シーザスターズ 単語


ニコニコ動画でシーザスターズの動画を見に行く

シーザスターズ

5.5千文字の記事
これはリビジョン 3290774 の記事です。
内容が古い・もしくは誤っている可能性があります。
最新版をみる

シーザスターズ(Sea the Stars)とは、2006年生まれのアイルランドの競走馬である。

2009年にGI6連勝を挙げ、超が付く良血に恥じない活躍を見せた。主戦騎手はマイケル・キネーン。

概要

出自

父はマイルGI1勝のみながら種牡馬として活躍したCape Cross、母は13番人気で凱旋門賞を制したUrban Sea、母父はこれまた名種牡馬Miswaki。兄に英ダービーキングジョージなどを制したGalileoを持ち、ほかの兄弟姉妹にもGI馬や重賞馬がゴロゴロいる世界でも最高レベルの良血である。

GalileoやGI2勝を挙げたBlack Sam Bellamyの父は泣く子も黙る大種牡馬Sadler's Wells、半姉で米GIを1勝したMy Typhoonの父は年度代表馬Giant's Causewayだったのに対し、本馬の父Cape Crossは現役時代に唯一勝ったGIがペースメーカーとして出走したロッキンジSをブービー人気で逃げ切ったもので、種牡馬としても短距離やマイルならともかく中長距離のGI馬はこの時点でOuija Boardを出しただけであった。
それが既に大成功を収めていたアーバンシーに種付けされたのは、件のOuija Board英オークスGalileoの全妹のAll Too Beautifulを7馬身差の2着に破ったことから、「肌馬によっては中長距離でもとんでもない馬が出るのではないか?」と興味をそそられたところが大きいのだという。

クールモアが所有した兄Galileoと違い、本馬は母も所有したデヴィッド・ツイ氏の生産所有馬として競走馬になり、Sinndarや*アラムシャーなどを手掛けたアイルランドのジョン・オックス厩舎に預けられた。馬名はツイ氏が母親から幼少期によく言われていた「see the stars」という言葉に母名を引っ掛けたものである。

現役時代

これまでアイルランドでリーディングジョッキーを12回獲得した名手であるマイケル・キネーン騎手が主戦を務め、2歳7月のデビュー戦こそ4着と敗れるが、その後未勝利戦、GIIを2連勝。血統も手伝い3戦2勝ながらクラシックの有力馬に数えられ始める。

その後7ヶ月余りの長期休養を挟み英2000ギニーへ直行。有力馬が多数出走しており、戦歴の少ないシーザスターズは熱発でしばらく調教を休んでいた期間があったこともあって6番人気止まりだったが、中団から直線で1番人気のDelegatorを差し切り優勝。GI初制覇を果たした。

英ダービー出走に関しては、短距離馬だった父Cape Crossのイメージからか距離不安がささやかれ、陣営も馬場が悪化したら回避する可能性もあるとしていたが、最終的には出走を決定。2000ギニー馬のダービー参戦は6年ぶりであったというから、この挑戦がいかに難しいものであるかうかがい知れよう。

そんな不安の中で参戦したダービーだったが、インコースの中団前目で追走すると直線で手ごたえ抜群に脚を伸ばし、最後は追ってきたFame and Glory以下を封じ込めて完勝。Nashwan以来20年ぶりの英国二冠馬となった。レース後キネーン騎手は「スローモーションのように容易く、危なげなかった」と語った。

この後愛ダービーを馬場悪化で回避すると、陣営は古馬中距離戦線へ舵を切ることを決定。英国三冠? なにそれ美味しいの?手始めにエクリプスSに参戦する。前年のBCターフ馬*コンデュイット、後にGⅠ3勝を挙げるRip Van Vinkleなど有力馬が揃ったが、内ラチ沿いからまたも強烈な末脚を繰り出し勝利。古馬相手にも全く見劣りしない能力を見せつけた。

続いて僅か4頭立てとなった英インターナショナルSに参戦。クールモアのエースMastercraftsmanとそのペースメーカー2頭という実質1対3の状況の中、最後方からレースを進めると直線で粘るMastercraftsmanを差し切りレコードで勝利。続く愛チャンピオンSは英ダービーの後愛ダービーを圧勝したFame and Gloryと再戦するが、添え物にもならないような強さで完勝。勇躍凱旋門賞へ駒を進める。セントレジャー? バカ言うんじゃないよ。まぁ真面目な話をするなら2400のダービーでも長いかも知れない扱いしてた馬を3000に出す選択肢はあまりないと思う

この凱旋門賞、これまで戦ってきた*コンデュイットやFame and Gloryのほかにも6戦無敗でヴェルメイユ賞を制した3歳牝馬*スタセリタ(後にソウルスターリングの母となる)、2年連続凱旋門賞2着のオルフェーヴル枠Youmzainなど多くの有力馬が集まっていたが、シーザスターズはその中でもオッズ2倍を切る圧倒的人気を集めた。

本番、シーザスターズは行きたがる素振りを見せるがどうにか中団のインで落ち着く。そのまま直線に入ると最内に進路を取り馬群を突破。最後は力尽きた*スタセリタを避けて牝馬2頭の間から抜け出し、そのまま2馬身差をつけてゴール。GI6連勝で凱旋門賞を制した。英2000ギニー英ダービーの二冠馬が3歳で凱旋門賞を勝つのは史上初。また、母アーバンシーと史上2組目の母子凱旋門賞制覇も成し遂げた。ちなみにその後ろでYoumzainがしれっと3年連続2着という珍記録を成し遂げた。ナイスネイチャ枠だったか……。この勝利を最後に引退。アメリカ遠征も計画されたが実現しなかった。

通算9戦8勝、GI6勝。負けはデビュー戦の1度きり。着差こそ大きくはなかったが、常にそれ以上の強さと安定感を見せ続けた。2009年のカルティエ賞ではもちろん最優秀3歳牡馬を受賞、更に年度代表馬にも選ばれた。

GalileoMontjeuGiant's Causewayなど数多くの名馬に乗り、この年を最後に引退したキネーン騎手をして「生涯最高のパートナー」と言わしめた。また、シーザスターズとのコンビでは、相手の作戦を看破し、仕掛けを1ハロン遅らせるという神業を見せた英インターナショナルSや、引っ掛かった彼を中団に抑え、直線で巧みな進路どりを見せた凱旋門賞など、キネーン騎手の好騎乗が数多く見られた。最高の馬と最高の騎手が出会った結果、稀代の名馬が生まれたと言えるだろう。

シーザスターズは生涯を通じてアイルランドで無敵の名伯楽エイダン・オブライエン陣営に徹底マークを受けた。4頭立ての英インターナショナルSは本馬を除く全馬がオブライエン厩舎、愛チャンピオンSには3頭のラビットを含む5頭を送り込んだというからその執念がうかがえよう。しかしシーザスターズはそれをことごとく叩き潰し、オブライエン陣営は結局シーザスターズに勝てなかった。オブライエン涙目。まあこの時オブライエン厩舎からシーザスターズにぶつけられたFame and GloryやRip Van Vinkleなどは後にいくつもGⅠを制するので、決して弱いわけではなかったのだが……。相手が悪すぎたと言うほかない。

種牡馬として

これだけの成績を残したシーザスターズは当然種牡馬として大きな期待を寄せられ、初年度の相手には凱旋門賞馬Zarkava、日本でGIを7勝し引退後アイルランドに渡っていたウオッカなど世界的名牝が集まった。

こうして2013年にファーストクロップがデビューした……のだが、重賞ホースこそ出たもののいまいちパッとせず、「まさか期待外れか!?」と思われた。

ところがどっこい、2014年になると外ラチまでぶっ飛びながらドイツダービーを11馬身差で圧勝したSea The Moon、無敗でキングジョージを制した牝馬Taghroodaらが大活躍し、2世代のみでサイアーランキング12位を記録し一躍種牡馬としての評価を高めた。その後しばらくGI馬が現れずファンや関係者をやきもきさせたが、2016年にHarzandが英ダービーを制し親子制覇を達成。この世代から4頭のGⅠ馬が現れ英愛リーディング3位にまで登り詰めた。その後も名長距離馬Stradivarius、愛オークス馬Sea of ClassなどのGI馬を輩出している。

血統・実績・実力・人気いずれも文句のつけようがなく、英ダービー馬を5頭輩出しリーディングサイアーには10回以上輝くという金字塔を打ち立てた兄Galileoと共に、これからの欧州競馬を背負って立つ1頭と言えるだろう。

血統表

Cape Cross
1994 黒鹿毛
Green Desert
1983 鹿毛
Danzig Northern Dancer
Pas de Nom
Foreign Courier Sir Ivor
Courtly Dee
Park Appeal
1982 黒鹿毛
Ahonoora Lorenzaccio
Helen Nichols
Balidaress Balidar
Innocence
Urban Sea
1989 栗毛
FNo.9-h
Miswaki
1978 栗毛
Mr. Prospector Raise a Native
Gold Digger
Hopespringseternal Buckpasser
Rose Bower
Allegretta
1978 栗毛
Lombard Agio
Promised Lady
Anatevka Espresso
Almyra
競走馬の4代血統表

クロス:5代内アウトブリード

主な産駒

2011年産

  • Sea the Moon (牡 母 Sanwa 母父 Monsun)
    • 2014年ドイチェスダービー(独GI)
  • Taghrooda (牝 母 Ezima 母父 Sadler's Wells)
    • 2014年オークスステークス(英GI)、2014年キングジョージVI世&クイーンエリザベスS(英GI)
    • 2014年カルティエ賞最優秀3歳牝馬
  • Vazira (牝 母 Vadaza 母父 Zafonic)
    • 2014年サンタラリ賞(仏GI)

2013年産

  • Cloth of Stars (牡 母 Strawberry Fledge 母父 Kingmambo)
    • 2017年ガネー賞(仏GI)
  • Harzand (牡 母 Hazariya 母父 *ザール)
    • 2016年ダービーステークス(英GI)、2016年アイリッシュダービー(愛GI)
  • Mekhtaal (牡 母 Aiglonne 母父 Silver Hawk)
    • 2017年イスパーン賞(仏GI)
  • Shraaoh (騸 母 Jumooh 母父 Monsun)
    • 2019年シドニーカップ(豪GI)
  • Zelzal (牡 母 Olga Prekrasa 母父 Kingmambo)
    • 2016年ジャン・プラ賞(仏GI)

2014年産

  • Crystal Ocean (牡 母 Crystal Star 母父 Mark of Esteem)
    • 2019年プリンスオブウェールズS(英GI)
  • Stradivarius (騸 母 Private Life 母父 Bering)
    • 2017~20年グッドウッドカップ(英GI)、2018~20年アスコットゴールドカップ(英GI)
    • 2018~20年カルティエ賞最優秀ステイヤー

2015年産

  • Fifty Stars (牡 母 Swizzle Stick 母父 Sadler's Wells)
    • 2020年オーストラリアンカップ(豪GI)
  • Sea of Class (牝 母 Holy Moon 母父 Hernando)
    • 2018年アイリッシュオークス(愛GI)、2018年ヨークシャーオークス(英GI)

2016年産

  • Star Catcher (牝 母 Lynnwood Chase 母父 Horse Chestnut)
    • 2019年アイリッシュオークス(愛GI)、2019年ヴェルメイユ賞(仏GI)、2019年ブリティッシュチャンピオンズフィリーズ&メアズS(英GI)
    • 2019年カルティエ賞最優秀3歳牝馬

2017年産

  • Hukum (牡 母 Aghareed 母父 Kingmambo)
    • 2022年コロネーションカップ(英GI)、2023年キングジョージVI世&クイーンエリザベスS(英GI)
  • Miss Yoda (牝 母 Monami 母父 Sholokhov)
    • 2020年ディアナ賞(独GI)

2018年産

  • Baaeed (牡 母 Aghareed 母父 Kingmambo)
    • 2021年ムーラン・ド・ロンシャン賞(仏GI)、2021年クイーンエリザベスII世S(英GI)、2022年ロッキンジS(英GI)、2022年クイーンアンS(英GI)、2022年サセックスS(英GI)、2022年インターナショナルS(英GI)
    • 2022年カルティエ賞年度代表馬・最優秀古馬
  • Just Fine (騸 母 Bint Almatar 母父 Kingmambo)
    • 2023年ザ・メトロポリタン(豪GI)
  • Sea la Rosa (牝 母 Soho Rose 母父 Hernando)
    • 2022年ロワイヤリュー賞(仏GI)
  • Teona (牝 母 Ambivalent 母父 Authorized)
    • 2021年ヴェルメイユ賞(仏GI)

2019年産

  • Emily Upjohn (牝 母 Hidden Brief 母父 Barathea)
    • 2022年ブリティッシュチャンピオンズフィリーズ&メアズS(英GI)、2023年コロネーションカップ(英GI)
  • Sea Silk Road (牝 母 Oriental Magic 母父 Doyen)
    • 2023年ロワイヤリュー賞(仏GI)

2021年産

  • Sosie (牡 母 Sosia 母父 Shamardal)
    • 2024年パリ大賞(仏GI)

関連動画

ほろ苦いデビュー

クラシック戦線での活躍

古馬戦線をひとしきり制圧

凱旋門賞での雄姿

ついでに、孝行息子の大暴走活躍

関連コミュニティ

ニコニコミュニティは2024年8月に終了しました。

関連項目

  • 競馬
  • 競走馬の一覧
  • アーバンシー
  • ガリレオ(競走馬)
  • オブライエン涙目

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
vα-liv[単語]

提供: クリッキー

もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/24(水) 04:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/24(水) 04:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP