キングマン(競走馬) 単語


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キングマン

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キングマン(Kingman)は、2011年生まれのイギリスの競走馬・種牡馬である。

鋭い切れ味を武器にマイル戦線で大活躍を収め、2014年のカルティエ賞年度代表馬の座を射止めた。

概要

父Invincible Spirit、母Zenda、母父Zamindarという血統。

父インヴィンシブルスピリットは現役時代こそGI1勝だったが種牡馬としては大成功を収めている一流種牡馬で、母ゼンダも仏1000ギニーに当たるプール・デッセ・デ・プーリッシュの勝ち馬。
母父ザミンダールは1992年カルティエ賞最優秀2歳牡馬受賞・翌年英2000ギニー優勝のザフォニックの全弟で、ザルカヴァの父としても有名である。
叔父に種牡馬としても成功中の快速馬オアシスドリーム、大伯母に愛オークス馬ウィームズバイトがおり、良血馬と言って差し支えない血統背景を持っている。

*デインヒル、フランケルなどなど五指に余る活躍馬を生産・所有したジュドモントファーム代表のハーリド・ビン・アブドゥッラー殿下によって生産・所有され、イギリスのジョン・ゴスデン厩舎に入った。

2歳時

デビューは2歳6月末の7ハロン戦で、ここではライアン・ムーア騎手が騎乗した。これを中団から突き抜けて6馬身差で完勝するというパフォーマンスを見せ、ムーア騎手が自身のコラムで賞賛したことも手伝って翌年の英2000ギニーの前売りオッズでは早くも上位人気グループに浮上した。

続けて8月末のソラリオS(GIII)に出走。このレースからは、アブドゥッラー殿下の主戦騎手となったジェームズ・ドイル騎手が引退まで手綱を執った。レースでは前で叩き合う2頭の馬をノーステッキで抜き去るという脚力を見せて2馬身差で勝利を収め、これにより2000ギニーの前売りオッズは更に低下した。

その後はデューハーストS(GI)が目標だったが、脚の剥離骨折により骨片除去手術が行われることとなったため、2歳シーズンはこれで切り上げて休養に入った。

3歳時

手術を挟んで、3歳時は4月のグリーナムS(GIII)から始動した。ここではミドルパークS(GI)を勝ったアステアや、デビュー2連勝をいずれも楽勝で決めていたナイトオブサンダーといった有力馬を相手に1番人気に支持され、先行抜け出しを図ったナイトオブサンダーを並ぶ間もなく交わして4馬身半差で完勝。この勝ち方は「フランケルを想起させる」と話題になり、キングマンの評価は更に上昇した。

本番の英2000ギニーでは、ナイトオブサンダーに加えてトゥールモア(愛ナショナルS)、ウォーコマンド(デューハーストS)、キングストンヒル(レーシングポストトロフィー)、アウトストリップ(BCジュヴェナイルターフ)といった2歳GI馬勢や父ガリレオ・母ウィジャボードという超良血馬オーストラリアなどが相手となったが、キングマンは単勝2.8倍の1番人気に推された。

直線1マイルというコース形態もあってスタート後すぐに馬群が分裂し、キングマンと2番人気のオーストラリアは別々の馬群を進む格好になった。両馬群は馬場の両端に位置取っていたが、各馬が仕掛けた段階ではキングマンの方の馬群が前に出ていたらしく、馬群を抜けた時はオーストラリアよりキングマンの方が少し前にいた。ところがこの直後、キングマンの後ろにいた「ある馬」が勢い良く馬群を突き抜け、オーストラリア側の馬群に向かって斜行しながら鋭い伸び脚を披露。「ある馬」はエイシンヒカリも真っ青の豪快な斜行を見せながらも、結局キングマンを半馬身差で差し切ってしまった。

勝った「ある馬」とは前走でキングマンにボコボコにされて14頭中11番人気にまで評価を落としていたナイトオブサンダーであり、とんでもない斜行を見せた同馬に負けた上に、馬群の位置取りの差がなければアタマ差の3着だったオーストラリアとの着順も入れ替わっていたかもしれないということで、キングマンの評価は一時的に落ちてしまった。

その後はダービーではなくマイル路線を選択し、愛2000ギニーに出走。特に目立ったメンバーがいなかったこともあって単勝1.8倍の支持を受け、これに応えて5馬身差で圧勝しGI初制覇を挙げた。続くセントジェームズパレスS(GI・1マイル)では元々の先行策に戻したナイトオブサンダーが逃げ込みを図る中でこれを一瞬にして交わしきり、2馬身1/4差で勝利し汚名を返上した。

続く初古馬対戦のサセックスS(GI・1マイル)では、4頭立てということもあって単勝1.4倍となった。レースは少頭数らしく上がりの競馬になったが、残り1ハロン地点で鋭く伸びて1馬身差で勝利した。続けてフランスに遠征して出走したジャック・ル・マロワ賞(GI・1600m)は5頭立てで単勝1.29倍の人気となったが、他4頭が1馬身半差の接戦を演じる中を2着に2馬身半差を付けて抜け出し完勝。
サセックスSとジャック・ル・マロワ賞の連勝は史上初であり、別々の年に勝った馬を入れてもサイエダティ(前者を5歳時の1995年に、後者を3歳時に勝利)以来という記録であった。

しかし、このあとクイーンエリザベスII世S→ブリーダーズカップ・マイルというローテーションを立てた矢先、喉の感染症によって抗生物質の投与が必要となったため、大事を取って両競走とも回避し引退が決定した。

通算成績は8戦7勝2着1回、うちGI4勝。カルティエ賞では最優秀3歳牡馬・年度代表馬を受賞し、国際レーティングではジャスタウェイ(130)、エピファネイア(129)に次ぐ127を得て第3位タイとなっている。

種牡馬として

アブドゥッラー殿下が所有し、フランケルなどを繋養するバンステッドマナースタッドで種牡馬入りしたキングマンは、初年度から143頭の牝馬を集めるなど上々な滑り出しを見せた。そして初年度産駒からいきなりプール・デッセ・デ・プーラン(仏2000ギニー)、イスパーン賞、ムーラン・ド・ロンシャン賞と仏GIを3勝し凱旋門賞でも3着に入ったペルシアンキングを送り出す活躍を挙げた。

2020年の3歳世代がまだ2世代目という新鋭種牡馬ではあるが、この世代にもセントジェームズパレスSとジャック・ル・マロワ賞をデビューから5戦無敗で連勝したパレスピアがおり、また名牝エネイブルの初年度の交配相手にも選ばれるなど、既にキングマンはエース種牡馬の1頭となりつつある。その高い評価に恥じない産駒を送り出し続けられるか、今後も注目が集まる。

血統表

Invincible Spirit
1997 鹿毛
Green Desert
1983 黒鹿毛
Danzig Northern Dancer
Pas de Nom
Foreign Courier Sir Ivor
Courtly Dee
Rafha
1987 鹿毛
Kris Sharpen Up
Doubly Sure
Eljazzi *アーテイアス
Artaius
Border Bounty
Zenda
1999 鹿毛
FNo.19
Zamindar
1994 鹿毛
Gone West Mr. Prospector
Secrettame
Zaizafon The Minstrel
Mofida
Hope
1991 鹿毛
*ダンシングブレーヴ
Dancing Brave
Lyphard
Navajo Princess
Bahamian Mill Reef
Sorbus

クロス:Northern Dancer 4×5×5(12.5%)、Never Bend 5×5(6.25%)

主な産駒

  • Persian King (2016年産 牡 母 Pretty Please 母父 Dylan Thomas)
    • 2019年プール・デッセ・デ・プーラン(仏GI)、2020年ムーラン・ド・ロンシャン賞(仏GI)、2020年イスパーン賞(仏GI)、2020年ミュゲ賞(仏GII)、2019年フォンテーヌブロー賞(仏GIII)、2018年オータムS(英GIII)
  • Kinross (2017年産 騸 母 Ceilidh House 母父 Selkirk)
    • 2022年フォレ賞(仏GI)、2022年ブリティッシュチャンピオンズスプリントS(英GI)、2021年レノックスS(英GII)、2022年シティオブヨークS(英GII)、2022年パークS(英GII)、2021年ジョンオブゴーントS(英GIII)
  • Palace Pier (2017年産 牡 母 Beach Frolic 母父 Nayef)
    • 2020年セントジェームズパレスS(英GI)、2020・21年ジャック・ル・マロワ賞(仏GI)、2021年ロッキンジS(英GI)、2021年クイーンアンS(英GI)、2021年bet365マイル(愛GII)
    • 2020年カルティエ賞最優秀3歳牡馬
  • Domestic Spending (2017年産 騸 母 Urban Castle 母父 Street Cry)
    • 2020年ハリウッドダービー(米GI)、2021年マンハッタンS(米GI)、2021年ターフクラシックS(米GI)
  • *エリザベスタワー (2018年産 牝 母 *ターフドンナ 母父 Doyen)
    • 2021年チューリップ賞(GII)
  • *シュネルマイスター (2018年産 牡 母 *セリエンホルデ 母父 Soldier Hollow)
    • 2021年NHKマイルカップ(GI)、2021年毎日王冠(GII)、2023年読売マイラーズカップ(GII)
  • Commissioning (2020年産 牝 母 Sovereign Parade 母父 Galileo)
    • 2022年フィリーズマイル(英GI)、2022年ロックフェルS(英GII)

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