ドラマでもある。
そんな魅力あふれる「いだてん」だが、10月23日の放送で大河ドラマ史上最低の3.7%を記録してしまった。だが、この日はラグビーワールドカップ日本戦があり、仕方のない面もあるが、その前から一桁台が続いていた。
確かに時代が行き来したりするなど、メインの視聴者である高齢者に優しくないクセの強い面もある。しかし、先ほど書いた魅力のように、ハマる人はとことんハマるので、一度でいいので観て欲しい。
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最終更新:2025/12/11(木) 16:00
最終更新:2025/12/11(木) 16:00
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