サドラーズウェルズ(Sadler's Wells)とは、1981年アメリカ生まれ、アイルランドで調教を受けた競走馬・種牡馬である。
90年代~00年代前半の欧州を自分色で染め上げた、ノーザンダンサーの息子の中でも最も成功した種牡馬の一頭。
馬名の由来は、ロンドンの著名な劇場「Sadler's Wells」から。
父はノーザンダンサー、母はフェアリーブリッジ、母の父ボールドリーズンという血統。叔父にヌレイエフ、その他の近親にも*ジェイドロバリーら数多の名馬がいるラフショッド系という名牝系の出身である。
大馬主ロバート・サングスターに購買されアイルランドのヴィンセント・オブライエン厩舎に預託されるという成功するノーザンダンサー産駒の黄金パターンでデビュー。
2歳シーズンこそ2戦2勝と良績を残すが、3歳の始動戦で同厩・同馬主のエルグランセニョールの2着に敗れ、愛2000ギニーを狙う裏ローテ行きとなってしまう。
GⅡ勝ちを挟んで迎えた愛2000ギニーを勝ち、同じマイルのセントジェームズパレスSを一旦次の目標としたのを変更してジョッケクルブ賞(仏ダービー)に向かうが、後に相性抜群な関係になるダルシャーンの末脚に屈し2着に敗れた。
そうこうしている内に、愛2000ギニーで負かした*セクレトが英ダービーでエルグランセニョールを撃破するわ、そのエルグランセニョールが怪我で引退するわでいつの間にかオブライエン厩舎のエースに押し上げられた。現金だねぇ。
次走は古馬相手のエクリプスステークスへ向かい、レースレコードを出してしぶとく勝利するとエースの看板を背負ってキングジョージに向かうが、前年の英ダービー馬ティーノソに敗れ2着。次走のベンソン&ヘッジス金杯(現:インターナショナルステークス)でも4着と勝ち切れなかった。
続くフェニックスチャンピオンステークス(現:アイルランドチャンピオンステークス)では勝利し評価を戻すも、凱旋門賞では勝ったサガスから20馬身近く差をつけられた8着に完敗。3歳限りで引退した。
通算成績は11戦6勝。現役時代は「2400だと甘くなる中距離馬」「エルグランセニョールに比べたら小物」という評価で、アイルランドで種牡馬入りした時点ではそう期待はされていなかったのだが……。
ところがぎっちょん、種牡馬としては1年目から仏愛ダービー馬のオールドヴィック、古馬になって開眼したインザウイングスらを出し、2年目以降もモンジュー、ガリレオ、ハイシャパラル、*オペラハウス、*カーネギー、天才ハードラーのイスタブラク……など無数に名馬を輩出。欧州のクラシック、古馬王道路線はあっという間にサドラーズウェルズ産駒に席巻された。
なんせ、英愛リーディングサイアー13回連続獲得(1992~2004)、この時点でセントサイモンの通算9回獲得を超えている。
さらに1990年にも獲得しているため、通算で14回の英愛リーディングサイアー獲得は18世紀の大種牡馬ハイフライヤーの記録すら超えての新記録となった。
このハイフライヤーの記録、近代競馬じゃ超えられないと言われた黎明期ならではの記録な上に、その時代でも血の閉塞で衰退確定というとんでもない記録であった。
実際、ハイフライヤーは一気に衰退しエクリプスに勢力を奪われた。それを超えていくんだから凄まじいの一語。
更にその血は世界にも広まっており、北米でエルプラド、南米チリでダシヤンター、南アフリカでフォートウッド、豪州でハイシャパラル、英愛でガリレオ、仏でモンジューがリーディングを獲得。
孫以降の名馬も銀メダリストなメダグリアドーロ(金メダル)、85年ぶりの名牝レイチェルアレクサンドラ、欧州のスピードモンスター・フランケル、南アフリカの絶対王者ホースチェスナット、オセアニア生まれの怪物ソーユーシンク、日本の世紀末覇王テイエムオペラオーなどなど枚挙に暇がない。
他にもダート・欧州芝・日本芝どこでも走ったシングスピールがその性質を伝えており、世界中どこでもサドラーズウェルズの血を引く種牡馬が活躍している。
さらに母の父としても凄まじい活躍をしており、日本だけでもフサイチコンコルド、エルコンドルパサー、シーザリオ、ヘヴンリーロマンス、エイシンアポロンらすごい数の活躍馬が存在し、海外でも凱旋門賞を圧勝したサキーを筆頭に欧州・北米で大量の活躍馬を出してリーディングブルードメアサイアーに輝くなど、もう世界中を塗りつぶしかねない勢いである。
産駒の傾向としては、心肺能力に長け、重馬場や起伏を苦にしないパワー、頑丈さや輸送にめげない精神の強さを持つという欧州の申し子といった感じではあるが、バラシアのようなスピードのある短距離馬も輩出しており、北米芝でも活躍馬がおり素軽さやスピードがないわけではない。
とはいえ重たいステイヤーが多いことは否定できず、実際に晩年から最近は*デインヒル・ケープクロスのようにスピードの勝った系統に押され気味になったりもしたが、ガリレオが優れたスピードを持つフランケルらを出し始めスピード競馬にも適応している。
日本での産駒はサージュウェルズくらいしか重賞勝ちは出なかったが、直系の孫の代にテイエムオペラオーやメイショウサムソンといった名馬が出現した。さらに直系のひ孫にもロゴタイプという長くGⅠ路線を走り続けた馬が出現するなど日本の馬産においても影響を及ぼす種牡馬となった。
2008年に種牡馬引退した後は功労馬として悠々自適の日々を送っていたが、2011年に病死した。享年30歳。生命力にあふれた彼らしい大往生であった。
Northern Dancer 1961 鹿毛 |
Nearctic 1954 黒鹿毛 |
Nearco | Pharos |
Nogara | |||
Lady Angela | Hyperion | ||
Sister Sarah | |||
Natalma 1957 鹿毛 |
Native Dancer | Polynesian | |
Geisha | |||
Almahmoud | Mahmoud | ||
Arbitrator | |||
Fairy Bridge 1975 鹿毛 FNo.5-h |
Bold Reason 1968 鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Lalun | Djeddah | ||
Be Faithful | |||
Special 1969 鹿毛 |
Forli | Aristophanes | |
Trevisa | |||
Thong | Nasrullah | ||
Rough Shod |
Sadler's Wells 1981
|In the Wings 1986
||Singspiel 1992
|||*アサクサデンエン 1999
|||ローエングリン 1999
||||ジーカップダイスキ 2009
||||ロゴタイプ 2010
|||||ラブリイユアアイズ 2019
|||||ミトノオー 2020
||||ハッピーグリン 2015
|||Adlerflug 2004
||||Torquator Tasso 2017
|*オペラハウス 1988
||テイエムオペラオー 1996
||シングンオペラ 1998
|||シングンマイケル 2014
||コウエイトライ 2001
||メイショウサムソン 2003
|El Prado 1989
||Medaglia d'Oro 1999
|||Rachel Alexandra 2006
|||*ヴィットリオドーロ 2009
||||オマツリオトコ 2020
|||Songbird 2013
|||Golden Sixty 2015
||Kitten's Joy 2001
|||*ジャンダルム 2015
|Istabraq 1992
|Poliglote 1992
||Solemia 2008
|*ドリームウェル 1995
||アドマイヤモナーク 2001
|Montjeu 1996
||Hurricane Run 2002
|||*キズナII 2010
||*ミスペンバリー 2002
||Motivator 2002
|||*メーヴェ 2008
|||Treve 2010
||St. Nicholas Abbey 2007
||Camelot 2009
|||Luxembourg 2019
|Galileo 1998 →ガリレオ(競走馬)の記事参照
|High Chaparral 1999
||So You Think 2006
|Doyen 2000
||ショーグン 2010
掲示板
34 ななしのよっしん
2023/07/03(月) 00:53:57 ID: VIy+w4flS1
35 ななしのよっしん
2023/07/03(月) 01:05:14 ID: VIy+w4flS1
まぁマジレスすると凱旋門にはサドラーの血やノーザンダンサー直系じゃないと無理
じゃなくて、欧州にサドラー入りやノーザン直系しかいない が正解かな
ポストボンドがキングジョージ勝ってるし、ノーザン帝国を打ち破るならやっぱりドバウィ辺りかなぁ
サドラー系はスピードが勝ち過ぎるノーザンダンサー系ではかなり異質なスタミナ馬だから日本だと一本調子過ぎてイマイチ上手く行かない印象
自身は名馬だし血統も素晴らしいがサドラー以上にステイヤー型になってたのに日本でもそれなりにやれるスピードが出せるオペラオーとサムソン出したオペラハウスはよくやったと思う
36 ななしのよっしん
2024/02/05(月) 07:53:25 ID: VIy+w4flS1
>>34 レイルリンクじゃなくてザルカヴァだな、非ノーザン系は
というかsO4BJS+of1は「サドラーズウェルズないと凱旋門賞無理」を論破された途端「ノーザン直系はノーカンだから…」にすり替えるのズルすぎるな…
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最終更新:2024/10/04(金) 14:00
最終更新:2024/10/04(金) 14:00
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